海外在住の日本人がリレー形式でコラムを配信する無料メルマガ『出たっきり邦人【アジア編】』。今回は、ドゥテルテ新大統領が麻薬取り締まり強化を推し進めるフィリピンから現地レポートが届いていますが、その無謀とも言える強硬な「やり口」に国家警察も弱腰とのこと。さらに大統領、国連にとんでもない暴言も吐いてしまったそうで…。

ビサヤン天国 ―体力と忍耐と― う〜ん 大丈夫か フィリピン

ドゥテルテ大統領就任して2ヶ月、麻薬取り締まり強化に着手して麻薬犯罪に絡む殺人事件が早2,000件。すげ…。

8月末の段階でフィリピン国家警察トップによると7/1以降915人の麻薬密売人、常習者が警察による摘発の過程で殺害。逮捕者が1万3,247人だそうだ。その他自警団などの犯行を含めると、殺害された人数は2,000人を軽く超えるらしい。まあヘタしたら実際は倍なわけで。

諸外国はもとより、カトリック教会もみんな法執行に当たり人権を尊重すべきだと強く申し出るも全く介さない。

最初はドゥテルテ大統領の強硬路線に賛同していた国民も、さすがに2ヶ月間で1,000人以上もの人間が殺されている状況をみて怖くなってきたというのが正直な所。

どこまで強気だドゥテルテさん。国連人権高等弁務官事務所からの非難に対して、「内政干渉だ!」と反論。言動がまた物議を醸してしまっている。フィリピン南部ダバオ市で演説。英語で「恐らく国連からの離脱も考えなければならない」と言った後、タガログ語で「馬鹿野郎め、お前がそれほど侮辱するんだったら、我々は脱退するだけだ!」なんて言っちまったもんで…。

「国連がフィリピンの窮状を知らんからだ。最後に来たのはいつだ? 批判以外は皆無だ!」

おいおいおいおいおい(汗)。

慌てたのは周りの人間。急いで火消しに回る。ヤサイ外相、即記者会見。「大統領の発言は深い失望と不満を表明したものであって、国連脱退を示唆するものではなかった」。ううっ苦しいヤサイ氏。

「かなりの不満はあるが、フィリピンは国連への関与を続ける」

大変ねえヤサイさん…。先日の中国との領土問題、仲裁裁判結果については最初にコメントを出したのは、当時親中家といわれて周りをハラハラさせていた大統領ではなく、この方だった。

火消しは未だに続いている。日本でも報道されちまってるからなあ。ドゥテルテさん、市長と大統領は立場がかなり違うんですけどね…。国の代表の言動になっちまうわけなんですけどね。

国連の報告書の一節

麻薬取引の罪は路上での銃撃によってではなく、法の支配する法廷で裁かれるべきである。

フィリピン当局に対し、標的殺人や司法外処刑から全ての市民を守る対策を導入して即座に思考することを求める。

ま、そうなんですよ。と、そこへこんなニュースが飛び込んでくる。

「国家警察長官が大統領が掲げた就任から6ヶ月以内の薬物撲滅という目標達成に懸念を表明」

これまで教鞭的な取り締まりの陣頭指揮を担ってきた国家警察の長官がだよ。初めて弱腰の姿勢をみせたって紙面に出た。大統領は就任から6ヶ月以内で大統領危険薬物委員会が試算した薬物犯罪関係者全てを摘発する方針だった。期限内に目標を達成出来なかった場合、各地域の本部長、警察署長を解任するとも発表していた。

その試算ってば何よ。フィリピン国内で180万人が薬物犯罪に関与してるって試算よ。それを? 6ヶ月で? 無理だって。

首がかかってるねえ、ひやひやだねえ、皆さん。

逆に大統領報道官は定例記者会見で「我々は上々の成果を上げてる」とし、「今までは違法薬物の問題を周知させる時期だった、これからは第2段階。すでに薬物への関与疑惑を持つ警官のあぶりだしという形で始まっている」と強調。薬物関係者の取り締まり強化に加え、薬物常習者の更生施設プログラムの増強に取り組むとさ。

確かに殺されるのが怖くて自ら出頭する人間が何万人もいるって話だから、すでに刑務所は満タンだし、どうしようかってことも流石に考えないとね。さてどこまで突張しきれるか…、大統領…。

繰り返しますが、選んだのは国民ですから。

著者/トム爺(「ビサヤン天国 ―体力と忍耐と―」連載。フィリピン・セブ在住)

image by: Flickr

 

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出典元:まぐまぐニュース!