話し合いの最中に、相手が突然「話にならない!」と怒り出し交渉決裂の危機…そんな時、どうしたらいいのでしょう。無料メルマガ『弁護士谷原誠の【仕事の流儀】』では、谷原さんが現役の弁護士ならではの「危機回避術」を伝授してくださっています。

断固たる拒絶にあったら?

こんにちは。弁護士の谷原誠です。

交渉は、利害が異なるもの同士が諸条件をすり合わせ、何らかの合意を目指すものであり、対立点があっても粘り強く進める必要があります。

しかし、交渉のわりと早い段階で、こちらが提示した何らかの条件に対し「話にならない!」「まったくナンセンスだ!」と、一言のもとに拒絶されることがあります。

こういった言葉は、こちらを責めるような口調で発せられることも多く、言われた方は「これは本当にダメそうだ」と思ってしまうもの。あるいは、こうした感情的な拒絶を受けると、感情が高ぶり「こちらこそお断りだ!」と反発してしまいそうになります。

繰り返しますが、交渉は何らかの合意、問題解決に至るのが目的です。最終的に条件が合わずに決裂することは当然ありますが、交渉が行われている間は、合意を目指し、かつなるべくこちらに有利な条件を引き出すことに注力すべきです。感情に感情でぶつかっても何も生みださず、意味がありません。

では、そのような拒絶的な反応を示された場合、どうすればよいのでしょうか。

まず、相手が感情的になっても、伝染しないこと。自分の心を落ち着かせることです。そして、とにかく理由を聞くこと。これにつきます。

「どこが話にならないのでしょうか」

「どこがナンセンスなのでしょう。私の理解が不足しているかもしれませんので教えてください」

と落ち着いた口調で質問します。質問は、その問いに答えるよう相手を拘束する効果があります。

実は、「話にならない」と拒否した時点では、相手のニーズもあいまいであることもあり、質問に答える過程でそのニーズが明確化してきます。その相手の答えからニーズを読み取り、要望がはっきりしない場合は、慎重に質問を重ねていきます。

質問を重ねていくと、最初は「とにかくダメだ」と言っていた問題が、金銭的な問題に集約されていったり、損害賠償等の交渉で、お金についてよりも「心から謝ってほしい」という本心が現れたり等々、ニーズが顕在化していきます。単純に、こちらの出した条件の内容を誤解していることが拒絶の原因であることもあり、実はそれほど互いの要望がかい離していなかったということもあります。

相手が感情的に高ぶっている時に、それを鎮めずに理性的な話を始めようとしても必ず失敗します。その突破口となるのが質問です。

相手の感情的な言葉を、理性のレベルに落とし込んで、話し合いの余地があるところまで持っていくことが質問の効果です。

自分の心をコントロールしながら質問により相手のニーズを聞き出し、それに応えられるかどうか自分の中で検討し、次のアクションを取るという適切なプロセスを踏んでいきましょう。

「もし自分が死にそうになって、助かる方法を考えるのに1時間あるとしたら、最初の55分は適切な質問を探すのに費やすだろう」 アインシュタイン

今回は、ここまでです。

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『弁護士谷原誠の【仕事の流儀】』

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出典元:まぐまぐニュース!