トップ下でフル出場を果たした香川だったが、際立つ活躍を見せられなかった。25分の決定機もコントロールしきれず、ネットを揺らせなかった。(C)SOCCER DIGEST

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 口をついて出てくるのは、反省ばかりだ。まるで敗戦の責任を一身に背負うかのように、香川は暗い表情を浮かべていた。
 
「前半はなかなかスペースがなくて、自分自身も(パスを)受けられる場面が少なかった」
 
 ドルトムントで見せるような軽快なリズムを奏でられない。この日はピッチ中央に留まる時間が長かったが、「両SBが高い位置を取って、キヨ(清武)と(本田)圭佑君も中に入って来ていたので」、周囲との連動した崩しの起点になろうとスタンバイしていたのだろう。
 
 清武とは“あ・うん”の呼吸でパス交換する場面があり、バイタルエリアでも息の合ったコンビネーションを見せていた。ただ、ほんの少しのズレやミスもあり、思うようなゴールチャンスを築けない。
 
「僕自身、動きの変化を加えるとか、ポジションを修正すべきだった。そこは課題というか、反省。もう少し、はっきりとした動きをすれば、(周囲と)絡める場面が増えてきたんじゃないかな、と」
 
 結局、フルタイム出場を果たした香川だったが、最後まで“沈黙”したまま。最大の見せ場でも結果を残せなかった。
 
 25分、本田のヘディングシュートを相手GKが弾き、そのこぼれ球に反応したが、シュートは枠を捉え切れず。この決定機逸に「決めなければいけない場面だったけど、しょうがない。切り替えてやるしかない」と言葉に力を込める。
 
 UAE戦では、ボランチで大島僚太がA代表デビューを飾った。ハリルホジッチ監督は「(大島は)真司への供給源としては、非常に興味深い」と以前、語っていたが、指揮官が期待するような関係性はほとんど見られなかった。
 
「周りが上手くフォローできる場面はたくさんあったし、(大島を)落ち着かせられる時間帯を僕たちが作ってあげなければいけなかった」
 
 また、この日の日本はホームにもかかわらず、カタール人主審の“UAEびいき”のジャッジに最後まで苦しめられた。香川自身は「こういうのは想定内。もちろん、判定に関して思うところはありましたが、僕はそこまでストレスを感じなかった」と、平常心でプレーできていたようだ。
 
 だからこそ、「自分たちでやるべきことを見せられなかった。そこは悔しい」と唇を噛む。
 
「これだけのサポーターが来てくれたのに、初戦という大事な試合で、ホームで勝てなかった。最悪というか、負けからのスタートだけど、次は勝てるようにやっていくしかない」
 
 引いた相手に対しては、素早くボールを動かし、ダイレクトパスやスルー、フリックを織り交ぜながら、複数人が絡んだ仕掛けでこじ開けていく。中を固められると、攻めあぐねることも少なくないが、「やり方を変える必要はない」とブレはない。
 
「決定的なチャンスを含めて、攻撃の形をなかなか作れなかった。もっとチームが上手く連動できるようにやっていく必要がある」
 
 高度なテクニックと優れた敏捷性を兼備する香川が躍動しなければ、連動性ある崩しも成立しない。そのことは本人が誰よりも理解しているはずだ。ここにきて、存在感が増してきている清武も、香川との相乗効果でより輝きを放つ。
 
 このままでは終われない。6日のタイ戦は、プライドを懸けて、チームを勝利に導くパフォーマンスを期待したい。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)