人と人とのつながりがビジネスを生む、「共感経済」という考え方

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目に見えない資本を使って、目に見えない価値を生み出す。人と人のつながりが、地域を変えて世界を変えていく。共感経済の日本モデルを構築したいと考えるJC会頭に話を聞いた。

長野県白馬村に滞在するスキー客を糸魚川市まで運ぶシャトルバスの運行が、今年に引き続き、来年1月、2月も実施されるのでは、とメディアで話題となった。

白馬村は飲食店が少ないことから、満席で店に入れないという夕食難民が続出。糸魚川青年会議所は、地元の新鮮な魚介類を楽しんでもらいたいとシャトルバスを用意し、地域の飲食店を利用してもらう事業を行ったのだ。

公益社団法人 日本青年会議所(通称JC)は組織内に「稼ぐ地域創出委員会」を発足させ、このようなビジネスモデルを続々と誕生させるという。 

JCの第65代会頭として、山本樹育が常に模索していることが、「人々のつながりや共感を地球規模に拡大し行動する」ということだ。先に紹介した糸魚川JCのケースも人と地域が結びつくことで生まれたビジネスだ。

「JCという組織は、純粋な志だけで動いているメンバーが多いのです。しかし、そこに経済を絡ませることは、過去にはタブー視されていました。だが、これからの時代は社会貢献とビジネスが協調しあってこそ、地域経済が活性化していきます。JCでは、実際に経済の循環が自然に生まれていくという状況を経験してもらうことにしました。最初は、地域の宝を掘り起こそうと、何か売りになるような面を見つけ出して単純にアピールしていたのですが、それをビジネスにつなげるところまで踏み込むように企画を立てていくようにしたのです」

インターネットの普及などで瞬く間に他者に影響を及ぼす時代だからこそ、人々の確実なつながりを感じながら、良心に基づいた支え合いが何よりも重要だと語る山本。発展的な経済活動と社会貢献活動を両立させて、日本らしいコーポレート・ソーシャル・レスポンシビリティ(企業の社会的責任・略称CSR)モデルを築いていきたいと考えている。

「国連でもグローバルコンパクトというスキームが企業に提案されていますが、民間の力を積極的に取り入れながら様々な問題に取り組んでいこうという機運が世界的に高まっています。私が世界に貢献したいと具体的に想いを抱くようになったのは、地元大阪JCの活動を通してです。そのきっかけとなったのがCSRの学びです。2008年に大阪JCの委員会で、CSRをJC内で積極的に訴えていこうという運びになったのです。さらには、10年11月に国際青年会議所(通称JCI)の世界会議を大阪で開催することが決まっており、その際に論題となりそうな題材ということもあり研究をしました」

同年世界会議直前の9月に大阪青年会議所主催で、「TOYP」(The OutstandingYoung Persons)というフォーラムが開かれた。1981年から国際的な民間ネットワークの構築を目指し、毎年行っていたが、この年のテーマが「世界平和」であった。

「大会開催までの2年間に、世界のCSRを研究して国内の事例を作り、その成果をまとめたのです。海外視察も実施し、私が韓国とパナマを、他メンバーがフィンランドと西アフリカのブルキナファソと世界4カ国を回りました。

CSRは基本的に『社会に対する利益還元』として法令厳守や商品・サービスの提供、地球環境の保護、従業員の人権尊重などが求められているものです。日本では企業などの寄付やボランティアと混同されることがありますが、お国が違うとその在り方も違うものです。各国での状況を調べていくうちに、日本らしいCSRとは何かを考える機会を持てました。日本人としての心を基軸にして、共感性を大切にしながらCSRを根付かせていくことが、これからの企業には必要だと思いました」