【疑問】流行のエンジン小排気量化に伴う気筒数の減少はどう影響する?

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現実には過給エンジンのデメリットを感じるケースもある

パワートレイン(エンジン)のトレンドを示すものとして「ダウンサイジング」というキーワードは、すっかりお馴染みになっている。いまや、あえてダウンサイジング系パワートレインと表記することも減っているほど当たり前になりつつあるのだ。

もともとは多気筒・大排気量エンジンを小排気量の過給エンジンに置き換えるというのが「ダウンサイジング」と呼ばれるもので、いまでは気筒数は変わらなくとも、小排気量の過給エンジンを搭載する設計思想も含めて、ダウンサイジングと呼んでいる。

具体的にはモデルチェンジや大幅改良を機に、3.5リッターV型6気筒エンジンを2リッター直列4気筒ターボに置き換えたり、2.0リッターNAエンジンを1.2リッターターボエンジンに置き換えたりといった設計が行なわれていることが多い。

ここでのポイントは、エンジントルクにある。エンジンを小さくするにしても、クルマのパフォーマンスを維持するには最大トルクを維持したい。同じ程度の最大トルクを出すパワートレインを求めた際に、大排気量NAよりもターボエンジンのほうがコンパクトで、気筒数を減らすことができる。そして気筒数を減らせば、フリクションを低減でき、エンジン自体はコンパクトにしやすい。

つまり、ダウンサイジング化は、エンジン自体のサイズや重量を小さくすることでパッケージでのメリットを生み出し、また軽量化を可能にする。その狙いは効率アップで、要はパフォーマンスを落とさずに燃費性能をアップさせようという考え方に基づいている。

そしてターボエンジンというのは排気エネルギーを利用するものであるから、本質的にはエネルギー効率に有利。センサーや制御の進化により、かつてよりも高圧縮比での過給化が可能になったこと、燃料の筒内直接噴射による、緻密で燃料冷却を効果的に利用できるようになったことなども、ダウンサイジングトレンドをバックアップしている。

気筒数が減ると振動で不利になるケースが多い

ただし気筒数を減らすということは、基本的には振動面で不利になる。V8から直6といったダウンサイジングであれば、むしろ振動面で有利という例外もあるが、6気筒から4気筒、4気筒から3気筒、3気筒から2気筒……と気筒数が減るごとに、従来モデルと同等の音振性能を維持するのは難しくなる。

またNAエンジンからターボエンジンになると、どうしても過給がかかるまでの領域で力不足を感じるケースも増えてくる。たとえ最大トルクでダウンサイジングターボが上まわっていても、アクセルの踏み始めなどで期待どおりの走りをしてくれないというケースは出てくる。

とくにトルクコンバーターを使っていないトランスミッションとの組み合わせでは、初期のトルク増幅効果が望めないために坂道発進などでは力不足を実感することだろう。

また、ターボエンジンというのはターボチャージャーやインタークーラーなど周辺パーツが増えてしまうため、ダウンサイジングだからといってコストもダウンしているとは限らない。実際、4気筒NAエンジンと2気筒ターボを用意しているFIAT500では前者のほうがリーズナブルな価格設定となっているくらいだ。

ダウンサイジングはトレンドだが、必ずしもすべてのユーザーに正解というわけではないということは留意して、クルマ選びをしてほしい。

(文:山本晋也)