2017-0723
メディアの進化が加速的なスピードで進む昨今、年齢階層間のメディアギャップが問題視され、注目を集めている。身体的な能力の変化によるところもあるが、シニアと若年層との間の利用メディアの差は非常に大きく、いわゆる世代間格差(ジェネレーションギャップ)は社会問題化にすらなりつつある。今回は、総務省が2017年7月7日に情報通信政策研究所の調査結果として発表した「平成28年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」の内容を基に、年齢階層別の主要メディアの利用状況を行為者率の視点から確認していくことにする(【発表リリース掲載ページ:研究成果-調査研究報告書】)。

平日と休日、年齢階層別主要メディアの利用状況


調査要項などは今調査に関する先行記事【主要メディアの利用時間をグラフ化してみる】を参考のこと。次に示すのは主要メディア(雑誌は欠けているが)の年齢階層別平均行為者率を示したもの。「行為者率」とは該当する仕切りの期日、今件の場合は1日単位でその行為をした人の割合を示す。いわば利用者率である。例えば平日・テレビ(生放送)・10代の値は69.3%とあるので、10代で平日1日にテレビを連続で10分以上(調査用紙に「10分以上利用した場合は」、との記述がある)した人は69.3%居ることになる。

↑ 主要メディアの平均行為者率(2016年、平日)
↑ 主要メディアの平均行為者率(2016年、平日)

↑ 主要メディアの平均行為者率(2016年、休日)
↑ 主要メディアの平均行為者率(2016年、休日)

利用者率そのものはテレビが一番多く、(インター)ネットがそれを追い、新聞が続く形。そしてテレビは生放送ではシニア層ほど利用者が多く、録画はどの年齢階層もほぼ同率。ネットは20代がピークだが、50代までは2/3超を維持する。一方で新聞やラジオの年齢階層間格差は大きい。平日の新聞行為者率は10代で2.1%、20代でも6.7%でしかないが、60代では55.4%にまで達している。

良く論争の的になるネットとテレビだが、10代から30代まではネットの方が利用者率は高く、それ以降はテレビの方が高い。50代以降は大きな差が出る形でテレビ行為者率が優勢となる。利用した人それぞれがどの位の長さで利用したかはまた別問題だが、少なくとも利用した・しないの区切りでもこれだけはっきりとした、年齢階層別のメディアギャップが見て取れる。

休日と平日の差をチェック


生活リズムや各種メディアの利用状況において、平日と休日では過ごし方、時間の消費方法は随分と異なる。そこで休日値における平日との差異を算出したのが次のグラフ。

↑ 主要メディアの平均行為者率(2016年、休日値の平日との差異、ppt)
↑ 主要メディアの平均行為者率(2016年、休日値の平日との差異、ppt)

ラジオは休日の方が利用率が低い。これは平日では自宅などで家事などをしながら、あるいは自動車を運転しながら聴いている人が多いが、休日はそれほど「ながら聴取」をする場面は無いことを意味する。またテレビ(録画)が平日と比べて高いが、これは平日録画した番組を、休日の時間がある時にまとめて視聴するライフスタイルをとっていることの表れとなる。

テレビも生放送の利用率は休日の方が一部で高めの値が出ているが、若年層がやや高めで、それ以外はさほど大きな変化はない。この年齢階層向けに、日曜限定でリアルタイムにて観たい番組があるのだろう(例えばニチアサ)。新聞も高齢層では休日の方が読まれているのは、日曜版の存在や、朝食時に時間の余裕ができるからだと考えられる。

前年比の算出をしてみると


最後に示すのは前年分、2015年調査分の結果との差異を算出したもの。

↑ 主要メディアの平均行為者率(2016年、2015年との差異、平日、ppt)
↑ 主要メディアの平均行為者率(2016年、2015年との差異、平日、ppt)

大よその項目・属性で減退、特に中堅層から高齢層における減り方が著しい。またテレビ(生放送)は中堅層以外、新聞では中堅層以降で大きな減少が生じているのは注目に値する。いずれもその媒体にとってはお得意様であるだけに、関連界隈には危機感すら覚える動きではある。

テレビ(録画)とラジオは全体で増加、いずれも20代と40代の伸びが大きなけん引役となっている。単なるイレギュラーか、それとも特異な傾向としてのものなのか、次年以降の動向を見極めたい。



今件調査は2012年分から今回発表された2016年分の5回分のみでしかなく、経年変化を精査するのにはややデータが足りない。単年の動向を推し量るのには十分すぎる、貴重な値が多数盛り込まれているだけに、その変化も非常に気になるところではある。次年分まで継続調査が行われれば都合6年分となるため、より精度の高い傾向が確認できるだろう。

メディアとの接触、利用率や利用時間は、個々の世代におけるメディアへのスタンスを推測できる、重要なデータに他ならない。特にメディア周りの技術が著しいスピードで進歩し、普及している昨今では、その変化は他のさまざまな社会事象を検証する上で非常に役立つものとなる。今件調査の継続を願い、その結果発表に期待したいところだ。