【辺境音楽マニア】かなりレア! 中国・南京で活動する赤道ギニア人ラッパー「Mastermix Masta」 PVは中国感皆無

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アフリカ開発をテーマにした日本主催の国際会議「TICAD」。今年2016年8月にアフリカで初開催され、今後は日本企業のアフリカ進出の増加が見込まれる。しかし現在、中国のアフリカ進出は遙かに先を行っており、アフリカ大陸には中国人が100万人もいると言われている。ちなみに日本人は約8000人。

また同時に数多くのアフリカ出身の人たちが中国で暮らしている。実は中国を拠点に活動する、アフリカ人ラッパーも存在するのだ。今回はそんな1人、中国で活動する赤道ギニア出身のアフリカ人ラッパーについてお伝えしよう。

・中国にはおびただしい数のアフリカ人が

中国に暮らすアフリカ出身者の数は、およそ25万人と言われている。不法滞在者も多く、実際の人数を掴み取るのは不可能に近い。香港の重慶マンションはナイジェリア人の巣窟で有名だが、香港よりも奥にある広東省の省都で中国第三の都市、広州の駅前にはナイジェリア人街が出来ているぐらいなのである。

日本でも栗田和明『アジアで出会ったアフリカ人―タンザニア人交易人の移動とコミュニティ』(昭和堂)という研究書まで出版されているほど、中国とアフリカの結びつきは強いのだ。衣服の交易関係の人達が多いようだが、留学生も多い。あのゾマホンも一時期北京に留学していた。

・南京で航空工学を学ぶ赤道ギニア出身のラッパー

さて、そんな中国在住のアフリカ人留学生の中でも、相当な変わり種がいた。南京で航空工学を研究中の、赤道ギニア出身のラッパー、「Mastermix Masta」だ。

YouTubeにアップされている『Who Dat』という曲を聴いてみると、悲しげなメロディが耳に残る。しかしラップスキルが特別に優れているかどうかは正直微妙なところ。決して悪くもないけど、それほど良いわけでもない。何回も聴きたくなるほどのものではないかもしれない。

・一見、アメリカのヒップホップに見えてしまう

それよりもビデオクリップの映像の方に、どうしても目が行ってしまう。いきなりオープニングで出てくるのが、外灘のパレスホテルや旧チャータード銀行上海支店。上海に馴染みがなければ、ウォールストリートに見えなくもないかもしれない。

その後、ヒップホップグラフィティが描かれた壁を背景に、ラップがスタート。フラッシュバックのように、浦東側の高層ビル群が映るのだが、夜中なのでマンハッタンに見えてしまいそうだ。

またシカゴブルズのユニフォームを着た仲間の黒人が出てくるだけに、一見これはシカゴとかブルックリンのラッパーのビデオクリップに見えてしまうかもしれない。漢字が記された垂れ幕も「チャイナタウンで撮影されたのだ」と解釈してしまいそうな勢いである。

・似た名前の国が多く、存在感の薄い赤道ギニア

しかしこれは紛れもなく、上海でラップする赤道ギニア人なのである。そしてその赤道ギニアという国自体が、一般的にはかなり知名度が低いのではないだろうか。「パプアニューギニア」や「ギニアビサウ」、「フランス領ギアナ」、「ガイアナ」とは異なる、あの赤道ギニアである。「赤道」が国名の由来となる「エクアドル」とはまた異なる、あの赤道ギニアである。

そう、あの国土の大半がアフリカ大陸本土にあるにもかかわらず、首都のマラボが沖合のビオコ島にある、あの赤道ギニアである。アフリカで唯一最後までスペインの植民地で、公用語がスペイン語のあの赤道ギニアである。人口が60万人ほどしかいないにもかかわらず、沖合で油田が発見され、1人あたりのGDPが先進国並みにある事で知られる、あの赤道ギニアである。こうやって説明してみたが、恐らくアフリカの中でサントメ・プリンシペの次に知名度が低そうな赤道ギニアである。

・日本人にとっては南京大虐殺や南京虫、南京錠の南京

そしてこのMastermix Mastaが拠点を置いているのが、南京というのも何とも感慨深い。ビデオクリップが撮影された上海や首都の北京、国際都市の香港ではなく、あの南京。日本人にとって、南京は忌々しい歴史的事件が発生した事で何よりも有名だ。

またそれ以外では、南京は「南京虫」というトコジラミでも知られている。防犯道具「南京錠」も有名かもしれない。出てくるのはそのぐらいで、はっきり言って南京は、日本ではあまり良いイメージがないのではないだろうか。

しかしながらこの「Mastermix Masta」が留学している南京航空航天大学は、中国きっての航空や宇宙専門の大学で、中国初の無人大型地上誘導機や、無人核実験サンプル採集飛行機を開発した事でも知られる超エリート大学なのである。

「ヒップホップ + 赤道ギニア + 南京 + 航空工学」という、一見無関係そうに見える4つのシュールな組み合わせ。それが偶然「Mastermx Masta」という存在で融合したのだ。いつかMastermix Masta氏に直接色々とお話を伺ってみたい。

参照元:YouTube
執筆:ハマザキカク

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