「1人でも多くの日本人が人権に興味を持つことで、たくさんの人が救われる」と話すアムネスティ・インターナショナルのアイリーン・カーン事務総長(撮影:佐谷恭)

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5日まで来日していた人権擁護NGO(非政府組織)アムネスティ・インターナショナル(本部・英国ロンドン)のアイリーン・カーン事務総長はライブドア・ニュースの取材に、「日本の人権問題の中で、現在最も取り上げるべきものは人身売買。他の先進諸国に比べて対策が不十分で、人権侵害に対する人々の意識も低い」と述べた。

 カーン氏によると、日本は人身売買の最大の受け入れ国で、東南アジア・東ヨーロッパ・南アメリカからたくさんの人が送り込まれている。現在のシステムでは人身売買のブローカーではなく、騙されるなどして連れて来られた「犠牲者」が、不法滞在者として犯罪者扱いされているという。日本はブローカーを処罰する法律を作ろうとしている点で改善が見られるが、「犠牲者」を国内と送還先の母国で適切に保護する仕組みも整備していかないと、根本的な解決にはならないと話した。

 日本の難民政策については「独立して調査する機関がなく、手続きが不透明。認定手続き中に平均13カ月も難民申請者を収容しておくことも問題」と指摘した。また、入国管理局が運営する「メール通報制度」について、「極めて危険な制度。プライバシーの侵害、いやがらせの原因となるだけでなく、間違った人を通報したり、周囲との不和を生む可能性もある」と感想を述べた。

 さらにカーン氏は「近隣に北朝鮮や中国など人権問題を抱える国があるが、1人でも多くの日本人が人権に興味を持つことで、たくさんの人が救われ、人々の間に連帯が生まれる」と日本の人権意識の向上に期待を寄せた。【了】

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