今や世界最大規模の自動車市場となった中国。日本のメーカーも中国事業を積極的に展開しており、反日デモや政治的な関係がこじれるなかでも広く中国の消費者から歓迎されている。一方で、日本の自動車は良くも悪しくも無難であり、「個性が欠けている」との認識を持つ人もいるようだ。(写真は、日産フィガロ、写真提供:(C)Sergey Kohl/123RF)

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 今や世界最大規模の自動車市場となった中国。日本のメーカーも中国事業を積極的に展開しており、反日デモや政治的な関係がこじれるなかでも広く中国の消費者から歓迎されている。一方で、日本の自動車は良くも悪しくも無難であり、「個性が欠けている」との認識を持つ人もいるようだ。

 中国メディア・今日頭条は1日、そのような「日本の自動車観」に対して一石を投じる記事を掲載した。「こんなちっぽけな自動車でも限定販売版を作る 30年前の日本人は何を考えていたのか」と題したこの記事では、日本の自動車メーカーは決して個性を大事にしていないわけではなく「単に、遊び心にあふれたモデルは日本国内でしか販売してこなかったに過ぎないのだ」と説明している。

 そして、1985年の東京モーターショーで発表されたコンセプトカーが好評を博し、87年にはほぼそのままの形で1万台の限定数量販売され、引く手あまたの人気を誇った日産の「Be-1」という小型自動車について紹介した。

 記事は同車がマーチをベースに作られたもので、動力系統は平凡ながら、過剰装飾の排除によるコストダウン、丸みを帯びたデザイン、新素材の多用による耐久性の向上という当時の流行とは一線を画する個性的な自動車であったと説明。レトロな風格で人気を博し、限定販売だったこともあって今もなお日本の自動車ファンから愛され、中古車市場でも同年代の自動車より高い値段が付くと伝えた。

 「パイクカー」というジャンルを開拓し、80年代末から90年代前半にかけてパオ・フィガロという人気車種を生み出すきっかけとなったBe-1。そのデザインや内装はいささか古めかしい部分を感じる一方で、当時では常識破りだった丸みを帯びたデザインは、今の時代でも十分通用する「良さ」を持った自動車だ。

 無難なデザインの自動車が良く売れる「没個性」の時代。しかし、日本の各メーカーは最初から無難なデザインのものしか作ってこなかった、そういうものしか作れないという認識は誤りと言える。さまざまなクルマのあり方に対する試行錯誤を繰り返す中で、現在の状況に至っているのだ。

 経済的な指標や、現有の先端技術において日本や日本企業と競争し、「ついに日本を超えた」、「まだ遠く及ばない」とする中国メディアの論調が目立つ。しかし、本当に日本企業や日本のモノづくりを超越せんと欲すならば、その業界にどのような歴史があるのか、彼らがこれまでどれだけの試行錯誤や失敗を重ねてきたかを真剣に研究すべきではないだろうか。(編集担当:今関忠馬)(写真は、日産フィガロ、写真提供:(C)Sergey Kohl/123RF)