犬との生活は『心のレッスン』

犬という動物は奥が深くて不思議な動物です。
私達に沢山の癒しを与えてくれ、決して裏切らず主人や家族に対して深い愛情を捧げてくれます。
犬との生活は私達に様々な事を教え、多くの事に気づかされ、思い出させてくれる【心のレッスン】とでも言うのでしょうか。
そんな存在だと思います。

愛犬との出会いにより幾つもの大切な事を学ぶ

私事で恐縮なのですが、私は15年前に離職して、父と一緒に母の介護をしておりました。
しかしその甲斐もなく、介護2年目にして母は他界してしまいました。

これは入院中にあった出来事なのですが、病院側とこちらとの見解の相違(MRSAの院内感染)によりトラブルとなったため、退院して止むを得ず在宅での介護を余儀なくされてしまう、という事がありました。
私の住む地域には総合病院が2軒ありましたので、もう一つの病院に移送をお願いしましたが、しかしその病院は「こちらに来ても命の保証はできませんので、来ても結果は一緒です」と拒否されました。
もしかすると最初の病院でのトラブルから、敬遠されたのかもしれません。

病院とのトラブルは誰だって避けたいものですが、どうしても回避できない理由がありました。
それは、該当病院の主治医(大学病院の派遣医)は院内感染を認めているのに、院長はそれを認めようとはしなかった事。
一時は病院側との裁判も視野に入れて弁護士に相談したのですが、当時、院内感染者は母一人しかおりませんでしたので、『争っても勝算はない』と弁護士に言われました。 
その結果、無念ですが告訴は断念したと言う経緯があります。

そんな経緯がありましたので、父としては母の死が相当ショックだったのでしょう。
その後父は著しく意欲が低下してしまい、何をするにも気力が無くなってしまいました。
これは、外で働く事を決めていた私にとって非常に困った状況になったのでした。

結局、今度は父の精神的ケアをする事になった私は、毎日父の暗い顔を見る度に性格がネガティブになって行く自分に気がつきました。
『これではいけない』と思ったのですが、手段もみつからずにそんな日々を過ごしておりました。

当時、私はストレスによる暴飲暴食で生活習慣病に掛かり、治療のために月に一度ですが通院をしていました。
そんなある日、主治医が私に『犬を飼ったらどうですか?』と提案してくれたのです。
『規則正しい生活が出来ますので病気も改善されるはずです』と言っていました。

元々私は犬が大好きでしたので主治医の言う通り、新しい命を預かる事になりました。
それからと言うもの、愛犬は私に人生に於いての大切な事を幾つも教えてくれました。
そのおかげで、今では病気も完治して愛犬と楽しい毎日を過ごしています。

愛犬が教えてくれた様々な事

今を生きる大切さ

ワンコはどんなに嫌な事があったとしても、人間の様に何時までも引き摺らないのです。
ですから、その出来事が済めばそれで終わりです。落ち込む事などはありません

それは私の愛犬も同じで、その姿を見て私は【今を生きる大切さ】を学びました。

『くよくよしていたら先には進めない。嫌な事があっても愛犬の様に直ぐに忘れて今を生きる』

それが何よりも大切だと言う事を・・・
それからと言うもの、嫌な事があっても直ぐ忘れ、小さな事をいちいち気にするのを止めました。

大きな愛を持つ

ワンコはとても大きな愛を持っています。
ワンコの主人に対する愛は天よりも高く海よりも深いのです。

私の愛犬も同じです。
愛犬が持つ大きな愛は全て私に向けられます。
人間もこの様に【大きな愛】を持てば争い事などなくなるのではないでしょうか。

遊び心を忘れずに

ワンコって遊び心の天才だと思います。
どんな事でも遊びにしてしまうのですから、ワンコにしてみれば全てが遊びなのでしょう。
人間も犬の様に【遊び心】を持てば、人生をもっと楽しく生きれるのではないでしょうか。

