9月に入っても陽射しの強い残暑が続いています。
そうはいっても、夕方以降になると過ごしやすくなってきて、秋の気配が感じられます。
そんな夜にふさわしい静かな音楽が「アンビエント・ミュージック」です。「Ambient Music」はダウンテンポ・ミュージックのジャンルのひとつ。
今回は、壮大さ、美しさ、雄大さに満ちた、自由なかたちで奏でられる「アンビエント・ミュージック」をご紹介します。

ブライアン・イーノ「ミュージック・フォー・エアポート」


ブライアン・イーノが提唱した「アンビエント・ミュージック」

「アンビエントambient」は「周囲を取り巻く」といった意味で、「環境」とかその場の「雰囲気」といったニュアンスでも使われます。
つまり「アンビエント・ミュージック」は「環境音楽」とだいたい同じ意味で、強い自己主張を持たず、その場の雰囲気や環境に自然に溶けこんで、人がリラックスすることを目的にしたエコロジカルな音楽というのが、多くの人が抱いているイメージでしょう。
レコード店などでは「ニュー・エイジ・ミュージック」「ヒーリング・ミュージック」などのジャンルの一部として扱われることもあります。
「アンビエント・ミュージック」を提唱したのはイギリス人のミュージシャン、ブライアン・イーノ。元ロキシー・ミュージックのメンバーで、デヴィッド・ボウイとのコラボレーションやU2のプロデュースなどで有名な人物です。
彼が1978年に出したのが、アンビエント第一作「ミュージック・フォー・エアポート(空港のための音楽)」です。このアルバムは静かで、ゆったりと瞑想的で、思索や読書をじゃましない、美しい音楽です。多くのリスナーに支持され、ミュージシャンにも大きな影響を与えました。現在では大きなジャンルを作っています。

自然の音ともマッチするアンビエント・ニュージック

自然の音ともマッチするアンビエント・ニュージック


現代音楽への大きな影響

アンビエント音楽に特徴的なのは、明確なリズムや曲の構成を持っていないことが多く、音の自由なコラージュやシンセサイザーによるスケッチのような試みも多く聴かれます。
エレクトロニカ(テクノ)・ミュージックやクラブ・ミュージックなどにも影響を与えました。
イーノは「光の色や雨の音が環境の一部であるように、音楽も周りの環境の一部として聴く」と語っていますが、もともと環境としての音、というアイディアは、エリック・サティの「家具の音楽」やジョン・ケージの思想などにも見られるものです。
人の話し声、コンビニで流れるポップス、自動車のエンジン音、セミやカエルの鳴き声、風の音……言うまでもなく、私たちは24時間さまざまな音に囲まれて生きています。
アンビエント音楽は、単に新しいBGMとしてだけではなく、私たちが「音環境」とどのようにつきあっていくのかという、現代的な提案としての側面も大きいと思われます。
秋の夜、開けた窓から吹きこんでくる秋の気配を感じながら、アンビエント・ミュージックを静かに流し、心身をリラックスさせてみてはいかがでしょうか。

読書をじゃましない音楽

読書をじゃましない音楽