『コンビニお嬢さま』(松本明澄/講談社)

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 最近、マンガ市場を賑わせている「グルメマンガ」。作中に出てくる趣向を凝らした料理を見るたびに、「食べてみたいな」と感じている読者も多いことだろう。しかし、案外どれも再現するのが難しそう……というのが本音では? そんな人にオススメのグルメマンガが登場した。それが『コンビニお嬢さま』(松本明澄/講談社)だ!

 主人公となるのは、京都にある「いろは女学園」に通う、兎月翠里(うづきみどり)。彼女は学園の誰もが一目置く、良家のお嬢さまである。そんな彼女には秘密が。それは、「コンビニが大好き」ということ。しかし、幼少期から厳しくしつけられた彼女にとって、コンビニは踏み入れてはいけない場所。さらに、同級生にバレてしまったら、自身のお嬢さまイメージが失墜してしまうかもしれない。そのため彼女は、毎度変装をしてコンビニに潜入し、そこに並ぶさまざまなグルメを手にするのだ。

 そして、本作のおもしろいポイントは、コンビニで手に入れたものをアレンジするというところにある。たとえば、肉まんの場合。ごま油を塗った肉まんを七輪で炙り、残り物の野菜で作ったあんをかけてしまうのだ。これは名付けて、「あんかけ肉まん」。出汁を吸った皮はモチモチで、まるでぜいたくな巨大小籠包のようだという。

 また、カップ入りの茶わん蒸しと鮭おにぎりを組み合わせれば、「茶わん蒸し雑炊」ができる。作り方はとても簡単で、土鍋に茶わん蒸しと鮭おにぎりを入れ、崩しながら煮こむだけ。たったそれだけで、濃厚な出汁が効いた絶品の雑炊ができるのだ。

 その他にも、ビーフジャーキーでスープを取る「牛干肉ラーメン」、おでんを使った「カレーうどん」、梅ペーストや田楽みそで味付けをした「アメリカンドッグの大行列」など、どれも思いつきそうで思いつかない、新感覚の料理ばかり。簡単に再現できるため、料理が苦手な人でも参考にできそうだ。

 ちなみに…第1巻のラストでは、翠里のコンビニ通いに気づいた謎の少女が現れる。彼女の存在によって、翠里はもうコンビニグルメを堪能できなくなってしまうのか。お嬢さまの唯一の楽しみは奪われてしまうのか否か、そのストーリーの行方も気になるところだ。

 これから季節は秋を迎え、すぐに冬が来る。コンビニには肉まんやおでんが並ぶことだろう。それまでに本作を読み込んで、ぜひコンビニグルメを堪能してみてもらいたい。

文=五十嵐 大