私の場合、父の精神的ケアと在宅ワークの両立で、人生にゆとりが無くなり、遊び心を忘れていました。
それを想い出させてくれたのが愛犬でした。

自分の心に遊び心があると、人生に余裕が出て毎日が楽しくなります。
今は充実感でいっぱいです。
これも偏に愛犬の力だと思っています。

嬉しさを率直に表現

ワンコは嬉しい時に尻尾をブンブン振って喜びますが、このように【嬉しさを率直に表現】出来るから愛される存在になれるのでしょう。

人間の場合、人目やその場の雰囲気もありますので、率直に表現し難い場合もあります。
しかし出来るだけ率直に表現して行けば、誰にでも好かれる存在になれるのではないでしょうか。

愛犬が我が家に来てからと言うもの、私は若かりし頃の明るい性格を取り戻す事ができました。
愛犬には心を込めて「感謝、感謝」と言いたいです。

働き者になる

愛犬と生活を始めると、朝から就寝まで世話をしたり考えたりする様になります。
体調、散歩コース、尿やウンチの状態、身体のケア、室内清掃と温度管理、ご飯の量などです。

私はどちらかと言えば怠け者タイプだったのですが、愛犬が来てからは自分で言うのもおかしいのですが、信じられない程の【働き者】になりました。
これは愛犬を愛しく思うがゆえの【結実】だと考えています。
そしてこの結実は、怠け者だった私を働き者にさせるための愛犬からのプレゼントだと思っています。

見知らぬ人にでも率先して話しかける

私は愛犬を迎えるまで、見知らぬ人に自分から話しかけた事など殆どありませんでした。
しかし愛犬と毎日散歩してい時など、自分の愛犬を褒めて欲しくて、ワンコ連れで散歩している人に率先して話しかける様になりました。 
相手のワンちゃんを褒めたり、自分の愛犬を褒められたりする事で、それが何時しか楽しみに変わって来たのです。
自分の愛犬を褒められたりしたら、私としてはそれが最高の喜びになります。
ワンコって本当に不思議な力を持っています。

犬嫌いを克服させる力

生前の父は犬が大嫌いな人間でした。
子供の頃に近所の犬に噛まれたのが原因らしく、我が家に愛犬を迎えるのを嫌がっていました。
私は父に誠意をもって1年間も説得しました。
その結果、父はようやく了承してくれまして、無事愛犬を迎えられる事になったのです。
最初は全く愛犬に近づこうとはしませんでしたが、ある時、恐る恐るオヤツをあげてみたら見事に食べてくれ、その時の父は凄く嬉しそうな顔をしていました。
それが切っ掛けとなり徐々に愛犬を好きになって行きました。

それを物語る、こんなエピソードがあります。
5年前に愛犬が大腸炎になって血便が出た時でした。
愛犬が死ぬのではないかと思い、父は私の前で号泣したのでした。
あの犬嫌いな父がここまで好きになるとは、正直言いまして予想しておりませんでした。
この一件で改めて感じました『ワンコって、犬嫌いな人でも好きにさせてしまうの力があるのだ!』と・・・
『恐るべし犬の力』と言わせて戴きます。

最後に

ワンコと生活するという事は、自分の子供同様、自分の分身である【尊い命を授かる】と言う
事なのです。
そして深い愛情を持って育てて行くのです。

私は愛犬が家に来た時から思っていた事があります。
以前、【子連れ狼】と言う時代劇がテレビで放映された事がありました。
その最終回で、主人公が死ぬ間際に幼い息子に語った台詞が今でも忘れる事が出来ません。
その台詞はとても感動的なものでした。

『生まれ変わりたる次の世でも父は父、次の次の世でも我が子はお前ぞ!』
『わしらは永久に、永久に、不滅の、不滅の父と子・・・なのだぞ」

私の気持ちもこの主人公と同じです。
仏教用語で【輪廻転生】と言う言葉があります。
輪廻転生とは、死んであの世に還った霊魂(魂)が、この世に何度も生まれ変わってくる事。

もしそれが可能ならば、何度も何度も生まれ変わり、未来永劫愛犬と一緒に暮らしたいと思っています。
そんな無理な思いを持ち続けながら生きて行ければ、自分にとって最高の人生になると信じています。