大腸がんは年間約13万人が発症、約5万人が死亡する日本人に一番多いがんだ。大腸がんが恐ろしいのは再発率が高いからだが、国立がん研究センターが再発の原因となる「がん幹細胞」の働きを抑える物質を作製に成功し、医学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」(電子版)の2016年8月26日号に発表した。

大腸がんの新たな治療薬として数年後の実用化を目指す。

がん幹細胞は「がんの親玉」といわれる細胞だ。通常のがん細胞は抗がん剤で縮小することができるが、がん幹細胞はポンプのようなタンパク質を持ち、抗がん剤を投与しても薬剤を細胞の外に排出してしまう。しかも冬眠したような状態で長期間潜み続けることができる。大腸がんは、再発・転移した場合の5年生存率が約15%と低いのは、従来の抗がん剤ではがん幹細胞を根絶することが難しく、生き残ってしまうからだ。

このがん幹細胞の発生には特定の酵素が作用することがわかっていた。研究チームは、この酵素の働きを阻止する新しい化合物の作製に成功、人間の大腸がんの細胞を移植したマウスに化合物を飲ませたところ、高い確率でがん幹細胞の増殖を抑えられた。