一般社団法人国際統合治療協会(IITA)は、大門メディカルクリニックと保険適用の漢方薬で、うつ病を改善する治療の共同研究を開始した。これにより、うつ病の改善、向精神薬や睡眠薬からの離脱が期待される。また、投薬療法のみならず、東洋医学の専門スタッフから体質改善の指導を行っており、そこへ東洋医学体質アンケートによる管理を行なうことで、治療の成果を可視化することができる。IITAは、この共同研究により、うつ病患者のQOL(quality of life)が一層促進されることを目的とし、革新的な治療法の創出を実現していくことができるものと考えている。

漢方薬

■増加の一途を辿るうつ病

 平成14年に厚生労働省が行った調査では、うつ病の有病率6.5%であり、15人に1人が生涯に1度はうつ病にかかる可能性があると報告されている(1)。その後もうつ病患者は増加し続け、平成20年には100万人を超えた(2)。「からだがだるい」、「やる気がでない」などの症状を感じる人は「うつ病」のサインかもしれない。

 4月は仕事環境や季節の変化に対応するため、体に強いストレスが加わる。過度なストレスは体の機能を調節している自律神経が乱れてしまい、うつ症状を引き起こす。東洋医学ではうつ症状の原因を気虚(気が虚すること)と表現される。漢方薬は自律神経の調節や気を補う効果があることがわかっているため、多くの病院で使用されている(3)。

漢方薬

【うつ病に有効な漢方薬】

◎補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
胃腸の働きをよくして体力を回復させ、元気をとりもどすのを助ける。体の疲れ、食欲不振、胃弱、夏やせ、こじれて長びくカゼ、痔、あるいは病中・病後、手術後などで体力が弱っているときに用いる。

◎加味帰脾湯(かみきひとう)
胃腸を丈夫にし、貧血症状を改善する。また、不安や緊張、イライラ感をしずめ、寝つきをよくする。体が弱く繊細で、貧血気味、さらに微熱や熱感をともなうときに向く。

◎抑肝散(よくかんさん)
神経の高ぶりをおさえ、また、筋肉の“こわばり”や“つっぱり”をゆるめて、心と体の状態をよくする。イライラ感や不眠などの精神神経症状、あるいは、手足のふるえ、けいれん、子供の夜なき、ひきつけなどに適応する。手足の冷え、のぼせ、生理不順や生理痛、頭痛、肩こり、けん怠感、不眠、神経症などに適応する。また、そのような症状をともなう更年期障害や自律神経失調、月経前緊張症などにも好適。

◎加味逍遥散(かみしょうようさん)
血液循環をよくして体をあたためる一方、のぼせなど上半身の熱を冷ます。また、ホルモンのバランスを整える効果も期待できる。どちらかというと女性向けで、体が虚弱で疲れやすく、イライラや不安感をともなうときに向く。

〈参考文献〉
(1)川上 憲人ほか:地域住民における心の健康問題と対策基盤の実態に関する研究:3地区の総合解析結果平成14年度厚生労働科学研究費補助金(厚生労働科学特別研究事業)心の健康問題と対策基盤の実態に関する 研究 分担研究報告書:1,2003.
(2)厚生労働省 患者調査,2008.
(3)辻 稔ほか:中枢神経系疾患に対する加味帰脾湯の臨床的有用性と薬理作用の特徴.脳21. 2015; 18(4): 326-330.