UAE戦に続きトップ下で先発した香川(10番)だったが、上手くボールを収められずまたも沈黙。後半に訪れた1対1のビッグチャンスもモノにできず……。写真:サッカーダイジェスト

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 収穫は勝利したことだけだ。それ以外、なにも褒めるべきところがないゲームだった。
 
 選手のパフォーマンスに触れる前に、まずはハリルホジッチ監督の采配について物申したい。交代の判断が遅すぎだ。82分になってようやく交代カードを切ったけど、前線の選手があれだけチャンスを外していたら、普通もっと早く動くべきだろう。

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 それに、UAE戦に続いて、この試合でも香川の出来は良くなかったのに、なぜ90分起用し続けたのか。もちろん、香川が良い選手なのは間違いない。でも、調子が悪い時もある。この日は、ボールをキープできないし、ドリブルを仕掛けたらミスも冒した。どう見ても、途中で交代させるべきだったんじゃないだろうか。
 
 香川に採点を付けるなら、5点満点中「1点」だろう。それくらいのパフォーマンスだったと思う。ただ、なにも香川を責めているわけではない。本来のパフォーマンスを示せないにもかかわらず、起用し続けたハリルホジッチ監督に懐疑の目を向けたいのだ。

 香川が攻撃を牽引できなかった影響もあって、再三チャンスを作っても、得点は2点のみ。もはや、攻撃は重症としか言いようがない。もちろん、雨が降ってピッチコンディションが悪かったり、湿度が高かったのも考慮すべきだとは思う。でも、決定機は山ほどあった。前半には浅野のクロスに反応した本田がフリーでシュートを外したり、後半にも香川が1対1を決め切れなかったり……。アウェーとはいえ、いくらなんでも情けない。
 
“チャンスの後にピンチあり”とはよく言うけれど、あれだけ決定機を外していたら、負けていても不思議ではなかったと思う。後半は、タイの選手たちの足が止まっていたから助かったけれど、そうでなかったら違った結果になっていたかもしれない。決めるべきチャンスを決めないと痛い目に遭うということを、選手たちは肝に銘じてほしい。
 
 決定力不足もそうだが、この試合でとにかく気になったのは技術的なミスだ。日本の選手たちは、味方の足もとではなく、どうしてもスペースに出したがる。その結果、トラップがずれて、こぼれ球を敵にかっさらわれてしまう。相手の攻撃を受けたシーンにしても、元を辿れば、ミスからボールを奪われたプレーが発端だったものも少なくなかった。
 
 敵から奪ったボールを、なんとなく味方へつなごうと考えているからそういったミスが起こる。味方の足もとへしっかりつないで、受け手がキープする。そこからサイドの選手が絡みながら2次、3次攻撃へとつなげていく。これはこの試合に限らず、以前から指摘していることだが、そういった連係がまだ完全に確立できていないのが、改めて浮き彫りになった。
 話は前後するが、ハリルホジッチ監督には、選手起用でもう少し頭をひねって欲しいとも言いたい。
 
 タイ戦のように、トップ下の香川にボールが収まらないのを見て、なぜ中央に本田を入れないのか。清武という選択肢もあるかもしれないが、相手を背負ってもボールを奪われないのはこのチームでは本田だけ。彼のキープ力を活かせば、状況に応じてカウンターアタックも繰り出せるし、攻撃の幅が広がる。サイドに置いておくのは勿体ないし、香川が機能不全に陥っていたのだからなおさらだ。
 
 そのうえで、キックの精度が高い清武を左右のどちらかのサイドに置けば、クロスやパスのセンスがより活きてくるだろう。例えば、この試合の後半は、相手の運動量が落ちてゴール前にスペースが生まれていた。清武を起用していれば、攻撃にまた違った変化が生まれたかもしれない。