店舗数の拡大で質の向上も図れるか

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 コンビニ業界のシェア争いが慌ただしくなってきた──。9月1日、業界3位の「ファミリーマート(以下、ファミマ)」が流通大手のユニーグループ・ホールディングスと経営統合したことで、ユニー傘下の「サークルKサンクス(以下、CKS)」の全店舗(7月末時点の店舗数は6251店)を2019年2月までにファミマに衣替えすることになったからだ。

 この統合により注目されているのが、コンビニ王者であるセブン─イレブン(以下、セブン)の牙城が崩れるのかという点だ。

 確かに、単純にファミマとCKSの店舗数を合算すると1万8123店になり、2位のローソン(1万2537店)を抜き去り、セブンの1万8860店に肉迫する。統合会社のユニー・ファミリーマートホールディングスの上田準二社長も、

「われわれのチェーンビジネスは〈数=質〉〈質=数〉。規模の拡大と質の向上は直接つながっていくと思う。全国にドミナント(※注)を密に広げていくことによって、いろんな事やサービスを提供する場になっていく。まだまだセブンさんとは格差はありますが、キャッチアップしていきたい」

【※注/特定地域内に集中した店舗展開を行なうことで経営効率を高め、市場シェアを拡大させていく戦略】

 と自信をのぞかせた。では、実際に「ファミマ×CKS」の再編で全国の勢力地図はどのように塗り替わるのか。経済誌『月刊BOSS』編集委員の河野圭祐氏が解説する。

「ファミマは2009年にエーエム・ピーエム・ジャパンを買収した効果もあり、東京都や大阪府ではセブンと拮抗する形で店舗数を伸ばしてきました。そこに、愛知県発祥で周囲の三重、岐阜、福井の各県でもトップを誇っていたCKSが加わることで、東名阪の三大都市でダントツの店舗数を握ることになります」

 一方、迎え撃つセブン陣営は、東京以外の首都圏、一部東海、甲信越、北関東、中部、九州など幅広いエリアでドミナント戦略を拡大させており、すでにシェアを独占している大都市エリアを新生ファミマが切り崩すのは難しい。そこで今後「陣取り合戦」が激しくなりそうなのが地方だ。河野氏が続ける。

「鹿児島県などの南九州、それに沖縄県はファミマがトップでしたが、セブンも空白地帯だった沖縄進出を明言しており、こうした商圏の小さな県から“ガチンコ対決”が行われていくでしょう」

 だが、新生ファミマの規模拡大がどのくらいのスピード感をもって行なわれるかは未知数だ。というのも、旧ユニーは経営統合と同時に約1000店に及ぶ不採算のCKSを閉鎖・店舗移転させる考えを持っている。

 業界内では、「立地の重複や統合コスト負担、有力FCオーナーの他チェーンへの鞍替えなどを考えれば、閉鎖店舗は1000店では済まず、2000〜3000店も十分にありえる数字」(大手コンビニ幹部)との憶測も流れている。

 いまのところ、看板の統一だけでなく、店舗システム、取扱商品などもすべて旧ファミマに片寄せする予定だが、「店内に設置するATMの機種をめぐり、ファミマとCKSで折り合いがついていない」(コンビニ幹部)という噂が広まるなど、この期に及んで店舗統合には不安もつきまとう。

 何よりも、セブン追撃にもっとも不可欠なのが、商品力や売り上げをどこまで伸ばすことができるかだ。前出の河野氏が指摘する。

「ここ数年のファミマは、例えば『冷やし中華』の麺にモチモチ感を加えたり、タレを夏の間だけで2回も変えたりするなど、惣菜を含めた商品力はかつてとは比べものにならないほど良くなっています。

 それでも日販(1日1店舗あたりの売上高)で10万円以上も差をつけられていることを考えると、セブンの優れたMD(商品政策)に追いつくのは容易ではありません。上田社長も言うとおり、数と並行して質のキャッチアップができなければ、統合した意味はありません」

〈どの業界でもナンバーワンVS対抗勢力しか勝ち残れない──〉が持論だった上田氏は、見事にファミマを2番手まで引き上げた。しかし、すでに飽和状態といわれるコンビニゆえに、今後も他業態を含めた大掛かりな再編劇が起きる可能性は十分にあるだろう。