ハリルジャパンでセットプレーのキッカーを任されている清武はキーマンのひとりだ。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

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 ロシア・ワールドカップのアジア最終予選が始まったね。6大会連続出場を目指す日本だけど、大事な初戦を落としてしまった。どんな大会にも言えることだけど、チームに勢いを与えるうえでも、初戦はとても重要だ。しかも最終予選の戦い方のセオリーは「ホームは勝利、アウェーで引き分け以上」。初戦のホームで勝点3はおろか、勝点1すら奪えなかったのは、本当に痛恨というしかない。
 
 たしかに、あの浅野のシュートはゴールラインを越えていた。それを認めてくれなかったのだから、もはや不運というしかない。試合後、ハリルホジッチ監督は審判のジャッジに対して不満を言っていたみたいだ。
 
 でも、あの幻のゴールが決まっていたとしても、日本はホームで勝点1しか取れなかったし、ホームで勝点3、というノルマは果たせていなかったことになる。レフェリーのジャッジが水物であるのは、なにも最終予選に限ったことではない。
 
 さらに言えば、「アジアの戦いは甘くない」「最終予選は楽な試合なんてない」というフレーズを耳にするのもまた、なにも今回の予選に限ったことではない。
 
 もちろん、レフェリーのジャッジに関係なく、自分たちのペースで試合を進めることが理想的な戦い方だ。でも、拮抗した展開になるのが最終予選であって、自分たちのペースでなかなか戦えないなかでも勝点3を手に入れなければならない。それが最終予選なんだ。
 
 ワールドカップ出場をかけて国と国のプライドがぶつかり合う舞台。だから、これからも流れのなかでゴールを簡単に奪えるようなシーンは少ないと考えていいし、自分たちのペースで終始戦って勝ち切れるケースの方が少ないと考えるべきだ。
 
 実際、UAEとの初戦で生まれた3ゴールは、すべてリスタートから。今後もひとつの「ミス」が命取りになるだろうし、「リスタート」が勝負の行方を左右するのは間違いない。日本の6大会連続出場のカギを握るキーワードと言えるだろうね。
 日本が勝ち抜くためにも、セットプレーの精度を高める必要があるし、スペシャリストの存在がますます重要になってくるはず。
 
 その意味において、最終予選のキーマンは清武になる。ブンデスリーガ時代にはセットプレーを任されてゴールシーンを幾度となく演出し、直接ゴールネットも揺らしている。今季からはスペインのセビージャに移籍してさらに貴重な経験を積んでいる。
 
 現時点で日本代表のなかでは最も勢いのある選手だと言っていい。だから、UAE戦でも精度の高いキックから本田の先制ゴールをアシストしたけれど、途中交代させられるようなパフォーマンスでは寂しい。現在のスペインでの活躍ぶりを考えれば、本田、香川、長谷部、岡崎を凌駕するほどの存在感を示してもいいはずだし、彼のポテンシャルを考えれば、日本の新たなリーダーになれるはず。
 
 かつて日本は、つねにリスタートで接戦をモノにしてきた。ジーコジャパンでは(中村)俊輔の左足、オシムジャパンや岡田ジャパンではヤット(遠藤)の右足が、日本の大きな武器だった。そしてハリルジャパンでは清武がその役割を担うことができれば、自ずと日本のロシアへの道は開けてくるだろう。
 
 とはいえ、UAE戦を落とした日本は、厳しい状況に立たされている。次のアウェーのタイ戦にもし負けるようなことがあれば、ワールドカップの扉は閉ざされることになるだろう。世界に行くのは甘くないと重々承知しているが、さすがにタイからは2試合で勝点6を取れると信じているよ。