「HUNTER×HUNTER」9巻。冨樫の野球ネタがよすぎて「幽☆遊☆白書」まで読み返した

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冨樫義博『HUNTER×HUNTER』が休載してから9週間経過。戻ってくるのはまだ先なのか…。今回は第9巻の物語以外を振り返って冨樫の嗜好を考える。


巻頭からスポーティな一面を見せる冨樫


行方がわからなくなっていたTさん(34)ですが、都内某所に浮かんでいるところを発見されました。
外傷はありませんでした。

冨樫による表紙裏のコメント。写真には、プールらしき場所でやや面積の小さい海パンをはいて浮かんでいる男が。Tというのだから冨樫だろう。

懐かしの近鉄バファローズを思い出させてくれる冨樫


第74話終了後の余白には、『に・せ・ん・ね・ん』というタイトルの6コマ漫画が描かれている。ゴンの唇を読んで何を言ったのかを当てるという話なのだが、レオリオは投げやり気味に「いてまえ打線!!」と回答していた。
「いてまえ打線」とは、近鉄バファローズの重量打線につけられた愛称。この6コマ漫画は、2000年1月18日にeジャンプで掲載されたもので、その前年のバファローズはペナントレースを最下位で終えている。しかし、中村紀洋、ローズ、クラークのクリーンナップが猛威を振るい、チームの挙げた総得点595のうち、3人で280打点を叩きだしている。この総得点はパ・リーグ全体で3位。
近鉄バファローズは2005年をもって解散しているため、今では「いてまえ打線」という言葉を目にするのは珍しい。

幽☆遊☆白書でも野球ネタを挟んでいた冨樫


『幽☆遊☆白書』で主人公の相棒的ポジションの男・桑原和真。


高校野球の気配を感じさせる。83年から85年まで、5期連続でPL学園が甲子園に導いた2人の男、桑田真澄と清原和博をミックスさせると桑原和真という名前が出来上がるのだ。

「ふっ てめーの球はバッティング・センターの120km/hより遅い!!」

桑原は自らの霊力で霊剣を具現化して近距離で相手と戦うスタイル。しかし、物語序盤では、自らの霊剣をバット代わりに、敵の遠距離攻撃を打ち返すことがあった。乱童の放った火掌発破拳(火球)を落合流首位打者剣で打ち返し、白虎の鳴虎衝壊波には帝京高校サヨナラツーラン剣で対抗しようとした(ツーラン剣は蔵馬が止めたので未遂)。
帝京高校サヨナラツーラン剣のコマの欄外には『91年8月17日12時45分打者稲元』という手書きの文字があった。帝京高校対池田高校の試合である。
6対6、10回裏帝京高校の攻撃。ツーアウトで走者なしの場面。サードのエラーで三沢興一(現ジャイアンツのスコアラー)が出塁。続く6番の稲元がスローカーブを引っ張り、打球はラッキーゾーンへと消えていった。
桑原が首位打者剣を使った時には桑原自身が縦縞のユニフォームを着ていたし、帝京高校のユニフォームも縦縞。冨樫の阪神ファンっぽさが表れていた部分であったように思う。

9巻以降も野球ネタを絡めてくる冨樫


HUNTER×HUNTERの場合、9巻時点ではまだまだ野球色が薄い。しかし、キメラアント編になると、変化球絡みの名前の登場人物(ナックルとかパームとかシュートとか)が出てきたり、登場人物の特徴をチャンス×と書いたり、対戦相手との実力差を野球に例えてみたりと、野球やパワプロを絡めることが増えてくる。
現在休載中の暗黒大陸編では、まだ野球色が薄いが、キャラ的に桑原と被りのあるレオリオが野球絡めた技を使ってくれないかなぁと少しだけ期待しているのだが、彼は回復役のポジションだからちょっと厳しいか…。
(山川悠)

参考→『HUNTER×HUNTER』9巻を振り返る。無双シリーズで使いたくなるウボォーギン