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FIFAワールドカップ2018ロシア大会のアジア最終予選(3次予選)が開幕した。初戦、日本はホームでUAEと対戦し1対2と逆転負け、まさかの黒星スタートとなってしまった。日本がワールドカップに出場するようになって以来、最終予選の初戦で敗れたのは初めてのことだ。そして、いよいよ次戦(9月6日)はバンコクに乗り込んで「東南アジアの雄」タイと激突する。

 
そのタイは初戦、アウェイでサウジアラビアと対戦した。結果は後半39分にPKを献上してしまい、0対1で敗戦。とはいえ、内容はどちらに転んでも不思議のないもので、ワールドカップ出場経験もある中東の強豪国に対しても気おくれすることなく堂々たる戦いを見せた。日本代表にとっても、「格下」というこれまでのイメージで侮っては危険な相手だ。

 

2008年の時とは明らかに違う、タイ代表の実力


????????????????????????????????????著者撮影

6大会連続のワールドカップ出場を目指す日本に対して、タイはこれまでワールドカップに出場したことはない。最終予選まで進出してきたのも2002年の日韓大会以来、2度目のこととなる。2002年大会は日本と韓国がホスト国のため予選が免除されていてラッキーな面もあっただけに、文句なしの最終予選進出は今回が初めてとも言える。

タイ代表が躍進を遂げた背景には、近年のタイリーグの急速な発展がある。もともとサッカー熱は高い国柄だったが、2010年代に入り経済の成長とともに一気に一大プロスポーツとしての地位を確立した。選手のサラリーも年々高騰し、ステータスも急上昇。有力な外国人選手もやってくるようになり、約50名もの日本人選手もタイリーグでプレーしている。日本人選手の数は、世界中のリーグのなかでも最も多い部類だ。

プロとして注目されるようになったことで選手たちの意識が高まり、若く能力の高い選手たちも次々と現れてきたことでタイ代表の躍進は始まった。リオデジャネイロ五輪のサッカー競技でもアジア最終予選までコマを進めて日本と対戦したが、このところアジアの舞台でタイが存在感を示し始めているのは偶然ではない。

これまでもワールドカップ予選で日本とタイが対戦したことはある。直近の対戦は2010年のワールドカップ(南アフリカ大会)予選で、2008年に最終予選のひとつ前のラウンドで激突した。その時はホームで4対1、アウェイのバンコクでは3対0と、ともに日本の快勝に終わっている。当時はタイ国内でもタイ代表への関心は低かったためスタジアムは空席が目立ったが、今回のバンコクでの対戦は当時とは何もかもが違うはずだ。

 

6万人を超えるサポーターが熱狂!テンションは最高潮


????????????????????????????????????著者撮影

まず、スタジアムの雰囲気が2008年とは全く異なるのは間違いない。タイ代表が国際舞台で活躍するようになったことで、国民の関心度は急上昇。ワールドカップのアジア最終予選で日本と対戦するということで、テンションは最高潮だ。日本戦のチケットは発売1時間ほどで完売しており、収容6万人を超えるラジャマンガラ国立競技場は大変な熱狂に包まれることになるだろう。

????????????????????????????????????熱狂するタイサポーター  著者撮影

 

「タイのメッシ」だけでない!注目は10番のティーラシン


????????????????????????????????????10番がタイのエース、ティーラシン・デンダー選手  著者撮影

そして、もちろんタイ代表の実力も前回の対戦時とは比べものにならない。「タイのメッシ」と呼ばれるチャナーティップ・ソンクラシーン選手や、クラブチームのアジア王者を決めるAFCチャンピオンズリーグでJリーグクラブを苦しめた左サイドバックのティーラトン・ブンマータン選手などは、日本のサッカーファンの間でも徐々に知名度が上がっている。

さらに、最も注意が必要なのが東南アジア最高の選手と言っていいタイのエース、ティーラシン・デンダー選手。これまでアジアの大舞台でのインパクトが弱かったせいか前述の二人に比べると日本での知名度は低いが、タイが得点するとすればこの選手が絡んだ展開が最もイメージしやすい。いずれにしても今のタイ代表は、コンディションや展開次第では日本から勝ち点を奪う可能性を秘めている。

とはいえ、初戦でまさかの敗戦を喫してしまった日本にとっては、絶対に負けられない試合となった。大観衆が迎えるアウェイ感満点のバンコク・ラジャマンガラ国立競技場で、急成長する「東南アジアの雄」を相手に日本代表はどんな試合を見せてくれるだろうか。

????????????????????????????????????スタジアムに向かうサポーターが勝利を祈る  著者撮影

 
(text & photo : 本多 辰成 )

 

スポーツコラム「スポーツが繋ぐ! 東南アジアと日本の新時代」
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