「ディジュリドゥ」という楽器がある。オーストラリアの先住民族アボリジニが、数万年前から儀式などの伴奏に用いてきた世界最古とされる管楽器だ。そして、日本を代表する奏者として世界的に知られているのがGOMA。

彼は、2009年の交通事故で脳に損傷を受け、高次脳機能障がいと診断された。自分が何者なのかがわからない状態になった。けれど、楽器の吹き方だけは体が覚えていた。ここでは、知らなかった人のために彼のことを少しだけ。まずはどんな音楽か聞いてみて欲しい。

全身が揺さぶられる!

上の動画は「GOMA & The Jungle Rythm Section」。長細い筒に唇を当てて振動させる楽器ディジュリドゥの音は、その低音や倍音が主な特徴だ。振動が体中に響く心地良さから、ヒーリングやリラックス効果を目的として演奏する奏者もいる。

そこに、野性的な人力ダンスグルーヴを加えて生み出したのが彼らの音楽。めちゃくちゃ踊れるのだ。

先住民に認められた、
ディジュリドゥ奏者。

聖地アーネムランドでアボリジニたちと共に暮らしながら演奏を学び、1998年オーストラリアで開催されたバルンガディジュリドゥコンペティションで準優勝した経験がある。

“ノンアボリジニ”の受賞は史上初。その後アボリジニとノンアボリジニの出場枠が分けられたため、世界でも稀な経歴の持ち主と言える。その後、日本でディジュリドゥ音楽が広く認知されたのも、彼の功績が大きい。

しかし、2年間暮らしたオーストラリアの記憶や、それまで培ってきた音楽経験の多くも、事故のあとでは思い出せない状態になっていた。

自分が何者なのか、
わからない…。

GOMAは、事故を経験したあと、自分が画家だと思っていた。きっかけは、娘の絵の具を使って衝動的に点描画を書き始めたこと。

画風はアボリジナルアートに似ていた。オーストラリア時代の記憶に繋がっていると思わせる作品は、後に行われたGOMAの個展『記憶展』で紹介され話題になった。

「パパは画家じゃないよ」。

その後、GOMAはもう一度楽器を始めることになる。娘が毎日ディジュリドゥを指さし、こう語りかけてきたそうだ。

「それはまぁちゃん(娘さんの愛称)の絵の具。パパの仕事はこれだよ」。

事故のあと興味を示すことはなかったけれど、吹き方は体が覚えていた。

今日起きたことを明日思い出せるかわからない恐怖と闘いながらも、絵と同様に体の中に感じる音楽を頼って、自分のルーツを手繰り寄せていった。

奇跡の復活!

再起不能とも言われた彼だ。円満に行くことのほうが少なかった。多くの困難を、本人だけでなくサポートする周囲みんなで乗り越えていった。

そして、家族や友人、多くの人の協力と本人の努力のかいもあり、「FUJI ROCK FESTIVAL '11」で行われた復活ライブは成功。伝説と形容されるほど会場を盛り上げた。

翌年には、それまでの経緯を記録したドキュメンタリー映画『フラッシュバックメモリーズ3D』が公開され、作品は東京国際映画祭で観客賞を受賞。その後も音楽家・画家として活動を続けており、世界各地のイベントや展示に引っ張りだこだ。

2016年8月には、本人の日記や、家族の日記、事故後に描きだした点描画を記した書籍『失った記憶。ひかりはじめた僕の世界』を出版。出版記念パーティとしてGOMA&The Jungle Rhythm Sectionワンマンツアーが開催される。

本人曰く、これまでの思いをすべて出し切って新たな第一歩をスタートさせる。

国内最高レベルの音響で聴く!
今だからこそ見逃せないライブ。

Photo by Yukitaka Amemiya

9月9日(金)の東京公演は、同月オープンしたばかりの「Shibuya WWW X」で行われる。もともと映画館として運営されていたビルの2階にできた2号店で、BF階には、音響、照明、映像設備ともに国内最高レベルと言われている1号店「Shibuya WWW」がある。

ワンマンライブのスペシャルゲストには、ドラマーの中村達也に、ヒューマンビートボックスのAFRA。音楽ファンなら、当日の熱気が簡単に想像できるかもしれない。

なにより、GOMAを知っている人にとっても、これから知る人にとっても、この機会にしか聞けない音楽が体験できるはずなのだ。詳しくはコチラから確認してみよう。

【概要】

<東京公演>
■日程
2016年9月9日 (金) 

■会場
WWW X(渋谷区宇田川町13-17 ライズビル2F)

■時間
Open 18:30 / Start 19:30

■料金
前売 ¥4,000 / 当日 ¥4,500(別途ドリンク代必要)
※前売ご購入者にはGOMA未発表アルバム「Brain Dancer」プレゼント。

■出演
GOMA&The Jungle Rhythm Section.
中村達也 (drum).
AFRA (human beat box).

<大阪公演>
■日程
2016年10月30日 日曜日

■会場
NOON+CAFÉ(大阪府大阪市北区中崎西3-3-8 JR京都線高架下)

■時間
Open 18:00 / START 19:00

■料金
ADV ¥4,000 / DOOR ¥4,500 **ドリンク代別
※前売ご購入者にはGOMA未発表アルバム「Brain Dancer」プレゼント。

■出演
GOMA&The Jungle Rhythm Section

【書籍情報】

■書籍名
『失った記憶 ひかりはじめた僕の世界 〜 高次脳機能障害と生きるディジュリドゥ奏者の軌跡 〜』
※中央法規出版 / 四六判 / 248P / ISBN978-4-8058-5405-1 

■本体価格
1,600円(税別)

■Amazon注文ページ
http://www.amazon.co.jp/dp/4805854057 

■お問合わせ
中央法規出版(03-3834-6815)
http://www.chuohoki.co.jp/topics/event/1607121203.html 

Top Photo by Yukitaka Amemiya
Licensed material used with permission by GOMA