よしもと芸人「バンビーノ」と「相席スタート」がドラマ『火花』についてぶっちゃけトーク 撮影:小林裕和

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お笑い芸人ピースの又吉直樹さんが芥川賞を受賞したベストセラー小説『火花』をオンラインストリーミングサービス・Netflixでドラマ化、全10話が配信中。この夏休みに一気に観た人もいるのではないでしょうか?

「お笑い、正直やりにくい時がある」―バイきんぐが語る"お笑い氷河期"のいま芸人に必要なもの

というわけで、多少ネタバレを含みつつ、ドラマを観て感じたことを“芸人目線で”語ってもらいました。ネタバレありだからこそ、繰り広げられる芸人目線の細かい指摘! まだ観ていない人は、シルバーウィークでイッキ観して!


本作は師弟関係を結んだ売れないお笑い芸人2人組の10年間を追った青春物語(フィクションです)。主人公、お笑いコンビ“スパークス”の徳永を林遣都さん、徳永が憧れる先輩芸人、“あほんだら”の神谷を波岡一喜さんが熱演。さらに徳永の相方・山下を芸人、井下好井の好井まさおさんが演じるなど、芸人さんも多数出演しています。

芸人の又吉さんが描く、リアルな芸人の世界が話題の本作。実際に芸人あるあるはどのくらい描かれているのか!? よしもとのお笑いコンビ、バンビーノ(石山大輔さん、藤田裕樹さん)と相席スタート(山添寛さん、山粼ケイさん)の2組がドラマ『火花』について白熱トーク!

さらに、『キングオブコント2014』の「ダンソン」ネタで突如注目を集めたバンビーノが本音を語りまくり。芸人あるあるから芸人としての葛藤まで、ぶっちゃけてくれました!

ちなみに山粼さんは神谷の2番目の彼女・ミキとしてドラマに出演しています。

やっぱりリアル!「インコ飼え」もあるある!?

――みなさん観ていて「あるある」と思う部分はありましたか?

山添:めっちゃありましたよ!

藤田:テレビ用にネタを一般受けするように合わせてとか。

石山:それめっちゃあるね。でも一般の人に「寄せんなや!」とかの言い回しが伝わるのかね。「俺はこのボケやりたいねん」、「いやお前、客にネタ寄せんなや」っていう会話が伝わるのかどうか、それぐらい芸人の世界の描写が細かい。

山粼:1話の熱海の花火大会のイベントシーンで漫才をやるときにスタンドマイク1本で喋ってるんですけど、私たち普段漫才やるときってサンパチマイクっていって、どこから喋っても音を拾うマイクを使ってるんです。でも営業とかだとスタンドマイク2本とかのときがあるんです。要するに、ちょっと離れる動きがある漫才だと声を拾わない。

それがあの場面はマイク1本だったので、2人がすごいマイクに口を近づけて喋るんですよ。あれって普通の人は何の描写かわかるのかな?って思って見てたんですけど、私たちだと「わかる〜」って思う部分ですね。

藤田:あと、僕ら出る時ちょうど花火始まっちゃいますよねって、その扱い(笑)。


山添:それから、1本のネタに掛ける時間を忠実に描いている。こんなに1本のネタに時間かけてるんだって裏側をきちんと見せてますね。あと、作家さんが「インコ飼え」って言うあるあるはめっちゃある。そんなこと言うんやって思う人いると思うんですけど、それくらい訳のわからんこと言う作家さんいるんですよ。

――今まで何か言われた印象的なものってありますか?

山粼:前のコンビの時に、韓国旅行に行くネタでキムチとか食べ物の話を使っていたら、「いや、キムチじゃなくてそこはカムジャタンの方がうまいだろう」って言われて。その場は「カムジャタン、ちょっと食べたことないんですけど、なるほど」って応えて、終わってからすぐ裏で文句言ってました、「カムジャタンって(ダメ出し)何!?」って(笑)。

