なぜ浅野はミートできなかったのか。それこそ最大の問題点だ。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト編集部)

写真拡大 (全4枚)

[ロシアワールドカップ・アジア最終予選]日本 1-2 UAE/9月1日/埼玉スタジアム
 
 2015年1月のアジアカップの頃に比べて、確実に強くなっている。これが、試合直後の率直な感想だった。もちろん、日本に勝ったUAEに対してである。
 
【W杯最終予選PHOTO】日本 1-2 UAE|本田の先制ゴールも痛恨の逆転負け

 アジアカップの準々決勝に臨んだ当時のUAEは、明らかに日本をリスペクトした戦い方をしていた。攻撃はカウンター頼みで、しっかりと引いた守備で相手の攻撃を跳ね返す。しかし、それから1年半以上が経っての再戦で、UAEが見せたのは決して腰が引けた戦い方ではなかった。球際の戦いを制し、10番のオマル・アブドゥルラフマンを軸に苦し紛れではなく、意図したアタックで日本陣内に攻め込んでいたのだ。
 
 この日のUAEのシュート数は9本と、日本の22本には及ばない。しかし、アジアカップ準々決勝の「3本(UAE)対35本(日本)」に比べれば、素晴らしい進歩である。もちろん、シュート数だけで判断しきれるわけではないが、記者の目にはUAEがアウェーでも臆することなく勇敢に戦っているように見えた。
 
 今回の日本の敗戦を振り返るうえで、この“UAEの進歩”は見逃せない。一度ならず、二度もUAE(スタメンの半数以上がアジアカップの準々決勝と同じメンバーだった)に負けたのだ。フロックなどではない。日本は実力でUAEに敗れたのだ。
 
 確かにいくつか誤審はあっただろう。ただ、それが最大の敗因ではない。浅野のシュートがゴールを割ったか割らないかという以前に、なぜ浅野はあそこでミートできなかったのかいう問題がある。しっかりボールを叩いていればゴールできた場面であり、クローズアップされるべきは浅野の“決定力不足”である。
 
 「それでも、あれはゴールラインを割っていた」と主張する者もいるだろう。確かに誤審だが、一方でゴールとして認められていないのが現実だ。そこから目を背けてはならない。あの場面で「ミートしきれなかった」浅野の責任は重く、ああいうミスがワールドカップ予選のようなビッグマッチで命取りになる。
 
 大島のミドル、清武の空振りなど決定機逸は他にもあったが、なかでも最大の得点チャンスはあの浅野のシーンだった。そこで仕留めきれなければ、試合に負けて当然だ。
 
 守備面に目を移せば、オマル・アブドゥルラフマンの対応にだいぶ苦労していた。とりわけ後半は3人で囲んでも、この10番にパスを通されるシーンがいくつもあり、チームとしてだけでなく個々の戦いでも劣勢を強いられた部分があった。要するに、日本は攻守両面に問題を抱えていたのだ。
 15年アジアカップを戦った日本は、UAEにPK負けするまで“王者の風格”を醸し出していた。パレスチナを一蹴し、イラクをしたたかに退け、ヨルダンを攻守ともに圧倒したグループリーグの戦いぶりは「日本、強し」を印象付けた。
 
 日本代表からそうした威厳が失われ始めたのは、そのアジアカップの準々決勝でUAEにPK負けしてからだろう。一方、日本を倒して確かな自信を得たUAEはそこからさらなる成長を遂げて今回のワールドカップ・アジア最終予選に臨んだ。いわゆる勢いの差も、勝敗を分けるポイントのひとつだったのかもしれない。
 
 いずれにしても、日本は「ベストメンバーではなかったから」、「誤審があったから」と、そういうものに逃げるべきではない。今回の敗戦を重く受け止め、アジアでの立ち位置を改めて考えるべきだ。
 
 試合後の記者会見では、海外の記者から以下のような質問が出ている。
 
「我々は日本代表をずっとフォローしています。2011年のドーハでのパフォーマンスを見ました。オーストラリアとの試合も見ました。でも本日の試合を見ますと、日本代表が最悪の状況と見受けられます。これから監督が新しい選手たちをチームに入れようという考えはありますか。このチームのパフォーマンスを上げるための、活性化するための対策は?」
 
 ハリルホジッチの回答はさて置き、気になったのは「日本代表が最悪の状況」という部分。“外”からもそう見えるのだから、日本が危機的な状況にある事実をしっかりと認識しないといけない。

 日本は今回の敗戦で、UAEに勝点3とともに“自信”までも与えてしまった。その“自信”が後々、日本を苦しめる要因にならなければいいが……。
 
取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)