【オトナの社会科見学】スバル・ドライビング・アカデミーでテストドライバー1日体験!

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クルマ好き…というより運転好きの人なら、一度は自動車メーカーのテストドライバーというお仕事に憧れたことがあるのではないでしょうか?

市販前の開発車両を次々とドライブし、時にタイヤを滑らせ、時に高速周回をこなし、開発エンジニアの人たちに的確なコメントを発する…。うーん、カッコいい!

もちろん、華やかな作業ばかりではなく、凹凸路を延々と何時間も同じスピードで走り続けるといった、地味で腰に悪そうな苦行も多いと聞きますが、何ともあれ、クルマの開発には欠くことのできない仕事…。

当たり前のようにそう思っていたのですが、なんと! 現在のスバルには、テストドライバーがいない!! のだといいます。

実はスバル「360」の昔から、開発者自らが(かつては存在したテストドライバーらと)走り込み、考え、解決策を物理に落とし込みながらクルマを向上させていく…、それがスバルの伝統だったのだとか。エンジニアが一貫してクルマに携わるので、細かいニュアンスまで開発に織り込める、というわけです。なるほど。

ちなみに、1989年に初代「レガシィ」が“10万km世界速度記録”を達成した時も、ドライバーはエンジニアメンバーだったといいます。その時の素晴らしい言葉が残っています。「機械はすべて正常に作動した。しかし、記録は人間が作ったものである」

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 ■クルマの運転は楽しいということを知って欲しい!

「ドライバーの評価能力以上のクルマは作れない」という確固たる信念のもと、開発が行われるスバルのニューモデルですが、エンジニアの熱意や努力、そして感性が、ストレートにニューモデルに反映されるコワさがあります。作り手が「楽しい!」と思えなければ、乗って楽しいクルマは作れないのです。

そこで「理屈はともかく、ドライビングの楽しさとは何か?」を実感として追求すべく、2015年夏に“スバル・ドライビング・アカデミー”、略して“SDA”が社内に設立されました。

スバル・ドライビング・アカデミー

先のレガシィ10万km世界速度記録樹立時の立役者、秋山 徹さんをチーフインストラクターに、上司の推薦を受けた受講生が集い、腕を磨くのです。SDAのランクは下から「初級」「中級」「高速」と上がっていき、最高ランクの「特殊」は、10数名ほどしかパスできていない狭き門です。

スバル・ドライビング・アカデミー

では、具体的にどんなことをしているのか? SDAのプログラムを実体験できるありがたい機会をいただいたので、歓び勇んで参加してきました! 成績次第では、もしかして自分もスバルの新車を開発できちゃうかも!? うーん、カッコいい!

…そんな不遜な考えは、しょっぱなの“ジムカーナ”で粉々に打ち砕かれました。クルマは、スバルが誇るFRスポーツ「BRZ」です。

スバル・ドライビング・アカデミー

まずは助手席に座っての同乗走行後、1回の完熟走行を実施。ミスコースしそうになってヨロヨロ走るワタシを見かねてか、インストラクターの方が「隣に乗りましょうか?」とありがたい申し出。隣で指示をいただきながらの走行とあいなりました。恥ずかしい…。

スバル・ドライビング・アカデミー

続いては、ウエット路面での定常円旋回。面白いのは、半周ごとに摩擦係数が変わる路面の上を、インストラクターの方は路面が変わるごとに上手にスロットルをコントロールし、見事にドリフトアングルを維持したまま、キッチリ3周回りました。拍手〜。

スバル・ドライビング・アカデミー

普段のお仕事をうかがうと、「(走行中に乱れた車体の挙動を正す)VDCの限界テストをやっています」とのこと。オーッ、納得です。「ドライバーの評価能力以上のクルマは作れない」というフレーズそのままですね!

最後は、「WRX」を用いての高速周回と、フルブレーキングの実践です。

前者は、傾斜の異なるバンクを含めて、定速で走り続けなければいけません。例えば140km/hでフルバンクに突入すると、下方へとGが掛かって、文字どおり顔から血の気が引きます。何ごともなくて、ヨカッタヨカッタ。

スバル・ドライビング・アカデミー

スバル・ドライビング・アカデミー

そして後者は、ABS機能を生かしたまま、しかし、ABSを利かせないで短距離で止まる、という無茶な(!?)課題が出されました。ワタシ? もちろん、ガガカガガッ! と、ABSフル作動です(泣)。

スバル・ドライビング・アカデミー

「もしかしたら、ワタシもテストドライバーなれるかも!?」という夢はもろくも崩れましたが、インストラクターの方からとてもいいハナシを聞けました。

高速を定速で走る、ブレーキを繊細に操作する、そして、クルマの挙動を的確にコントロールし続ける。そうしたスキルを高めることは「実際の開発テストでの精度を上げるためですか?」と質問したところ、「もちろん、それもあります。SDAで修得した“安心”と“楽しさ”を社内で啓蒙して欲しいですね」と答えられた後に、「でも、何はともあれ、開発の核となる人たちに『クルマの運転は楽しい』ということを知って欲しい。それを感じてもらえれば、何よりです」。

そうですか! 「運転を楽しんだ」という点においては、どうやらワタシも合格したようです。そんな負け惜しみはともかく、これからのスバル車、ますます期待できそうですね!

スバル・ドライビング・アカデミー

(文・写真/ダン・アオキ)

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