北朝鮮が移動式発射ミサイル、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)などと奇襲攻撃能力を高めている。これに対し、韓国紙は軍備増強で対抗するには限界があるとして、「外交安保政策の枠組みを変えることを考える時だ」との声を上げている。資料写真。

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2016年9月2日、移動式発射ミサイル加え、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)。北朝鮮の奇襲攻撃能力が高まっている。搭載する核弾頭の小型化なども進む。韓国紙では「無制限の軍備競争だけでは解決できない」として、「外交安保政策の枠組みを変えることを真剣に考える時だ」と悲鳴にも似た声が上がっている。

一連の北朝鮮によるミサイル発射で日本政府に衝撃を与えたのは8月3日朝、秋田県の男鹿半島沖250キロの日本の排他的経済水域(EEZ)に初めて着水したミサイル。中距離弾道弾「ノドン」とみられ、北朝鮮西部の黄海南道・殷栗付近から発射され、約1000キロ飛行した。

米国の軍事偵察衛星などが北朝鮮のミサイル発射の兆候をつかむと、日本政府はその都度、破壊措置命令を出し、航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)部隊を各地に展開したり、海上配備型迎撃ミサイル(SM3)搭載の海上自衛隊のイージス艦を日本海に配備したりして警戒に当たってきた。しかし、8月3日は上空からは発見されにくい車両移動式の発射台を使ったとみられ、“不意撃ち”をくらった。兆候は韓国政府も全く把握していなかった。

北朝鮮が8月24日に発射したSLBM「北極星1号」は、奇襲攻撃能力がさらに高い。SLBMは事前に攻撃の兆候を把握するのが事実上不可能だ。「北極星1号の射程は2000キロ以上といわれ、北東アジアは北朝鮮の新たな脅威の前に立たされることにもなった。

米ソ冷戦当時は、水中発射型の核ミサイルを積んだソ連の原子力潜水艦を米国の攻撃型原潜が追尾するなど、文字通り水面下で死闘が繰り広げられてきた。北朝鮮の潜水艦は通常型で潜航可能時間は限られるが、韓国内では北朝鮮の潜水艦に対抗する原潜を建造する案も論議されている。

こうした中、韓国紙・中央日報はこのほど、「高度化する北朝鮮の核脅威、無限の軍備競争だけでは解決できない」との社説を掲載した。同紙は特にSLBMに着目。「有事の際に韓半島に急派される米軍の増員勢力が駐留する日本と沖縄の米軍基地も攻撃対象に含まれる。これは米国の戦争抑止力を制限し韓国を孤立させる恐れがある」と警告した。

その上で「北朝鮮が地上発射弾道ミサイルを開発して威嚇すれば韓国は巨額がかかる迎撃ミサイルで対応する。すると北朝鮮はさらに脅威的なSLBMを持ち出す。対応は雪だるま式に増え悪循環は繰り返されるだろう」と指摘。「悪循環を断ち切ろうとするなら、天文学的費用がかかる武器システム導入にばかり没頭するのではなく、外交安保政策の枠組みを変えることを真剣に考える時だ」と提言している。(編集/日向)