清武に代わってウイングに入った宇佐美(11番)は、左サイドからキレのある動きで攻撃を活性化させた。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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【ロシアW杯アジア最終予選】日本 1-2 UAE/9月1日/埼玉スタジアム2002
 
「私のチョイスが悪かった」。
 
 ホームでまさかの黒星スタートとなり、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は試合後自らの采配を悔やんだ。選手名は明かさなかったが、「プレースピードとオブリックランニング(斜めの走り)を要求したんですけど、背中を向けてプレーしていた」という評価から察するに、左ウイングで先発した清武弘嗣は指揮官の期待値に達さなかったひとりと見ていい。その清武に代わって途中出場した宇佐美貴史が、キレのある動きを見せてチャンスを作った分、そう思ってしまうのも致し方ないだろう。

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 宇佐美はハリルホジッチ監督から「サイドから仕掛けて行け」と指示を受けていたという。67分には香川真司との連係で左サイドを崩し、ペナルティエリア内でUAEのDFイスマイール・アハメドに倒されたが、判定はノーファウル。その5分後にも本田圭佑→浅野拓磨とつないだボールをフィニッシュに持ち込むも、ゴールは割れなかった。宇佐美は審判の判定に苦戦したことを認めつつ、「(それ以上に)得点が必要だった」と自戒する。
 
「僕らが点を取っていれば勝てている。不運なところはあったとはいえ、そういうものを撥ね退けないといけないし、言い訳にはできない」
 
 今夏移籍したアウクスブルクではまだレギュラーを掴んでおらず、代表合流直前のブンデスリーガ開幕戦は途中出場。プレー時間が8分間にとどまった影響もあり、UAE戦ではベンチスタートとなった。宇佐美は代表でスタメンを掴むには「攻守で安定したプレーを見せつけないといけない」と語る。
 
「キヨくん(清武)が入った時と、僕が入った時ではできることも違う。自分にしかできないプレーを見せて、監督の中に選択肢として入って行かないといけない。もちろん、その中で結果も必要になります」
 UAE戦を落とし、ハリルジャパンは、「最終予選の初戦を落とした国がアジアの代表として本大会に出場したケースはない」という“魔のデータ”に向き合わなければいけなくなった。しかし、9月6日のタイ戦に向けて下を向いている暇はなく、宇佐美もそれは理解している。
 
「(タイ戦は)勝つしかない。お尻に火がついた感じだと思うので。この前(2次予選)もシンガポールと引き分けて幸先は良くなかったけど、そこから一丸となってやり続けることができた。レベルが違いますが、もう一回、一致団結して顔を上げてやること大事だと思います」
 
 現体制の全18戦のうち最多となる17試合に出場する“ハリルの秘蔵っ子”には、日本を救う活躍が求められる。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)