変わらず謙虚に…幻弾の浅野「自分の力を過信しない」

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 次こそ正真正銘のゴールを叩き込む。日本代表FW浅野拓磨(シュツットガルト)は「決めるところを決めないと試合には勝てない。そこが前回の試合で自分自身の課題としてある」と、あらためて3日前の“幻のゴール”を振り返った。

 1-2で逆転負けを喫したUAE戦。後半32分に訪れた絶好の同点機は主審の誤審で認められなかった。DF酒井宏樹の右クロスを逆サイドのFW本田圭佑が頭で折り返し、浅野が左足ボレー。相手GKが左手で弾き出すも、その前にボールはゴールラインを越えていた。しかし、副審も主審もゴールインを認識できず、ノーゴールの判定となった。

「本田さんは『入っていた』と言ってくれたけど、結果、ゴールにならなかった。ミートできなかったし、あそこは自分のシュートミス。ノーゴールは仕方ない」。試合直後と同じように自分の技術的なミスだったと反省した浅野。「前日練習で左足でシュートをふかす場面があった。ふかさないように、枠に飛ばそうという判断でプレーしたら、逆に弱いシュートになった」と、自分自身の判断ミスを悔やんだ。

 結果的にチャンスを生かせず、チームも敗戦。当然、責任も感じるが、引きずるようなことはない。「今までも自分はそれぐらいの選手というか、決めるべきところで決められず、そのたびに次は決めようと思ってやってきた」。良い意味での開き直りと謙虚な姿勢が、ここまでの成長の原動力となってきた。

「自分の力を過信せず、それぐらいの選手なんだと思って、でも次の試合が来たら絶対に決めるという強い気持ちで臨みたい」。前向きになれる理由もある。後半21分からFW岡崎慎司に代わって途中出場したUAE戦はそのまま1トップでプレー。6月のキリン杯は右サイドでのプレーだったこともあり、「前のほうが自分の特長を生かしやすい。裏への意識という意味でも、一番前にいるほうが分かりやすくプレーできる」と、A代表での新たな役割には手応えもあった。

 “タイのメッシ”と呼ばれるMFチャナティプ・ソングラシンは日本メディアの取材に「(日本で警戒する選手は)ホンダ、カガワ、アサノ」と、本田、MF香川真司とともに浅野の名前も挙げていた。今年1月にカタールで行われたリオ五輪アジア最終予選兼AFC U-23選手権でもタイと対戦した日本。このとき先発した浅野自身にゴールはなかったが、日本は4-0で勝利している。

「一人ひとりの技術は高いし、動きの速さ、俊敏性には高いものがある」。タイの印象を語る浅野は「でも、僕らのサッカーがしっかりできれば勝利できる相手。勢いに乗せたらやりたいようにやってくる。その前につぶすところはつぶして、僕らのペースに持ってこれれば」と意気込んだ。

(取材・文 西山紘平)


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