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高齢者の消費生活トラブルがあいつぐ中、「高齢者の消費者被害の防止」をテーマにしたシンポジウムが8月30日、東京・霞が関の弁護士会館で開かれた。主催は、東京弁護士会など、東京都の3つの弁護士会。会場には100人を超える聴講者が集まった。(ライター・長嶺超輝)

福祉の分野で活躍する八杖友一弁護士(第二東京弁護士会)のほか、高齢者のための「見守りネットワーク」に積極的に取り組む都内の自治体職員が登壇し、高齢者の消費者問題をめぐる課題の指摘や解決に関する議論が行われた。

振り込め詐欺やリフォーム詐欺など、高齢者を狙って金銭を騙し取る事件が社会問題となって久しい。高齢者の消費生活相談は全体の27%を超え、総人口に占める高齢者の割合を上回っているという。

八杖弁護士は「被害の実態は完全に把握できておらず、まだまだ潜在しているのではないか」と指摘する。被害の予防と早期発見、解決の道筋について、改良の余地があると話す。

●条例を作って取り組む中野区

東京都内では、中野区が「高齢者見守りネットワーク」のルールを正式に条例化し、積極的に取り組んでいる。

同区の「地域支え合い活動の推進に関する条例」では、中野区に住む70歳以上の単身者と、75歳以上のみで構成されている世帯は原則としてすべて、「見守り対象の名簿」に入れることにした。あえて不同意の意思表示をした高齢者だけを、例外的に名簿から外すというやり方で、見守り対象をできるだけ広げる試みを行っている。

中野区地域支え合い推進室の貞清ひろみ氏は、消費者被害の情報を把握するため、「被害者本人でなくても、周囲の人が被害を通報しやすいよう『悪徳商法等被害連絡シート』を用意している」と説明する。

「地域包括支援センターなどの見守り関連団体や消費生活センターと情報を共有できる態勢を整えている。そこから必要があれば、見守りネットワークに協力してくださっている弁護士に繋ぐようにしている」(貞清氏)

また、消費者被害の再発防止のため、認知能力や判断能力が衰えた高齢者の代わりに契約などの法律行為を行う「成年後見人制度」との連携もスムーズに行われることが求められる。こちらも、弁護士や司法書士など法律家の活躍が期待される領域だ。

●被害情報が犯罪組織に知られるリスク

ただし、悪徳商法の被害情報を共有することにはリスクも伴う。もしも、詐欺や強迫に引っかかって商品を買ったことがある高齢者の個人情報が漏洩し、ひとたび悪意を持つ者の手に渡れば、そのまま悪徳商法の「カモ」候補のリストに転化しうるからだ。

この点について、八杖弁護士は「見守りネットワークを運営するのは、自治体の福祉部門が多く、いつもセンシティブな個人情報を扱っている。そのため、被害者情報についても、意外と扱いが緩くなっているのではないか」と厳しく指摘する。

一方で「個人情報を共有するリスクについて意識を高めながら、警察に集まっている情報を見守りネットワークに繋げることができれば、より効果は上がると思う」と、今後の展望を述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)