映画『月光宮殿』

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新海誠監督のアニメーション映画『君の名は。』が空前の大ヒットを記録している。8月30日の報道によると、公開されてから三日間で観客動員数が約96万人、興行収入が10億円を突破したらしい。今や日本はアニメ映画がひとつのジャンルとして確固たる地位を築いたとも言えるだろう。

韓国でもスタジオ・ジブリの作品や、劇場版『名探偵コナン』『進撃の巨人』シリーズなど日本のアニメ映画は人気が高い。ところがこの夏、その人気を両分しようと目論む韓国産アニメ映画が続々と登場している。

その先頭に立ったのは、8月17日に公開されたイ・ソンガン監督の『カイ〜鏡湖の伝説〜』と、ヨン・サンホ監督の『ソウル駅』だ。

『カイ〜鏡湖の伝説〜』は、アンデルセンの童話『雪の女王』の設定を使い、平和な村に住んでいた主人公の少年・カイが、突然村を襲撃してきた雪の女王に立ち向かうという物語だ。

あの『アナと雪の女王』の公開よりも先駆けた2010年に企画されたらしいが、なかなか出資を受けられず、公開まで6年もかかった。制作費は約7億ウォン(約7000万円)の低予算で抑えられている。

そんな孤軍奮闘にもかかわらず、残念ながら公開14日目の観客動員数は2万3700人と低調。『カイ〜鏡湖の伝説〜』のこの結果は、まさに韓国アニメ映画の厳しい現実を物語っているようだ。

一方、『カイ〜鏡湖の伝説〜』と同じ日に公開された『ソウル駅』は、アニメ映画にしては珍しく観客動員数15万人を突破している。

同作品のヨン・サンホ監督は『豚の王』『The Fake』などのアニメ映画を手掛けた、韓国で名の知れるアニメーション監督。ちなみに前出の『カイ〜鏡湖の伝説〜』の制作にも参加している。

謎のウイルスで修羅場になったソウル駅を舞台に、生き残るための死闘を繰り広げる人々の物語を描く『ソウル駅』は、ヨン監督が初めて手がけた実写映画『釜山行き』の前編にあたる物語とされ、注目を浴びている。

つまり『ソウル駅』が好調な興行成績を残しているのは、韓国で観客動員数1100万人を突破した『釜山行き』の影響があったからと分析することができるだろう。

ヨン・サンホ監督が関わった2つの作品が同じ日に公開され、まったく違う結果を示しているのも興味深いところだ。

来る9月7日には、『月光宮殿』の公開を控えている。同作品は韓国の世界文化遺産である昌徳宮(チャンドックン)を舞台に、13歳の少女ヒョン・ジュリが冒険を繰り広げる物語だ。

ところが、まだ公開前というのに同作品に対するネット炎上が起きている。

公開された予告編を見ると、ストーリーや設定、雰囲気、キャラクターデザインなどがあのジブリの名作『千と千尋の神隠し』にそっくりだった。盗作、パクリという疑惑が持ち上がったのだ。

そのような疑惑について監督のキム・ヒョンジュさんは、「映画を見て判断してほしい」とコメント。真相は定かではないが、映画を見た韓国人はどのような評価を下すだろうか。

ちなみに、韓国アニメ映画の制作環境は実に劣悪だそうだ。「なかなか出資してもらえない」「作ってもスクリーンが確保できない」「日本やアメリカのアニメ映画に押されて観客動員が難しい」というのが現実なのだとか。

それでもアニメ映画を作り続けるチャレンジ精神だけは、認めてもいいかもしれない。いつの日か、日本のアニメ映画を超えるような大作が生まれるだろうか。

(文=S-KOREA編集部)