大逆転優勝にはカップを得ただけではない特別な意味があった(撮影:岩本芳弘)

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 プレーオフ第2戦のドイツ銀行選手権は、首位に6打差の7位で最終日を迎えたローリー・マキロイの見事な逆転優勝で幕を閉じた。
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 マキロイはメジャー4勝のトッププレーヤーとはいえ、ここ最近はいろんな苦悩が続き、今季の米ツアーではトップ10に6度も入りながらも優勝できずに来た。
「いろんな苦悩」とは、結婚にまつわる私生活面の出来事だったり、肉体故障だったり、ゴルフにおいてはメンタル、ショット、パット等々、いろんな課題が山積していた。
 今週は初日の出だし3ホールで4つスコアを落として大きく躓いたが、そこから徐々に巻き返して逆転勝利したマキロイの戦いぶりには彼の成長が感じられた。
「出だしの3ホールのあと、頭の中に本当にたくさんの事柄がよぎった。試合の最後にこうしてトロフィーの横に座っているなんてことは、その瞬間は考えもしなかった。だから今は信じられない気分だけど、この勝利は僕の未来に対する素晴らしいレッスンになった」
 マキロイが学んだことの1つは、メンタル面の保ち方、持っていき方だった。
「出だしの3ホールで4オーバーになったら、そこから崩れていくのは簡単なこと。そうなった経験は僕にもあった。でも今週は、その状況を逆手に取り、そこから盛り返して逆転優勝するという僕にとって未知の世界を実現してやろうと思った」
 その盛り返し方も無理や無茶をするのではなく、初日はまずは4オーバーをイーブンパーまで戻し、2日目は67、3日目は66、最終日は65と勢いを徐々に増しながらスコアを伸ばしていく我慢の追い上げだった。
「忍耐強く戦って優勝した自分を、今、僕は誇りに思う」
 そして、もう1つ、今週の戦いを通してマキロイが学んだことは、それぞれの分野のプロフェッショナルを有効活用する大切さとその効果だ。
 マキロイは昨季の半ばごろから悩み続けてきたパットの修正をヘンリック・ステンソンが師事しているパット専門コーチのフィル・ケニヨンに依頼したばかりだが、その効果が早くも出て今大会の優勝につながった。
「長いことできなかったパットが今週はできた。ここ最近でベストなパットができた」
 ケニヨンの指導は、いろんな動きが同時進行するパッティングストロークをできる限りシンプルにするという作業なのだそうだ。
 興味深いのは「シンプルにする」と言っても画一的な型にはめようとするのではなく、それぞれのゴルファー特有の動きを単純化していくものだとマキロイは言う。
「パットのコーチの候補は他にもいたけど、フィルの指導を受けているプレーヤーを見比べてみたら、誰一人、同じ動きをしていなかった。それぞれが固有の動きをしている」
 ステンソンもルイ・ウエストヘーゼンも異なるストロークをしている。だから僕も僕らしさを失うことなくパットを向上させられるのではないか。それが、マキロイがケニヨンを選んだ理由だった。
 「筋肉隆々のマキロイはフィットネスをやりすぎて不調なのでは?」
 この1年、そんな内容の批判記事は彼が勝利を逃すたびに世界のあちらこちらから飛び出した。マキロイは「とてもアンフェアで納得のいかない批判だった」と言いながらも、そうした批判や喧噪にとらわれることなく、自分が信じる道だけを忍耐強く、謙虚に歩んでいくつもりだと言う。
「本当に、すばらしいレッスンになった」
 優勝の喜びより、学んだ教訓を静かに繰り返すマキロイの姿がとても印象的だった。
文 舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)
<ゴルフ情報ALBA.Net>

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