旬をおいしくいただくならば vol.004

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【第1・第3火曜日21:00配信】
美しい四季に彩られたニッポン。“旬”がココロとカラダへ染み渡る。フードユニットつむぎやが、季節のお料理や食材をおいしくいただけるお店をご紹介。

◆今回訪れたお店 プーレドール

鶏肉、野菜など、作り手の想いを料理にのせる

広尾から中目黒に移転したあとも、常連さんがお店に顔を出す。お目当ては看板メニューのロティサリーチキンだ。中目黒の新しいお客さまにも着々と味が浸透している様子。丸焼きチキンの専用オーブンで焼かれたロティサリーチキンは、こんがりバリッとジューシーで嫌な臭みがない。鶏肉は縁あって植物性の飼料にこだわった「つくば鶏」を使用しているそう。とにもかくにも、絶品なのだ。



「プーレドール」店主の北川さんは、京都の出身。このお店を一緒に立ち上げた山本慎也さんも同じく京都。北川さんが住んでいたのが金閣寺のすぐ近く、山本さんが銀閣寺の近く。そんなふたりが出会ったのは、大学生のとき。アルバイト先の飲食店で一緒に働いていくうちに意気投合、ふたりはいっきに料理や飲食店経営に惹かれていく。

大学を卒業して、山本さんが先に東京へ。それを追いかけるように北川さんも東京で飲食店の新店舗立ち上げなどプランニングの仕事を経験。東京での10年は、楽しいことばかりではなかったけれど、「10年後一緒にお店をやろう!」という山本さんとの約束を実らせるべく、京都の人にとって愛すべき食材「鶏肉」をメインにしたお店「丸焼きチキン酒場 プーレドール」が誕生する。



「焼きたてのチキンを食べていただくため、50分ほど時間をいただく。作りおきはしたくない。だって断然焼きたてがジューシーで柔らかくて、こんがり焼けた皮もバリッとしていておいしいから」と北川さん。

以前お店を構えていた広尾では場所柄、大使館がいくつかあるので、外国人のお客さまもよく来店したそう。最初はこの待ち時間がなかなか理解してもらえなかった。「Always no chicken!」と言われたことも…。でも一度食べると分かってもらえるようになり、ここのチキンを食べると故郷で家族と食卓を囲んでいたことを思い出すよ!と言ってもらえるまでになったそう。



「ロティサリーチキン」2689円

野菜のメニューが多いのもポイント。ご縁のある農家さんからおまかせで毎週送られてくるそうだ。今は、ぷりっぷりで瑞々しい水茄子。塩こしょうとエキストラバージンオリーブオイル、少しのレモン汁でマリネ。その上にスペシャルな生ハムをトッピング、以上。とてもシンプルだ。

この生ハムは、セラーノ工房尾島さんが40年前から国産無添加で作り続けてきたもの。18〜24カ月熟成させて、いちばんおいしい時期を見て、送ってくれるのだそう。チーズのような風味と熟成させた旨味の余韻が続く。よ〜く生ハムを見ると脂身だと思ってた白い部分は実はアミノ酸が結晶化したもので、しっかり熟成している証拠。尾島さんの生ハムが仕入できる飲食店はそう多くない。これも北川さんたちが尾島さんの元へ訪れて、信用を得たからお店で提供できるのだ。



「水茄子のマリネ 生ハムのせ」1609円

キング オブ 枝豆!と言ってもいいくらいの山形県は鶴岡のだだちゃ豆。作り手は、昨年、私も北川さんたちと一緒に参加した『山形たべる通信』での食材を巡る弾丸ツアーで出会った鈴木俊将さん。ちなみに彼はだだちゃ豆のほかにきくらげなども作っている。

フライパンにオリーブオイルを熱して、豆を入れて焼きつけ、フタをしてこんがり蒸し焼きに。仕上げに塩をふってできあがり。シンプルながら、だだちゃ豆の旨味が十分に引き出されている。これは、もぉ止まらない。



「焼きだだちゃ豆」421円

プーレドールの料理からは、料理人と作り手のしっかりとしたつながりを感じる。
「作り手の想いを料理にのせて、お客さまに伝えるのが自分の役目。素材の素晴らしい魅力を崩さずシンプルに料理をして味わっていただきたいんですよね」と北川さん。今後も素材の持ち味を最大限に引き出した飾らないお料理を楽しみに、通い続けたい。



TEL:03-6416-4953
東京都目黒区青葉台1-18-7カスタリア中目黒103
営業時間:平日11:30〜15:00 (14:30LO) 18:00〜24:00 (23:00 LO) 土日祝11:30〜23:00(22:00 LO)
定休日:不定休
席数:18席
アクセス:中目黒駅より徒歩6分
カード:可
予約:有
平均予算:昼1000円〜2000円 夜1500円〜4000円
喫煙種別:分煙



料理研究家。マツーラユタカとともにフードユニット「つむぎや」として活動。雑誌、書籍、イベントなどで、和食ベースのオリジナル料理を提案している。現在、横浜と松本の二拠点で活動中。松本では義父の田畑を手伝ったり、信州の農家さんや木工作家さんたちの日々の営みを取材しながら、料理も考え、イベントで共有し、最終的には本に仕上げる「アルプスごはんのつくり方」というプロジェクトを進めている。著書に「和食つまみ100」(主婦と生活社)、「ぱんぱかパン図鑑」(地球丸)など。

WRITTING/KENICHI KANEKO PHOTO/KAZUHITO MIURA