石山:僕らはすぐ(作家さんらと)ケンカしてしまうんでダメですね。

山粼:あ〜、神谷さんタイプですね。


藤田:ネタ見せのシーンの神谷さんみたいに「寝てるやないか!」とまでハッキリ言わないですけど……、言っている人を見たら気持ちいいですよね。

石山:まず見ろやっていうね。

山粼:見てない人いるよね。

石山:あとラジオのシーンの「急遽30秒で」もすごいあるある。あと吉祥寺に住みたがる(笑)。吉祥寺ってめっちゃいい街ですもんね。

山添:でも中野とか高円寺に比べるとちょっと高いんですよ。

山粼:芸人は中野、高円寺ぐらいのほうが多いかもしれないですね。あと芸人辞めた人、不動産屋になりがちっていうのもありますよね。

一同:これはすごいあるあるです。

今の芸人像とは少し違う「こうなったらアカン」 芸人には反面教師に

石山:この作品で描かれてるのは、ちょっと世代が前の芸人さんみたいですよね。

山粼:確かに、私達の世代よりはもう1コ前の世代の先輩たちの感じはありましたね。

石山:今ああいう人おったら、もう激イタやから、たぶん(笑)。僕らの世代の芸人で、消費者金融寄って後輩のために20万くらい下ろして飯行くとか、そんなことする人はもうおらんし、居酒屋でケツ出すノリとかもない。

山粼:私たち、1年に1回コンプライアンス研修を受けてるので(笑)。


石山:昔の人だったらあれくらいが芸人なんだよ、っていうものがもう通用しなくなった。でも『火花』って時代設定がちょっと昔じゃないですか。昔は面白いとされていたノリなのかもしれない。俺だったら電話で、「もしもし今どこにおんの?」で一回ボケなあかん先輩は、マジで電話出えへん(笑)。

藤田:ボケを強要してくるノリは大阪でももうない。

山添:へ〜、大阪の方がいそうなイメージ。

石山:そう思うやろ? でももう古い。大阪でもやってる人は1人も見たことない、昔はおった気はするけど。

藤田:それに今はもうハイボール3杯で解散しますよ。

山粼:今はあんまりいないかもしれないですね、神谷さんみたいなタイプは。

山添:でも、ああいう人に憧れる芸人もいっぱいいますね。

藤田:あそこまで自分を貫き通してっていうのが憧れるんでしょうね。

石山:でもちゃんと売れてないし。結果が出ちゃってるんですよね。

山粼:厳しい!(笑)


石山:みんなが『火花』って面白いぞ!って言うのは非常に危険やと思う。俺は警鐘を鳴らすために言うんやけど、めっちゃ褒めたいとかじゃなくて、こうなったらアカンでって反面教師に感じるかな。

だって、ハッキリ言って『火花』に出てる登場人物に自分は絶対絡まへんから。実際にいたら俺は斜めに見て黙って無視して通り過ぎるタイプの芸人像しか『火花』には出てなかったと思う。ああいうタイプの人たちのことは「そういうのはずっと酒飲みながら言っとけや」って思ってたから。

だから観た人全員が「めちゃめちゃ面白かったです!」っていうのはマジで危険やと思う。だって全然芸人のこと知らん人が観て「芸人ってこうなんや」って思われたら、俺は「ちゃうちゃう」ってなるもん。

――でも神谷さんは売れることができないので、世間一般で受け入れられるような芸人ではないというのを描いてもいるのかな、とも思うのですが。

石山: そういう意味では、スパークスの漫才は後半になるにつれちゃんと上手くなっていってますよね。最初はわざと面白くなくやってたんやろうけど。だからちゃんと練習して形になってるんやなっていう感じがすごくしました。ただ、神谷さんみたいな芸人は「おるなー」っていうか。

山粼:確かに、めっちゃわかる(笑)。

石山:ネタやる前に後輩に「まぁ見とけ」ってかましていっちゃう感じ。俺はそんな先輩に「見とけよ」って肩叩かれても「もうええって」ってなると思う(笑)。

芸人の女関係もあるある!?

藤田:あるあるで言うと、(門脇麦さん演じる)真樹さんとみんなでご飯を食べてて、テレビに違う芸人さんが映ったら真樹さんがテレビ消したやつ。ただこのケイちゃん(が演じたミキ)は全然消さへんねん! ずっと見てて! 「あははは、スパークスだ、すごいね、テレビ出てるね」とか言って、もう気ぃ遣われへんなっていう(笑)。

山粼:あはははは! でもドラマより今の方が私キレイじゃないですか?

――そうですね。

山粼:ミキが太っててブスって設定だったんですよ。だから役作りなんですよね〜。あんなに太っててブスに見えるなんて。

山添:やかましいわ!


――役作りで太ったりもしたんですか?

