【快眠・安眠グッズ選び決定版】寝具メーカーに訊く「何買ったらぐっすり寝れますか?」

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今までいろいろな快眠テクニックを試してみたけど、どれもなかなかしっくりこないという方もいるのでは? 実は、快眠を得るためには、いつも睡眠時に寄り添っている「寝具」にヒントがありました。今回は、寝具選びによって睡眠の質を高めるためのアドバイスを、眠りのプロとも言える寝具メーカーの方に伺いました。
 

意外と無意識になりがちな「寝具選び」

生まれた頃から毎日使っているだけに、意識して考える機会が少ない「寝具」。実家暮らしのころは親が用意してくれたふとんをそのまま使い、一人暮らしをするときにも実家から持ってきたものをずっと使っている方も少なくないはず。しかし、寝具は選び方次第で睡眠の質に大きな影響をおよぼす可能性があります。
 
「私も寝具メーカーに入社するまでこだわりはありませんでしたが、入社以来ふとんを変えると眠りの質が全然違うと気づきました」と話すのは、老舗寝具メーカーの営業・販促部門に勤務するAさん。現在も週3日以上は出張で外泊をするため、寝具が変わるとどれだけ眠りの質が変わるかを実感する毎日を送っているそう。そんなAさんが、安眠グッズを選ぶコツを教えてくれました。
 
 

快眠をうながすグッズ選びの2つのポイント

まくら、掛けふとん、敷きふとん……。いろいろなグッズがある中で、全てに共通した寝具選びのコツは2つです。
 

1.自分の身体を支えてくれるか

「1つ目は、良い姿勢をキープしてくれるかどうかです。ウォーターベッドや低反発など、時代によって寝具にも流行がありますが、実は万人に合ったものはありません。体型や体重など、自分の身体に合わせて最適な寝具を選ぶ方が睡眠の質は高くなります」(Aさん)
 
寝ているときの理想的な姿勢は、“まっすぐ立っているときと同じ姿勢” 。これが身体への負担をもっとも軽減し、朝起きたときに「なんとなく首や腰が痛い」といったようなことを改善してくれる姿勢なのだそう。身体に負担がかからないよう、まっすぐに立った姿勢を保ってくれる寝具を選ぶようにしましょう。
 

2.コップ1杯の汗も吸収し、快適さを保持できるか

「2つ目のポイントは、素材の吸湿性・放湿性。寝具を選ぶときは、汗をどれだけ吸収してくれるか、汗を吸ってもさらっとした快適さをキープしてくれるかどうかを意識するのも大事ですね」(Aさん)
 
季節を問わず、人は寝ているときにコップ1杯ほどの汗をかくといわれています。「身体を休める場所なのにジメジメしてて不快」なんてことのないよう、寝具を選ぶようにしましょう。
 
 

寝具アイテム選び方のコツ

Aさんに教えていただいた2つのポイントを踏まえて、ここからはアイテムごとに選び方のコツを紹介していきます。今使っている寝具が自分に合っているかどうか、ぜひ読みながらチェックしてみてください。
 
 

まくら選びのコツ

 

多くのメーカーがオーダーメイド商品を用意していることなどから、自分に合ったものを選ぶことが広まってきている「まくら」。しかし、オーダーメイドでなくても自分に合ったものを上手に選ぶコツがあるそうです。
 
 

「アゴをまっすぐ」に維持できるものを

量販店などへ行くと、形や中に入っている素材などで選んでしまいがちですが、先ほどのポイント “まっすぐ立っているときと同じ姿勢” になれるかを軸に選んでみましょう。
 

「肩などを楽にした状態でまっすぐ立って正面を向きます。このときのアゴ(首)の角度を覚えておいてください。寝ているときもこの角度を維持してくれるまくらが理想です。
 
家にあるまくらを使ったときに、アゴを引いているような状態だとまくらが高すぎる、アゴを上げているような状態だとまくらが低すぎる可能性があります。アゴの角度が、足を向けている方の壁に対して垂直になるようなまくらを使うと、首が格段にラクになりますよ」(Aさん)
 
横向き寝の場合も、敷きふとん・マットレスに対して鼻からアゴにかけて平行になっているのが理想です。低反発ウレタンやフェザーなど、素材については前述したアゴの角度を保てるものであれば、好みのものを選ぶと良いそうです。
 
