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ロシアにある電波望遠鏡「RATAN-600」が昨年5月に、太陽系から96光年離れた恒星系から送られた可能性のある電波信号を受信したという出来事について、RATAN-600を運用するロシア科学アカデミーは8月30日、この信号の正体が、地球で発生した雑音であった可能性が高いと発表した。

この信号は2015年5月15日に、ロシア連邦にあるRATAN-600が捉えたもので、発信元はヘラクレス座を形作る恒星のひとつで、地球から約94光年離れたところにある「HD 164595」系と考えられた。HD 164595は太陽に近い大きさの恒星で、現時点でひとつの惑星があることのみわかっている。

その後、1年以上にわたってこの事実が公になることはなかったが、今年8月27日に研究者のPaul Gilster氏が自身のWebサイト「Centauri Dreams」において、イタリア人の研究者から届いたプレゼンテーション資料を紹介する形で明らかにし、その後米国に本拠地を置く地球外生命の発見を目的とした非営利団体SETI Institute(地球外知的生命体探査協会)もこの情報を認めたことで、さまざまなメディアで報じられることになった。

しかし、多くの研究者はこの信号に対して否定的か、もしくは慎重に見守るべきと表明しており、地球外文明によるものと主張する人は皆無だった。また8月28日から、サンフランシスコにある電波干渉計「アレン・テレスコープ・アレイ」がHD 164595の方角を探査しているものの、似たような電波の受信には至っていなかった。

そしてロシア科学アカデミーは8月30日に声明を発表し、「この信号の受信後、信号を処理し、分析した結果、地球由来のものであった可能性が最も高いとわかった」と明らかにした。その信号の源については不明だが、電波望遠鏡は電化製品などから出る電波や、人工衛星から出たり反射したりした電波などを受信してしまうことがあるため、今回もそうした電波を偶然拾ったものと考えられる。

過去には1977年に、同じく電波望遠鏡で地球外文明からの信号を探していたグループがやはり興味深い信号を受信するもの、その後の再観測では受信できなかったという出来事があった。この信号は「Wow! シグナル」と呼ばれ、その正体は衛星で反射された地球起源の電波か、ちょうどこのころ地球の近くを通過した彗星から出た電波だったのではないか、と推測されている。

またロシアのタス通信は8月30日付で、ソヴィエト連邦時代にも似たように、興味深い信号を捉えた出来事があったというエピソードを紹介。その後詳しく調査したところ、信号を受信した時間帯の上空に、当時はまだ軌道が明らかにされていなかった、ソ連の軍事衛星が通過していたことがわかったという。

【参考】
・Monitoring of the continuum of SETI candidates with RATAN-600
(SAO RAS official comment)
 
・A SETI Signal? | SETI Institute
 
・TASS: Science & Space - Alien signal detected by Russian astrophysicists turns out to be terrestrial disturbance
 
・宇宙人のメッセージ? - 太陽系から94光年離れた恒星系より"強い信号"を受信 | マイナビニュース
 

(鳥嶋真也)