山粼:いや、今と変わらないです(笑)。でも普段からテレビ局に行ったりしても局メイクしないんです。絶対自分でやったほうがキレイだから。だから他人にやらせるとああなっちゃうんですよね〜。メガネもなかったし。いろんなものでごまかしてるのに。

山添:背中おっきかったですね。うまい飯作りそうやった。

山粼:あと、“彼女じゃない”お金を稼げる仕事をしてる女の人のところに転がり込んでる男芸人とか、けっこうあるあるです。

――彼女ではないんですか?

山粼:彼女じゃないって言うんですよ、いつも。めっちゃ多いです。きちんと付き合ってる彼女じゃないんだけど、風俗嬢、AV女優、キャバクラ嬢の家に転がり込んでる男芸人。

山添:そういう人は今でもいますよね。だから破天荒さはないけどそういうところはあるって、今の芸人はたぶんクズやと思います。

コロコロ周囲に合わせる山下の気持ち、わかる?

自分たちらしさよりも、周りの大人の意見に合わせようとする山下。ドラマでは、徳永が相方のように割り切れずに2人が衝突する場面も。


藤田:僕は山下さん派ですよ。めっちゃ山下さんの気持ちわかります。「いや、言われたようにしたらええやん」って実際に(石山に)言ったこともありますし。

石山:藤田はパニックになってましたからね、売れなすぎて(笑)。バンビーノの「バ」を「ヴァ」にしようって言ってきたり。どれだけ不安なん!?って。そんなんがめっちゃありますよ。

山粼:それくらい何かにすがりたくなる時があるんですよ。

藤田:しかもまだ3年目とかそれくらいの時。

石山:バトルでバーンって一番上に上がってネタ終わって帰ってきたら、不安すぎて藤田が泣き出して。

藤田:一番上は決まってたけど、そこからまた順位をつけるってなったときに一番下で。

石山:バンビーノなんて、6、7年オーディションで潜ってた奴らが急に総入れ替え戦でピラミッドの上に上がってきて、そんなん一番初めやから「誰やねん」状態なのに、不安すぎて「いや絶対また落ちるって」って言って。でも、ネタ書いてないお前が言うなよって(笑)。

ウーマン村本とバンビーノの火花!

――周りの意見を柔軟に取り入れているなぁ、と感じる芸人さんっていますか?

石山:この人はそうやな、とかじゃなくて、大変やなって思う人はおるよね。ノンスタイルの井上さんにしろ、ウーマンラッシュアワーの村本さんにしろ、大変やな!って。

村本さんなんて元々悪口言う人じゃないから。それがラジオで僕らに対して1回だけ言われたことがあるんです、「あいつら楽屋で……」って。先輩が後輩に噛みつくときってその場で言えばいいじゃないですか。でもラジオで言われた時に「いやいやその場で言えばええやん」ってなって。

だけど「村本、あいつ文句いいやがって」って、去年のブームの時に言ったら攻撃になって村本さんの利益になるわけじゃないですか。だから僕たちはガン無視しました(笑)。

それで、ネットで「バンビーノってそういう人たちなんだ」ってなったけど、なんで後輩を下げることを俺らがリングに上がらない状態で言うのかなって考えて、マネージャーと相談して「ガン無視しましょう、相手にしません」って対応したら、次の時のルミネかなんかの出番の時に村本さんが来て、「お前らなんで言い返してけえへんねん」って。そのプロレスが大変やなって。

山粼:すごい話するね。

山添:ちょっと聞き応えあってもう村本さんとバンビーノさんの火花になった(笑)。


石山:いやいや、ほんと大変やなって。テレビでキャラクターを作られて、それをやらなあかんことに関してまだ俺ら芸人は理解があるからいいけど。だって村本さん悪い人じゃないから。

山粼:ほんとにいい人だよね。めちゃくちゃ優しいんですよ。

石山:俺らが売れなくて腐りかけてた時に、村本さんだけが話しかけてくれたんですよ、「頑張れ、お前らなら大丈夫」って。だから、悪口を言われても、「村本さん冗談で言ってはるわ、仕事してはるわ」って(笑)。後輩に噛みつかなあかんくらい必死なんやと思う。

山粼:すごいこと言う!(笑)

石山:いや、しょうがないとは思うで!

藤田:ニュースになるような芸人に噛みつくならわかるんですけど、僕らバンビーノなんてニュースにもならないですよ。

――話題性があると評価してもらえてるってことじゃないですか?

