高齢になり身長が2センチ以上縮むと、死亡率が約2倍高くなる--。そんな調査結果を、先頃、産業医科大学が明らかにした。
 一般的に、背が縮む原因は二つあるとされるのだが、どちらも“背骨の異変”からくるものとされ、そのまま放置すれば身体の衰弱を招き、最終的には死期を早めるとさえ言われているのだ。

 その一つ目の原因は、背骨の湾曲が進んで姿勢が悪化するケース。国立病院機構東京医療センター内分泌内科(循環器)担当医はこう説明する。
 「加齢によって、骨や筋肉、関節の機能が低下すると、身体を支えることが難しくなり、背骨の湾曲が進みます。すると筋肉の萎縮が進んで、動くだけで疲労を感じ、動く意欲を失ってさらに筋肉が萎縮する。その悪循環の結果、身体の新陳代謝が低下して内臓の代謝も落ち、食欲不振、栄養不足にもなる。そうなると身体は急速に衰弱し、免疫力や抵抗力も低下。健康体ではかからないような病気になる場合もあるのです。中には、高齢者の死因第1位の肺炎になってしまう人も多い」

 よく言われる骨粗しょう症も同じで、50歳を過ぎると骨がスカスカになって骨折しやすくなる。この病気の推定患者数は1280万人とされるが、うち受診するのは20%程度だという。
 「骨は、絶えず古い骨を破壊し吸収する『破骨細胞』と、新しい骨を作る『骨芽細胞』がバランスよく働くことで強度を保っています。加齢などでこのバランスが崩れると、新しい骨を作るスピードが追いつかず、骨密度(カルシウム量)や骨質(コラーゲンの状態の良し悪し)が低下して、骨がもろくなるのです」(同)
 ただし、骨粗しょう症自体には自覚症状がなく、静かに進行する。エネルギーの低い2種類のX線を使うDEXA検査では、背骨や太ももの骨密度を測定して判定するが、はっきりするのは身長の縮み1〜2センチ程度。ただし、ほんの少しの異変であっても身体が衰弱し始めている可能性が高く、様々な病気に注意する必要がある。

 背が縮む二つ目の原因は、背骨を形成する椎体(ブロック状の骨)が、圧迫骨折などによって潰れているケースだ。
 「背骨の圧迫骨折では、半数以上の人は椎体が丸ごと潰れても大きな痛みを感じません。背骨が少し痛む程度です。椎体骨折には、ブロックの一部が潰れる程度のグレード1から、丸ごと一つ潰れてしまうグレード3まである。気付かないうちにグレード3の椎体骨折が起きて、3〜4センチも背が縮んだなんてケースもあります」(専門医)

 椎体骨折を放置すると他の椎体にも負荷がかかり、連鎖的に椎体が2個も3個も潰れてしまう例もあるという。
 日本病態栄養学会の専門医は言う。
 「2センチ以上の身長の縮みの場合は椎体骨折の可能性が高く、骨粗しょう症によって骨が弱まっている証拠です。つまり、全身の骨がいつ骨折してもおかしくないという状態。例えば、転んで尻もちをついたり、重い物を持っただけで大腿近位部骨折(足の付け根の関節の骨折)を起こし、介護が必要になる。すぐに手術とリハビリをしても、高齢者の場合は歩きづらくなったり、寝たきりになる可能性も非常に高くなってしまうのです」