「巨峰」は正式名称ではなかった!?ほかにもある意外な名前トリビア

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秋の味覚の代表的なものといえば、魚介類なら秋刀魚(さんま)、果物なら梨にりんごにぶどうといったところでしょう。中でもぶどうは、巨峰やデラウェア、シャインマスカットなど多くの種類が青果店などに並ぶようになりますが、その中でもひときわ目立つのが、巨峰です。この巨峰、正式名称が「石原センテニアル」だということはご存知でしょうか?巨峰をはじめ、商標登録された名前が定着した例をご紹介します。

■ 巨峰の正式名称は「石原センテニアル」

巨峰は1945年(昭和20年)に「石原センテニアル」という品種名で発表されました。石原センテニアルは、大井上康(大井上理農学研究所)の手により、異なるぶどうの種類である石原早生とセンテニアルを交配させることで誕生しました。

■ 巨峰は商標登録名

当初は石原センテニアルという名前のぶどうは、1955年に「巨峰」として商標登録されました。大井上理農学研究所の近くにある富士山が「巨峰」の名前の由来となりました。商標登録名は、表現が的確かどうかはわかりませんが、作家のペンネームやタレントの芸名のようなもので、いつの間にか本名よりも有名になってしまったという感じなのかもしれません。

■ ほかにもある商標登録名が定着した例

巨峰と同じように、商標登録した名称が有名になったものがたくさんあります。いくつかご紹介しましょう。

◎ アロハシャツ

もともとアロハシャツは、1920年代のハワイにて、原型となる「タパ柄」がテーラーメイドで作られたのがきっかけであり、現地の日系人も日本の着物をシャツに仕立てて着用していたようです。「アロハシャツ」は、「ハワイアンシャツ」の「ブランド名」として、1936年にエラリー・チャンが商標登録しました。ちょうどその時期は、ハワイアンシャツが量産品として販売されるようになり、庶民が着用するのはもちろんのこと、観光客や軍人の土産物として人気となりました。ハワイアンシャツにはヴィンテージものとして、品物によっては、数百ドルから数千ドルの価値がつくものもあるそうです。そういったコレクターの間では、あえて単なる商標登録名である「アロハシャツとは呼ばない」というこだわりもあるようです。

◎ うどんすき

「うどんすき」も巨峰と同様、商標登録されている名称です。もともとは大阪にある老舗の「美々卯」が1928年(昭和3年)に考案したもので、目近(マルソウダガツオ節)と昆布で取った出汁に、太めのうどんと海老やはまぐりや野菜や肉と一緒に煮て作る鍋料理です。肉は鶏肉や牛肉が使われます。鍋料理の締めとして最後にうどんを入れるのではなく、はじめからうどんも一緒に煮るのが特徴です。すき焼きのように、生卵と絡めて食べることもあります。

◎ 正露丸

大幸薬品が商標登録した医薬品です。ラッパが奏でるメロディーのコマーシャルを、耳にした方も少なくないでしょう。腹痛や虫歯の痛みを緩和するときに服用します。

◎ ポケベル

「ポケベル」に懐かしさを感じる世代の方もいるのではないでしょうか。日本でブームになったのは1987年頃から1996年頃までの、携帯電話が普及する前の時期でした。特に、1993年には「ポケベルが鳴らなくて」というテレビドラマや歌がヒットしたほどで、その頃に高校生として過ごした方にとっては思い出のアイテムかもしれません。ポケベルの正式名称は「無線呼出用携帯受信機」です。日本では「ポケットベル」と呼ばれていましたが、そのうち略称としての「ポケベル」の知名度の方が高まったこともあり、「ポケベル」として認知されるようになりました。

◎ セロテープ

「セロテープ」は、ニチバンによって1948年(昭和23年)に商標登録されています。学校の図画工作はもちろんのこと、事務用品として使われているロングセラー商品です。正式名称は「セロハンテープ」であり、テレビなどのメディアでは、コマーシャルなどで強調する以外では、「セロテープ」という名称は使われることはありません。セロテープが作られた当時は、他の「セロハンテープ」がなかったこともあり、そのままセロテープの名称が普及したようです。

◎ ホッチキス

セロテープと同様、ホッチキス(ホチキス)も商品名です。日本では1903年(明治時代)に伊藤喜商店(現在のイトーキ)がアメリカから輸入したものを販売したことが始まりです。ちなみに商標登録はされていないため、「ホッチキス」という名前に対する使用制限はありません。

■ 普段当たり前に使っている名前

「巨峰」のように、普段当たり前のように使っている名前にも、商標登録されているものや、裁判所や特許庁の判断で普通名称化したものが存在します。

(image by amanaimages)
(著&編集:nanapi編集部)