石山:跳びかかってきそうな後輩にいけば跳びかかっていくんですよ、絶対。でも俺らそんなんじゃないから(笑)。

山粼:うわ、やだ〜!(笑) どっちもイタいよ、登場人物。

石山:「ちょっとなんすか、村本さーん!!」っていう風にはならないから。

山添:あはははは!

山粼:尖ってるわ〜(笑)。


石山:だからほんまに『火花』に出てくる人たちを白い目で見てしまうというか。芸人じゃなく、一般の人として観たかったなと思う。今だと斜めからしか見られへんから。

めっちゃ嫌やって言うんじゃないですよ? ただ、リアルやから。この先輩嫌や、絶対ついて行けへんわ、絶対売れへんやんって思いながら見てるから、自分は。

ほんまにあんま売れへんからさ、ざまぁみろと思って(笑)。スピリッツがないねん!

山粼:スピリッツ!?(爆笑)

ネタも需要に合わせる 石山「マッサージのネタを作った時が一番キツかった」

――スパークスの葛藤があったように、求められていることと自分がやりたいことが違うというのは、クリエイターあるあるだなと思いましたし、どの仕事にも起こることだと思うのですが、みなさんどうやって受け入れていますか?

山添:需要に合わせるのが仕事って、どこかで切り替えてるところがあると思います。

山粼:芸人もいろんなパターンがいますけど……、たぶん徳永と山下の違いは、徳永はどちらかというとずっと舞台に立っていたいタイプの芸人。山下はテレビに出てばんばんタレント活動したいタイプの芸人で、そういうタイプの人は求められたことに応えようとするんですよ。

私も元々テレビに出たいって気持ちがどちらかというと強めだから、しなきゃいけないところと、自分がどうしてもしたくない部分の折り合いをつけながら、向こうの希望に応えながらやるタイプです。

相手の意見に完全乗っかりするタイプの人もいれば、それはしないって言って「舞台でやってくんだ!」って人もいるので。性格にもよるし、自分が芸人としてどこを目指してるかですね。

石山:そういう意味ではスパークスはすごいバランスいいんですよね。片方がタレントとしてテレビに出れば、コンビ名は出るわけで。徳永がネタ作ってて世間はキーマンは徳永やって思いながら山下も活動できるから、バランス的にはすごい良いコンビなんですよ。

そしてケイちゃんが言いたかったことがバンビーノが言いたかったことです(笑)。求められることに関してはいいところで折り合いをつける。

山粼:向こうが言ってることも理解はできるじゃないですか。バンビーノだったらそれこそ「ダンソンやれ」って言われてやらなきゃいけないけど、それ以外もやりたいって気持ちもあって。よく見てると、「じゃあ、最後だけダンソンやります」みたいな、そういう折り合いの付け方してるよね。


石山:お客さんも初めて見る人ばっかりだったら、やっぱりダンソン見なきゃ話が入っていかないとかあるんです。ダンソンブームの時は、ダンソン以外をやったときに「え〜!」とか、マッサージのネタをやって試したいけど「ダンソンちゃうやん」とかがもう舞台上に聞こえてきて。

そういう時は、最初に「先にマッサージのネタやります、ダンソンはチャンスがあればやるので待っていてくださいね」って一言言うと、お客さんの集中力が持つんですよ。だからマッサージのネタを作った時が一番キツかった。どんなボケを書いてもダンソンを見たい客は最初から見てくれない。

番組に出させて頂く時に、「(ダンソンの)ヒョウ柄の衣装でお願いします」って言われるのも、ネタをやる企画だったらわかるんですよ。そうじゃなくてトークの時にヒョウ柄と動物。それいる?って。ロケの時だって片方動物連れてロケする奴なんておらんやん。そしたらいつもの掛け合いができへん。

だから関西で普通の格好してロケするときに「これがやりたかったんやな」って思いました。大阪だけは安心してネタができてたんです。大阪の人は飽きるのが早いからダンソンにもすぐ飽きる(笑)。「ダンソンはもうええよ」ってなってる状態で、マッサージのネタにいけたんです。でも東京ではずっとダンソンやったりして。

まぁでも、踊らずにショートニーブラみたいな全然違うニーブラのやつを作って、「すみませんけど、ダンソンやるにはやるんですけど、ちょっと違うパターンのやつ1回やらせてもらっていいですか?」ってテレビ側の人と折り合いをつけていってました。