 

購入時の高さから調節ができるものを

まくらは毎日使っていくうちに、頭の重さで徐々に沈んできてしまうもの。最近は、中に入っている素材の出し入れができるまくらが売られているそうなので、「買って終わりでなく、使いながら高さを調整していく」のが良い使い方です。
 
 

掛けふとん(羽毛ふとん編)選びのコツ

多様な種類のある掛けふとんの中でAさんがおすすめだというのは、なんと「羽毛ふとん」。暑くて冬にしか使えないのでは? という疑問もありますが、その理由を聞きました。
 
 

1つで3役のツインダウンがあると便利

羽毛ふとんは、中の素材の容量によって大きく3種類に分かれます。
 
1.「ダウンケット」:羽毛が300グラム以下の春先などに使える薄手のもの
2. 「合い掛け羽毛ふとん」:700グラムくらいの秋口などに使える少し厚手のもの
3. 「厚掛け羽毛ふとん」:羽毛が1.2キロくらいのもの
 
「おすすめは、ダウンケットと合い掛け羽毛ふとんを自由に付け外しできる『ツインダウン』というものです。それぞれを取り外して使えるだけでなく、2つを組み合わせるとちょうど厚掛け羽毛ふとんと同じくらいの容量に。羽毛ふとんは少し値が張るのですが、ツインダウンは3役をこなせるので、どの季節にも使えます」(Aさん)
 
 

暑い時期でも羽毛がおすすめな理由

羽毛ふとんは、ダウンジャケットなどと同じ水鳥の毛が原料。羽毛が空気を多く含んでくれるので保温性の高い掛けふとんです。さらに、吸湿性と放湿性も兼ね備えているので、汗をかいた状態でも快適さを保ってくれます。
 
「夏場の寝苦しい夜などに、弱冷房をかけてお腹だけダウンケットをかけるという方法も、快適さを保ちながら寝冷え対策ができておすすめです。ポリエステルなどでできた掛けふとんも軽くて良いですが、湿気をほぼ吸わないので汗ばむ時期には向いていないかもしれません」(Aさん)
 
 

外側(カバー)の素材も意識しよう

羽毛ふとんの優れた吸湿性・放湿性を生かすためには、外側(カバー)の素材に気を配ることも重要。カバーの素材は綿100%、綿と化学繊維の混紡、化学繊維100%が大きな分類です。
 
Aさんによると羽毛の特徴を生かせる「綿100%」が一番おすすめ。夏場など暑くて寝苦しいときのことを考えるならば混紡でできた “ひんやり素材” のようなものが良いとのこと。せっかく汗に強い羽毛でも、外側の素材次第では良さが発揮できないので、カバーの素材も意識して選ぶようにしましょう。
 
 

掛けふとん(毛布編)

毛布も天然素材と化学繊維素材のものを合わせるといくつかの種類があります。それぞれの長所と短所を見ていきましょう。
 

素材別のメリット・デメリット

主流として出回っているのは、化学繊維のポリエステル、アクリル、天然素材のウール、綿。他にも、シルクでできた毛布もあるそうです。
 

「化学繊維のメリットは軽量性と価格です。もっとも安価なポリエステルは、保温性があまり高くありません。アクリルはポリエステルよりも価格が高いですが、保温性も高いです。どちらも天然繊維と比べると吸湿性がデメリットです。
 
天然繊維の魅力は吸湿性が高く、寝ているときの快適さが保てることです。ただ、価格が化学繊維より高いことや、保温性ではアクリルの方が良いという面もあります」(Aさん)
 
 

極限の環境でも重宝されるウールがおすすめ

天然素材と化学繊維素材のどちらにも良し悪しがありますが、Aさんのおすすめの毛布は「天然のウール毛布」。その理由は、暖かさとさらっとした快適性(吸湿性・放湿性)を兼ね備えているからだそう。実際にウールは、登山のような「汗をかくのに寒い」というような過酷な環境でも、高い保温性と吸湿性があるため重宝されています。
 
ウールは肌に触れるとチクチクするというイメージを持っている方もいるかもしれませんが、最近のものは肌触りが改良されていたり、洗えるものも出てきたりしているので、心地よく使えるようになっているそうです。
 
 

