学生アスリートといえども、一般の若者と同じくらいに肥満と高血圧の人が多いことが米トーマス・ジェファーソン大学の研究で明らかになった。

一般常識ではスポーツをすると体重が減るはずなのに、若者の健康にあまり効果をあげていないわけで、研究者は首をひねっている。

薬物治療が必要な高血圧も15%いた

この研究は、米の小児科学専門誌「Journal of Pediatrics」の2016年7月号に発表された。米フィラデルフィア市には「アスリート保健機関」というボランティア団体があり、市内の中高校生アスリートに対し、毎年シーズン前に無料で健康診断を行なっている。シーズン中にケガや病気にならないように、医師らが心電図検査や血圧、身長・体重測定などを行ない、過去に何人もの生徒を、スポーツをすると命の危機がある潜在的な病気から救ってきた。

研究チームは、2009〜2012年の4年間でこの団体が行なった約2700人の選手の診断データを分析した。生徒は全員陸上競技の選手だ。全体の20.0%が標準よりやや重い「過体重」で、24.0%がさらに太目の「肥満」だった。4割以上が体重オーバーなのだ。また、14.8%がステージ1、2の「高血圧」だった。

血圧は「正常」の上に「正常高値」があり、その上がステージ1、2の「高血圧」となる。「正常高値」は生活指導と経過観察ですむが、ステージ1、2になると薬物治療が必要となる。これらの肥満や高血圧の割合は、一般の同年代の若者たちの比率とほとんど変わらなかった。いったい、どうしてこんな結果になったのか、論文では説明していない。

同大のジル・クロッパ博士は「今回の結果は驚くべき発見です。一般の前提から考えると、陸上競技に参加することは、体重や高血圧を減らすことにつながるはずですが、学生アスリートはスポーツをしない生徒と同じように肥満と高血圧に苦しんでいたのです。今後は、スポーツをしている層に対しても健康指導をしていく必要があります」と、同大のニュースリリースでコメントしている。