『神様の御用人』(1〜6巻)

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 神様にだって願いはあるのだ!と、ある日突然、神様の願いを聞いて回る“御用人”に命じられた、ごくごく平凡なフリーターの良彦。その日から始まった(お目付け役?)モフモフ狐神・黄金との、ちょっと間抜けな神様クエスト……。

 そのユニークな切り口で遂に累計100万部を突破した「神様の御用人」シリーズ、その人気の秘密はなんといっても、良彦&黄金の凸凹コンビと、次々と登場する神様たちの意外(?)かつ愛さずにはおられない人間臭いキャラクター。しかも楽しく読み進むうちに、これまで知らなかった神々の由緒や歴史も身近になって……。今回の第6巻でも、「平将門」「建御雷之男神」「宗像三女神」について、わくわくどきどきの発見と、神々の秘められた切ない物語がたっぷり堪能できる。

「第一話で登場する将門は菅原道真と同じく怨霊としても有名ですよね? でも今回、その人生を改めて調べてみると、御輿に担ぎ上げられて後に引けなくなっちゃったけど、地元の人には慕われていたということがわかって。怖いというより、むしろ“いい人”だったのかもと。だから今回は、そんな将門の一面にもスポットを当ててみました。また、建御雷之男神(茨城・鹿島神宮)のくだりでは、本文中でも触れましたが、“経津主神(編注・作中で建御雷之男神に仕える刀剣の神)の別名”というのが最初のヒントになりました。ただ、それだけだと普通すぎるので、何かもう一つ付け加えるとしたら?と考えて出来たのが、このお話です。

 そして、第三話に登場する宗像三女神(福岡・宗像大社)は実は私の産土神(編注・生まれた土地の守り神)で、いつかは登場させたいと思っていた女神様たち。でも宗像大社の神領である沖ノ島は、女人禁制の絶海の孤島。そこで今回は『世界ふしぎ発見』の沖ノ島特集と又吉直樹さんが沖ノ島を訪ねた番組を何十回も観て、羨ましすぎると思いつつ(笑)、自分でも地図を作って書きました。サナの設定は、あれだけ大規模な祭祀だったのに力のある巫女の記録が全く残っていないことと、日本書紀と古事記では宗像三女神についての記述が全然違うこと。それらについて何でかな?と考えているうちに、宗像氏・天武天皇・古事記の繋がりを知って、もうこれしかないかな、と」

 古代史に埋もれていた点と点を繋いで、古代と現在も繋いで。だからこそ改めて思い出させてくれる、忘れてしまっていた神様と人間との温かく優しい関係。でも最後の「前兆」のくだりを読むと、次の第7巻は何だか少し変わってきそうな気配も──?

「そうですね(笑)。これまでは、結局は人間に甘く優しい神様たちが登場してきましたが、調子に乗ってると痛い目に合わせるのも神様の役目。なので、今後の良彦君の成長のためにも、少しそっちにも振っていこうかなとは思っています。特に今回、最後に登場した須佐之男命はこれまでの神様たちとは全く違うキャラになるかも。なにしろ彼は神界一の暴れ者、蒼き貴神ですから」
 

取材・文=藤原理加

『神様の御用人』(1〜6巻)浅葉なつ

特殊能力も何もない、京都在住フリーターの良彦が、ある日突然、狐神・黄金から神様の御用人の役目を命じられ──。スイーツに目がないモフモフ黄金をはじめ、大国主神、須勢理毘売、倭建命などなど、良彦に御用を頼む神様たちのキャラが何とも愛らしい。読むだけで神社と神様が身近に、古代史に詳しくなれるのも人気の秘密!