藤崎マーケットの言葉で「ダンソン」ネタへの考えが変わった

石山:藤崎マーケットさんが「ラララライ体操」やって関西でレギュラー番組持って漫才で賞とって、それでも東京では「ラララライのやつ」とか「一発屋」とか言われて。でも僕らは実は、初めは(ダンソンの)ヒョウ柄の衣装で出るのを断ってたんですよ。

ネタするのもヒョウ柄で出るのも突っぱねてたとろこで、「いや石山、やったほうがええ。ここは折れよう。しょうがないよ、やるしかない」って言う藤田と、「嫌だ。そんなんしてたらほんまに一発屋になってしまうで」ってやりとりしてる状態の時に藤崎マーケットさんと話して。「誰か1人でも見たいと思ってくれる人がいるならヒョウ柄(ダンソン)をやるべきや」って言われたんです。

藤崎さんも地元のショッピングモールでラララライ体操をやらずに漫才をやったら、1人のおばあちゃんが「ライ見たかった」って言うたんやて。それで、1人でも需要あるんやったらそのギャグをやるべきだって。そこから俺ら2人とも考えが変わった。もう1人でもダンソン見たい人がいるんやったら99人飽きてようが一生懸命やるって。


藤田:単独ライブのVTRでこの対談を藤崎さんとしたんです。

石山:普通、ネタの合間のVTRって盛り上がるものにするのに。お客さん含め何百人が真剣。すごいドキュメンタリー流してもうて(笑)。

その頃助かったのが、笑い飯さんや千鳥さんのイベントに呼んでもらったりとか、いろんなところのファイナリストの方が呼んでくれて、「いやお前らには別のもあるやん。他のおもろいやん」って言ってくれて。ヒューマン中村さんは「もう世間に躍らされるくらいならお前から踊ってやれ」みたいな。そんな突き刺さる先輩のワードをいっぱいもらって、今のバンビーノがあるんです。

藤田:藤崎さんのときはそういう先輩がおらへんかったから、やるしかなかった。

石山:「ライしかなかった、そういう風に言ってくれる先輩がいなかった」って。だから何も知らないまま、テレビ側に言われるままライやっていたらそうなってしまったから、お前らは同じレールで走ってくるなと。

山粼:かっこいい。


石山:それを藤崎さんが先に言ってくれたから、ずーっとアウトボクシングなんですよ、バンビーノは。もうずーっと後ろに構えてる状態。かわしてかわして、「ここはダンソン以外でやってやる」ってバーンって打つようなスタイルなんです。

山添:石山さん、次の主演狙ってます?(笑)

山粼:俳優さんのインタビューみたい(笑)。

石山:だからよかったですよ、藤崎さんがいて。テレビは難しいです。


山添:バンビーノさんは絶対葛藤ありますよね。僕らですら想像できますもん、それは。

石山:やっぱりあったよ、去年1年。

藤田:だけど、この前の収録で、一応いつも現場には動物(ダンソンの衣装)とか持って行くんで「持って行きますね」って言ったら、「いいよ、動物なんて」って初めて言ってもらえたんです。

石山:「イメージ固まっちゃうよ、だって動物無しで呼ばれてるんだから。このまま行け」って。今年東京に来てからヒョウ柄の衣装着てテレビ出てない。全部ヒョウ柄以外のバンビーノでテレビ出てるから、本数は減ってくるけど、これでいかなしゃーない。

藤田:ちょっとずつ挑戦をまた始めてる。

石山:オリラジさんも「見た目で覚えられるやつほど1年でやめる」って言うてた。

山粼:私たちは同じ事務所に売れたり逆に失敗したりって先輩がいるから、こうやって言ってもらえることがあるけど、『火花』のスパークスの事務所は先輩に俳優さんしかいなくて、神谷さんが魅力的に見えて飛びついた。

でも、人としては魅力的に感じるんだろうけど、売れるということに関してはたぶん神谷さんはセンスがなくて、その人に心酔してしまっているから、どうしたら良いのか(売れるのか)ってことは教えてもらえなかったのかなってところはありますよね。

藤田:徳永が「なにやってんねん」って神谷さんに向かって言ってましたしね。

石山:そこが僕はいいところだと思ったんですけどね。

芸人から見ても本当にリアル 林遣都が上手すぎる!

