初めてレギュラーとして臨むワールドカップ最終予選。ひとつ結果を残した西川が、安堵の笑みを浮かべた。写真:佐藤明(本誌写真部)

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[ロシアワールドカップ・アジア最終予選]タイ 0‐2 日本/9月6日/ラジャマンガラ・スタジアム

 GK西川周作は、試合終盤にカウンターから抜け出した相手選手との1対1のピンチで、シュートを身体に当ててブロック――。決まっていれば1-1に追い付かれていたという“あわや”の場面で、ゴール前でしっかり存在感を示した。
 
 西川にとっては、レギュラーとして初めて臨むワールドカップ・アジア最終予選。ようやくひとつ“完封”を収めたことで、「自分が見たことのない世界が待っていると覚悟していた。初戦に負けてしまって(UAEに1-2)、たくさんの方を悔しく、悲しい想いをさせてしまったが、自分たちの這い上がって行く姿をここから見せていきたい」と、この1勝を喜んだ。
 
 この日、西川が心掛けたのは、「基本にしっかり立ち返ること」だったと言う。決して最近、基本をおろそかにしていたわけではない。しかし最終予選は、やはりこれまで味わったことのない「見えないプレッシャー」に知らず知らずのうちに気圧されていた。

 そんな現実を受け止め、普段どおりのプレーを出すことを心掛けたという。前半に相手が裏のスペースを突いて抜け出してきた場面。そして後半の1対1……。守護神は次のような「判断」を選択した。
 
「自分が飛び出していいのか、飛び込めないのか。飛び出したくなるような間合でしたけど、上手く我慢して、とにかく動かないことだけを意識しました」
 
 動かない――“動じない”ことを選択したと言うのだ。
 
「基本的なことができていれば、(ボールは)身体に当たってくれるものなんです」
 
 そう笑みを浮かべた西川は、次のようにUAE戦のことを振り返った。
 
「Jリーグではキッカーよりも先に動くことはまずないのに、UAE戦でのFKでは動いてしまった(そして失点を喫した)。だから、初戦を終えたあと、とにかく基本的なことを大事にしながらプレーしようと改めて心に誓いました」
 
 先に動いてしまったことを悔やんでいると、今回のタイ戦ではさっそく、「動かない」ことを優先するプレーで、日本のピンチを救ってみせたのだ。
 
「見えない重圧をどこかで感じながら、試合をできています。その見えないプレッシャーに打ち勝ち、結果を残せれば、自信にもつながっていきます」
 
 西川は続けて言った。

「2次予選とは違う雰囲気であり、相手の強さも違います。なかなか簡単には勝てない相手との対戦が続くので、一つひとつのことに集中して結果を出していきたいです」
 
 とはいえ一方で、タイ相手に決定機を含め何度かピンチを作らせてしまったという反省点も残った。次は強豪イラクをホームに迎える。さらにオーストラリア、サウジアラビアという難敵との対戦が続く。
 
「相手に隙を与えないような守備を心掛けていきたい。ミスからピンチになることが多くあることが、チームとしては修正点だと思う」

 その修正の仕方についても、具体的に考えている。

「最後のところで、もうちょっと落ち着かせることが大事。一旦プレーを切るという選択をしても良かったかもしれない。つなごうとしてミスになったり、相手にボールが当たったり、そういうことが続いてしまったので、メリハリをつけならば、もっと勝ちにこだわらなければいけない。
 
 見えない重圧を“実感”するなかで、ひとつ完封という結果を残した。西川は帰国後の週末、今度は浦和の一員として、第2ステージ3位の鳥栖との上位対決に臨む。2位浦和とは、わずか勝点1差――。

 負けられない試合が続く。