タイ戦の予想布陣。本田、岡崎、香川の「トライアングル」は鉄板か。左股関節の違和感から復調した柏木、UAE戦で質の高いパフォーマンスを見せていた宇佐美もスタメンに予想した。

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 後々、振り返ってみれば、この一戦がキーとなるかもしれない。
 
 初戦でUAEに逆転負けを喰らい、最終予選でまさかの黒星スタートとなったハリルジャパン。続く今回のタイ戦は、いくらアウェーと言えど、いくらタイ・サッカーが成長していると言えども、日本との実力差を考えれば負けてはいけない試合である。言い方を変えれば、勝点3は最低限のノルマだ。
 
 たとえタイに勝っても、グループ内で優位に立てる保証はない。それでも、初戦の敗戦にうなだれた選手たちはいくらか自信を取り戻せるだろうし、今後の戦いに向けてもポジティブになれるはずだ。
 
 しかし、万が一、連敗しようものなら……。過去3年間のデータを振り返れば、プレーオフに回らず、本大会行きを決めた国に許されるのは、2敗まで。負ければ日本は文字通り“崖っぷち”に追い込まれるわけだ。
 
 失意の敗北を機に、ハリルホジッチ監督の解任騒動に発展してもおかしくはない。指揮官が代われば、またチームは一から作り直しだ。最終予選の期間は約1年あるとはいえ、監督交代は大きなロスである。
 
 その意味では、今回のタイ戦は、UAE戦以上に重要なゲームとなる。相当なプレッシャーがかかるなか、果たして日本は踏ん張ることができるのか。
 
 慎重な戦いを強いられるなか、指揮官が“冒険”をするとは考えにくい。とりわけ、失点が続く守備陣は、計算できる(かつ現時点で最高の組み合わせとなる)メンバーが顔を揃えるはず。4バックは吉田を軸に、相棒は森重、右に酒井宏、左に酒井高、守護神は西川と、UAE戦と同じ面子が並ぶだろう。
 
 注目はボランチの組み合わせだ。キャプテンの長谷部は当然として、UAE戦で「先発代表デビュー」を飾った大島はベンチスタートと見た。大島は、UAE戦で2失点に絡み、攻撃面では持ち前の縦に早く付ける配給が思うようにできなかった。2試合連続で先発させる判断材料が、あまりにも乏しい印象である。
 
 となると、柏木か、山口か。手堅く戦うなら守備力の高い山口だが、タイ戦は負けが許されないと同時に、勝たなければならない一戦でもある。左股関節に不安を抱えていた柏木だが、前日練習後のミックスゾーンでは「体調は良い。今日に向けて準備してきたつもり」と語っていた。長短のパスを織り交ぜ、ゲームメイクもチャンスメイクもこなせるレフティが、日本の攻撃をブラッシュアップできれば、勝機は見えてくる。
 トップ下は香川と予想した。たしかにUAE戦でのパフォーマンスは褒められたものではなかったが、現時点で香川以上にこのポジションを託せる選手がいるかと言えば、答えはノーだ。消去法かもしれないが、背番号10を背負う男の奮起に期待したい。
 
 トップ下には、清武を推す声もある。ただ、冒頭15分だけ公開された前日練習でのランニング時、清武はいくらか身体が重そうだった。UAE戦でも序盤からかなり“飛ばしていた”だけに、まだ完全に疲労が抜け切れていないのではないだろうか。
 
 清武は左ウイングという選択もあるが、今回は宇佐美がファーストチョイスになると見た。クラブでのプレータイムは少ないかもしれないが、途中出場したUAE戦で“慣らし”を終えたはず。タイ戦ではフル稼働してくれそうな予感が漂う。
 
 右は絶対的存在の本田だ。ここ一番での決定力の高さは健在で、長谷部と同様、精神的支柱としても頼りになる。
 
 そしてCFは岡崎。すでに触れたように、この大事な局面で指揮官が大胆な手に打って出るとは思えない。浅野や武藤など、生きの良いカードはあるが、ここは経験と実績を誇るエースがスタメンに名を連ねるだろう。
 
 とにかく、ガムシャラに戦うしかない。タイのセーナームアン監督は、「日本はアジアでナンバーワン。弱点はない」と語る。リップサービスかもしれないが、日本はすでにホームで1敗している以上、アジアの頂点に君臨しているわけでもなければ、弱点があるから、2失点しているのだ。
 
 自分たちが置かれている状況を謙虚に受け止め、足元を見つめなおしてピッチに立てば、自ずと結果はついてくるだろう。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)