藤田:ほんまにすごいリアルな世界を描いてるなって思いましたね。こんなんあるあるっていう。やっぱり又吉さんの原作じゃないとあのリアルさは描けなかったんじゃないかと思います。

山粼:真面目な感想としては、2時間の映画にしていたら、ナレーションとかでだいぶ進めなきゃいけない部分があったと思うんですよ。だけど10話にして、ストーリーもちょっと足していて。

普通のテレビドラマにしたらまたベタな展開を入れなきゃいけなかったと思うんですけど、そういうのもナシで。無言のシーンとかに時間をたっぷり使ってるじゃないですか。これがNetflixでの配信という形にすごく合ってる。Netflixだったからこういうことが出来たのかなって。

だってこのシーンでこんなに、林君の無言の顔のアップで尺使う?っていうくらい。また林君がいいんですよね〜!

――無言のシーンは本当に良かったですよね。鍋のシーンとか。

山粼:鍋のシーンもいいし、大阪に戻る山下を見送る場面も好きです。最後、タクシー見送る時の林君の顔が何の表情かわからないの! 喜んでるのか悲しんでるのかわからないんだけど、たぶん映画とかだったらナレーション入れちゃいそうなのよ。「僕はこの時こう思った」とか。でも、ナレーションが入らず、その顔の表情が、その人がするんだろうな、って顔なのよ!

山添:色々考えたいからって言って、チャリンコ漕いで帰るだけのシーンとかもめっちゃ良かったりしますね。飲んで歩いて帰るとか。

山粼:どこまでもチャリで移動するって若手芸人でたまにいるんですよ。


藤田:林君は一番初めの漫才からだんだん上手になっていくじゃないですか。「できていくんかい!」って思いましたね。

一同:林君、めっちゃ上手い!

藤田:できんといてくれって思いましたよ。

山添:好井さんとのハマり方がすごかったですよね。ここたぶんアドリブでやってるとこ残してるんちゃうかなってくらいの自然さだった。

山粼:好井さんなんて、私たち神保町花月でお芝居の舞台一緒にやってたんですよ。なんも演技上手くなかったですよ! 下手くそだってけっこう言われてたもんね。

山添:もう酷かったですよ、見れたもんじゃなかったです。でもあの役(山下)は本当に好井さんやから。むっちゃ役に入ってましたよね。

藤田:最後の漫才のところなんてな。

山粼:めっちゃ良かったよね。

石山:芸人を題材にするって、けっこうご法度というか。芸人が芸人を題材として、「芸人カッコいいっしょ」みたいなのは、通例芸人の中ではサムいというか、「だすなよ、そこ」っていうとこやけど、ほんまにちゃんと失敗したところを描いてくれるから、リアリティーはむっちゃある。

見てると「そうやねん。失敗してまうねん、そういう考えやったら」って思うから、めっちゃ入り込んでます、僕なんか。一般の人からしたらそこまでは重くは見てないと思うんですよね。だからめっちゃ楽しくみられるんちゃうかなと思います。

僕ら芸人はやっぱり、ちゃんとは見れないと思うんですよ。東野さんがTwitterで、「見たやつはやめてまう、ほんまに頑張ってるやつはあんま見ないほうがいい」って言ったくらい、「あ、俺が昨日言ったこと言うてもうてる……」とかが絶対出てくると思うんですよね。だから怖さもあるなって感じです。

――ありがとうございました!

芸人さんでなくても苦しく感じる場面も多いドラマ『火花』ですが、芸人あるあるを聞いてからでは、更に細かいポイントに注目して見ることができるのではないでしょうか。観ていない人はもちろん、観た人も再度チェックしてみては?

バンビーノ、相席スタートともにヨシモト∞ホールを中心に活躍中!

Netflixオリジナルドラマ『火花』
世界190カ国で全10話一挙配信中

原作:又吉直樹著「火花」(文藝春秋 刊)
総監督:廣木隆一
監督:白石和彌/沖田修一/久万真路/毛利安孝
キャスト:林遣都、波岡一喜
門脇麦/好井まさお(井下好井)、村田秀亮(とろサーモン)、菜 葉 菜、山本彩(NMB48/AKB48)
徳永えり、渡辺大知(黒猫チェルシー)、高橋メアリージュン、渡辺哲
忍成修吾、徳井優、温水洋一、嶋田久作
大久保たもつ(ザ☆忍者)、橋本稜 俵山峻(スクールゾーン)、西村真二 きょん(ラフレクラン)
染谷将太、田口トモロヲ、小林薫