xiangtao / PIXTA(ピクスタ)

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部下:「打ち合わせをさせていただきたいので、よろしくお願いします」
上司:「わかった」
部下:「来週はいかがでしょうか」
上司:「大丈夫だ」
部下:「来週のいつがよろしいでしょうか」
上司:「スケジュールの空いているところに入れてくれ」
部下:「○月○日の午後はいかがでしょうか」
上司:「OKだ」
部下:「14時から15時ではいかがでしょうか」
上司:「あ、その時間は、避けたいな」……

◆いつまでたっても入らない「上司とのアポ」

 分解スキル・反復演習型能力開発プログラムを実施していると、参加者から、ビジネスを遂行する上での困りごとの相談を受けることがよくあるし、プログラムの中の課題解決力を演習の中で、それらが浮き彫りになる。挙げられる課題の中には、「上司からクイックなリアクションが得られない」という意味のものが実に多い。

 そこで、具体的な事例を持ち寄って共有するのだが、冒頭のやりとりは、その一例だ。部下は、「散々やりとりして、『OK』と言っていたのに、そのあげくに、『その時間は避けたい』とは、どういうことか!!」とエキサイトしているし、上司は「まどろっこしい聞き方で何度もメールしてくることが問題だ」と部下が悪いと言い張る。上司と部下の断裂が深まる典型的なパターンなのだ。

◆相手が変わらないなら自分は何を変えるか?

 いったい、この例は、上司と部下のどちらの、何が問題だったのだろうか?どうすれば、スムースにコミュニケーションができたのだろうか?こう問いかけると、「上司が、最初に日時指定すればよい」という答えが挙がることが多い。上司の問題が出尽くしたところで、部下の改善点を挙げていただく。すると、「この部下は、少し遠慮がちではないか。もう少し積極的になってもよい」という意見が出てくる。

 上司にいくら変わってほしいと思ったり、それを伝えたりしたとしても、なかなか他人は変わらないものだ。だとすれば、自分が変わって変えられることをすればよい。その点で、私は、部下としての自分が改善できる点を見出していくことに賛成だ。しかし、「積極的になれ」と言っても、なにをどう積極的になればよいのか、漠然としていて、言動の改善にはつながらない。

 そこで、このケースで、身に付けるべきスキルを分解して、このパーツスキルを反復演習して身に付けていくと、言動が明らかに変わるというキーになるスキルをつきつめていく。その結果、キーとなるスキルは、限定質問のスキルを十分に発揮することであることがわかってきた。

◆相手に即決させる「限定質問」

 限定質問とは、「ミーティングさせていただいてもよいですか、(よくないですか)」、「Aがよいですか、Bがよいですか」というような、答えが限定される質問のことだ。このケースでは、部下は、限定質問をしているではないかという声が聞こえそうだが、確かにしているが、その限定質問の使い方が甘く、核心をつかぬまま、周辺部分で対話しているという状況なのだ。

 すなわち、「打ち合わせさせていただきたいのですが、(良いか、悪いか)」、「来週はいかがでしょうか、(良いか、悪いか)」と、実施有無や来週という長い期間での都合の良し悪しを聞く、漠然とした限定質問なので、答えが絞り込まれないのだ。もし、これを、最初から、「打ち合わせさせていただきたいのですが、○月○日の14時から15時はいかがでしょうか」と問うていれば、最初の4往復のメールのやりとりの労力と時間は不要になる。

 加えて、「最初のメールで日時指定することは失礼なのではないか」、「まずは、実施可否を聞くべきではないか」という意見が寄せられたことがある。私は、1回目で具体的に日時の可否を聞かれることを好むが、いきなり聞かれることに抵抗感を持つ上司もいよう。だとしても、2往復を終えて、来週はOKということまで掘り下げた後に、一気に日時を絞るこむべきだった。