日本は「麻疹後進国」流行の兆し インフルより強力な感染力…医師に聞いた

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感染すれば肺炎などを併発して命に関わることもある麻疹(はしか)が流行の兆しを見せている。関西空港の従業員が集団感染したほか、感染者が大規模コンサートに出掛けたことが判明し、感染拡大が心配されている。そもそも麻疹とはどういう病気なのか。専門家に聞いてみた。

■感染したら発症率は95%

「とても感染力が強い。免疫のない集団に1人の発症者がいると、12〜14人が感染するほどです」。南相馬市立総合病院(福島県南相馬市)の山本佳奈先生が警鐘を鳴らす。インフルエンザでは1〜2人というから恐ろしい話だ。ウイルスに感染しても症状が出ない例はほとんどなく、発症率は95%という。

感染すると、まず風邪の症状が出る。「10〜12日間の潜伏期間を経て発熱や咳などの症状が出ます。38℃前後の熱が2〜4日間続き、乳幼児は下痢や腹痛を伴うことも。発疹出現の1〜2日前に口腔内が出現します」と山本先生。

さらに「発熱が1℃ほど低下した後、約半日のうちに再び39.5℃以上の高温が出るとともに発疹が出現。発疹が全身に広がるまで、39.5℃以上の発熱が3〜4日間続きます」という。

連日高熱にうなされるだけでも大変だが、本当に恐ろしいのは合併症だ。1割程度が肺炎になり、非常に稀だが心筋炎や亜急性硬化性全脳炎を併発し、死に至る場合もある。

■成人や妊娠中の女性は特に気をつけて

また、成人になってからの麻疹は重症化しやすいので要注意だ。山本先生は「大人は子供よりも行動範囲が広く、多少体調が悪かったとしても外出することがあるため、流行が始まると急速に拡大していきます」と注意を促す。

さらに妊娠中に麻疹に感染すると、流産や早産を起こす可能性がある。また分娩直前もしくは分娩直後に母体が発症したときは、先天性麻疹になる可能性があるという。

山本先生は「妊娠前であれば、ワクチン接種を受けることを検討すべき。既に妊娠している場合、ワクチン接種はできないため、麻疹流行時には外出を避け、人ごみに近づかないようにするなど注意が必要」と呼び掛ける。家族(特に夫)のワクチン接種もひとつの予防策となる。

■マスクでは予防できない

麻疹ウイルスの直径は100〜250nmであり、飛沫核の状態で空中を浮遊する。それを吸い込むことで感染するので、マスクで予防することは難しい。唯一の予防方法がワクチン接種だ。

山本先生は「小児に対するワクチン接種が90%を超える国が発展途上国を含め多くなりつつあり、欧米では年間数十例程度の発生までに対策が進んでいる国が増加しています」と他国の状況を説明する一方、「年間10万人規模の患者数の発生が推計される日本は、麻疹に関して後進国であると言わざるを得ない」と嘆く。

麻疹に特効薬はないうえ、感染力が非常に強いことが分かった。感染が疑われる場合には、せめて他人にうつさないように注意を払おう。

「教えて!goo」では、「あなたが一番怖いと思う病気は何ですか?」ということでみんなの意見を募集中だ。

●専門家プロフィール:山本佳奈
滋賀県生まれ。医師。滋賀医大卒。2015年4月から福島県の南相馬市立総合病院に勤務。著書に「貧血大国・日本」(光文社新書)。医療ガバナンス研究所にも在籍。麻疹に関するメルマガはこちらから

(武藤章宏)

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