全国のラーメン店が"義援丼"を寄付して早期営業再開!震災から復旧した「ら〜めん陽向」の店長に当時の話を聞いてみた【IRORIO熊本特集第1弾】

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熊本地震から4カ月の時が経ち、全国区のニュースとして取り上げられることは少なくなっている。悪い部分が取り上げられ過ぎるゆえに、観光産業などは風評被害の影響を受けている。

私やったー麺は熊本の今を取材するため、6月から7月にかけてジモコロが主催した熊本震災支援イベントに参加し、熊本県内の取材を行った。今回第1弾として熊本市内にある「ら〜めん陽向」の話をお届けしたい。

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熊本では珍しい久留米ラーメンのお店

ら〜めん陽向は 熊本地震で被害が大きかった益城郡の一つ上益城郡嘉島町にある。4月14日の地震では物が落下するなどの被害が出た。

16日の本震では店内の物が落下してしまったり、駐車場にひびが入るなどの大きな被害が発生した。

ら〜めん陽向公式Facebookより

ら〜めん陽向公式Facebookより

近隣を歩いてみると、半壊状態になっていた家や、墓石が倒れている場所もあった。

 

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特に本震で受けた被害は甚大で、営業どころか普段の生活にも支障がでるような状況。ら〜めん陽向店長の内田哲史さんも、万一寝ている間に地震が起きては大変なので、震災後2週間は車の中で過ごしたという。

ら〜めん陽向は熊本では珍しい久留米ラーメンを出すお店で、「呼び戻し」といわれる毎日スープを継ぎ足す方式を採用している。地震のため数日間営業を止めなくてはならなかったので、2013年の開店以来継ぎ足してきたスープはダメになってしまった。

「呼び戻し式で長く煮込んだスープには良い菌が住み着いて旨味が強くなるといわれており、年月をかけて作ったスープが変わると、全体の味が変わってしまう可能性もありました。でも、それどころの状況ではなかったので、スープがダメになってしまうのは仕方がないという心境でしたね」と店長の内田さんは語る。

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営業の再開の目途が立つ。でも使える丼がない

地震から1週間ほど経った4月下旬、建物や電気、ガス、水道に致命的な被害がなく、営業の目途が立ったことから内田さんはGW前の営業再開を目標に動き始めた。

しかし、ラーメン屋の営業に必ず必要な丼が1回目の地震で全体の半分、2回目の地震で80%割れてしまい、このままでは営業再開が難しい状態だったという。

新しい丼を発注しようとしていた時に、内田さんが親しくしていた佐賀の「いちげん」というラーメン店から連絡が入る。丼が割れてしまったことを話すと、親しくしている東京のラーメン店「ちばき屋」に掛け合い、全国から義援丼を集めることを提案し、内田さんは快諾した。

営業再開に向け全国のラーメン店から佐賀のいちげんに義援丼が集まり、熊本のら〜めん陽向に届けられた。東京の「麺屋武蔵」「つじ田」「田中そば店」、311を経験した東北からは「五福星」「沼田商店」「中華そば ひらこ屋」など全国のお店から義援丼が500枚以上が送られてきたという。

「テレビで見たお店や実際会ったお店の丼が送られてきて、感謝の気持ちで一杯でした。ただ、他店の丼を使わせて頂く以上、送って頂いたお店に恥じないようなラーメンを出さなければいけないというプレッシャーも感じ、気が引き締まるような思いでした」と内田さん。

この丼はら〜めん陽向だけでなく、熊本市内のラーメン店「博多麺屋 一連」「天外天」でも使われているそうだ。

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普通に営業できるのは普通じゃないこと

いくら丼があっても、それだけでは営業できない。特にら〜めん陽向は呼び戻しのスープを使っているので、それを出さなければ営業再開は難しい。

数日間営業ができず、ら〜めん陽向のスープは使い物にならなくなってしまった。そんな状況を見て、同じく呼び戻しのスープを使って営業するいちげんの店長が、呼び戻し式のスープの一部を分けてくれたという。

長い年月をかけて作られた継ぎ足し用のスープを入れたことで、ら〜めん陽向のスープは営業をできるクオリティを取り戻したという。

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協力してくれたラーメン店だけではなく、多くのやさしさに触れることができたと内田さんは続ける。

常連さんから「営業再開を待っています」「手伝いに行きたい」という連絡が入り、中には東日本大震災を経験した東北地方からも励ましの電話が入ったそうだ。

地震が起きて多くの人々のやさしさに触れることで「普通に営業できることは普通ではない」という気持ちが芽生えたという。

お店でラーメンを食べてみた

さっそくラーメンを食べてみる。注文したのはらーめん(600円)。スープは豚のげんこつのみを使っており、何度も継ぎ足した呼び戻し式のもの。

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継ぎ足されたスープを使っているので味は博多で食べる豚骨ラーメンよりも濃厚でコクがある。

丼の底にはザラザラとした骨粉もあり、独特の触感があるのも特徴だ。

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細麺とスープの相性もいい!濃厚なスープが良く絡み、麺のすすり心地もグッド。非常に食べ応えのある味に仕上がっていた。

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GW前に営業再開!震災前よりたくさんの人が来てくれるように

お店はGWの初日の29日にオープン。「最初はお客さんが来るか不安でした。ただ、震災から約2週間経ったということもあり、お客さんも配られる食事以外の食べ物を口にしたくなったのか、多くの方々がお店に訪れてくれました」と内田さん。

状況が状況ということもあり、観光で来るお客さんは減ってしまったそうだが「仕事で熊本を訪れる方が非常に多いので、震災前よりもお客さんが増えています。震災後売り上げが落ちている飲食店も多いので、今までやってきた『本物の久留米ラーメン』を出すというお店の方針は間違っていなかったんだと思います」と語る。

ら〜めん陽向公式Facebookより

ら〜めん陽向公式Facebookより

ら〜めん陽向の営業時間は11:00〜15:00、18:00〜23:30で土日祝は夕方からの営業が17時からで定休日は火曜となっている。

ら〜めん陽向 | Facebook