競争激しい清涼飲料市場にあって常に紅茶カテゴリーでトップのシェアを維持してきた「午後ティー」。その超ロングセラーの、その先にあるものとは。

午後の紅茶  午後の紅茶 おいしい無糖
冷やしても濁らず、透き通った液色を保つ「クリアアイスティー製法」の開発により、1986年10月、『午後の紅茶』は日本で初めてペットボトル入りの紅茶として発売された(左)。右は現在発売中の『午後の紅茶 おいしい無糖』。

第7代ベッドフォード公爵夫人
シンボルマークとなっているイラストはイギリスの第7代ベッドフォード公爵夫人。「アフタヌーンティー」の習慣を始めたとされている。

◎トップブランドを維持するために年間20以上もの派生商品を発売

 飲料業界には「千三つ」という言葉がある。新商品を1000出しても、当たるのは3つという厳しい世界を表現した業界用語だが、そこにあって30年間、一貫してトップを独走してきたのがキリン『午後の紅茶』だ。

 1986年に初めてのペットボトル入り紅茶として発売。それまで紅茶は、冷やすと濁るためペットボトル容器には使われなかったが、「クリアアイスティー製法」によって、初めて「濁らない紅茶」を作ることに成功した。それが人気を呼び、一躍シェアトップに躍り出る。だがその後が苦難の道のりだった。

「紅茶は中規模カテゴリーゆえ、トップに立った後はカテゴリー全体の拡大を図らないと売り上げが伸びないのです」(キリンビバレッジ・田代義法さん)

 トップメーカーとして自らが牽引して市場の裾野を広げることが使命になったのである。

 そこで毎年のようにレギュラーシリーズ以外の商品を数多く発売した。

「過去には炭酸入りや、果汁50%入り、ヨーグルト味といった商品を出したこともあります」(田代さん)

 市場に出した商品の数は30年間でトータル200以上、年間では多い年で20以上にも上った。

 また、紅茶よりコーヒーや緑茶になじみのある日本人に向け、紅茶の新しい飲み方も提案している。そのひとつが「おにぎり公式飲料」というコピーで展開しているキャンペーン。「お米のご飯に緑茶ではなく紅茶を」という提案は、意外性がありながら、やってみると実はマッチしていて、「和食に紅茶」という新しい食文化を生み出した。

「去年の夏には、人気かき氷専門店とコラボし、『午後の紅茶』を凍らせたかき氷を売る店を原宿に出しました」(田代さん)

 市場拡大のためマーケティング担当者は、常にアイデアを求められる。多い時には1人10以上の商品を同時並行で担当するという。そうした発想のフル回転こそが「千三つ」の世界で勝ち抜いてきた秘訣と言えそうだ。

 

「おにぎり公式飲料」キャンペーン
「おいしい無糖」とおにぎりの相性の良さを訴える「おにぎり公式飲料」キャンペーン。

無菌製造技術
『午後の紅茶』を製造する湘南工場の徹底した無菌製造技術も画期的。

文/編集部