敷きふとん選びのコツ

Aさんによると、敷きふとんはここ10年〜15年でマンションをはじめとして住宅の気密性(暖かさ)が高まったことで、掛けふとんよりもお金をかける人が増えてきている傾向にあるそうです。敷ふとん選びの3つのポイントをみていきましょう。
 
 

1.体重と体型で選ぶ

まくらと同じく、冒頭のポイントで挙げた“良い姿勢をキープしてくれるかどうか”が快眠のための敷きふとん選びの一番のコツです。
 

「好みもあるかもしれませんが、敷きふとんを選ぶときは体重や体型を意識してみてください。個人差はありますが、身体の線が細い人は体重が軽くても沈んでくれるような、柔らかめの敷きふとん。大柄な人は身体が沈み過ぎないような、ある程度しっかりした硬さのものを選ぶと良いです。また、反り腰になってしまう人やくびれのある人などは、背中やお尻など部分によって固さの違う敷きふとんを選ぶと快適に眠れると思います」(Aさん)
 
ただし、柔らかすぎると寝返りがしづらくなってしまったり、逆に硬すぎると床に寝たときのように一部分だけで全身を支えるような姿勢になってしまったりするので要注意。さらに、敷きふとんは店頭などで試してから選ぶのが重要です。メーカーによっては、スポーツ選手愛用のマットレスなど、さまざまな種類の敷きふとんがあります。
 
 

2.サイズは大きめがおすすめ

一晩のうちにおよそ20〜30回寝返りをするといわれている私たち。睡眠中に手足だけふとんから落ちて一瞬目が覚めるといったようなことを避けるためには、横幅が大きいサイズを選ぶのも1つの手です。
 
最近は、1人暮らしでもセミダブルサイズのふとんが選ばれる傾向があるそうです。
 
 

3.「パッド」の活用で睡眠中の快適性アップ

全身が接している敷きふとんも、他の寝具と同じく汗をかいても快適であることが重要です。しかし、大きさなどの関係で洗いにくいことや掛けふとんと比べて素材のバリエーションが少ないのも事実。そんな時におすすめなのが「敷きパッド」です。
 
パッドは敷きふとんの上にかぶせるように取り付けるだけで、簡単に吸湿性をプラスできます。さらに、季節に合わせて“ひんやり”素材や“あったか”素材のものが売られているので、心地よい入眠が期待できるでしょう。まくら用のパッドというものも出回っているので、あわせて使うと快適さもアップするはずです。
 
 

あわせて知っておきたい「4つの快眠ナレッジ」

寝具を整えたら、過去に紹介した4つの快眠ナレッジも掛け合わせることで、質の高い眠りが期待できます。
 
 

1.寝具だけじゃなく、眠るときの服装も揃えよう

「眠るときはジャージよりもパジャマが良い?」その理由をクリニックの先生が答えてくれています。
 
●眠れない大人へ!「眠るときの服装」にこだわるべき3つの理由
 
 

2.呼吸を意識しよう

ふとんに入ってすぐに寝つくための呼吸法。リラックス効果もあるので、1日の疲れを癒すのにもおすすめです。
 
●【わずか1分】今夜眠れない時に3つの呼吸法ですぐに寝る方法
 
 

3.無意識のうちに力んでいる? 寝る前に筋肉を緩めよう

ストレスの多い現代人は心身の状態が安定せず、日中に身体を力ませ、緊張させてしまっていることが不眠の原因になっているそうです。睡眠前にできる筋弛緩法を、臨床心理士に聞きました。
 
●不眠症の原因となる身体の緊張を解消! 寝る前に試したい「筋弛緩法」

 
 

4.心の不安を取り除こう

身体のリラックスだけでなく、心のリラックスも快眠のためには必須です。現役のコンサルタントが、ロジカルに寝る前の不安を解決するための方法を紹介しています。

●不安で眠れない時に、論理的に解決する方法
 
 

おわりに

Aさんは最後に「毎日使って慣れてしまうと、寝具が眠りの質を下げる要因だと気づきにくい場合も多いです。快眠によって仕事のパフォーマンス向上や、心身ともに健康を保つための投資として、寝具を見直すと見違えるほど効果があると思います」と語ってくれました。

一度に全て取り替えることが難しい場合は、まくらと敷きふとんから変えるのがおすすめです。まずは、自分の寝具をチェックするところから始めてみてください!

photo:Thinkstock / Getty Images