高齢者や体の不自由な人が、ゆっくり買い物ができる時間帯を…英・大手スーパーが導入した「スローショッピング」が話題に

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イギリスの大手スーパーマーケットが、高齢者や体の不自由な人のためにゆっくり買い物ができる時間帯、「スローショッピング」を試験的に導入し、話題となっている。

毎週1回、ゆっくり買い物ができる

そのスーパーマーケットとは、イギリス全土に約1300店舗を展開している「Sainsbury’s」。

Flickr_Elliott Brown

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彼らはNewcastle-upon-Tyneという町にあるGosforth店において、認知症などを患った高齢者や体の不自由な人でもゆっくり買い物を楽しめる時間帯を設定。

毎週火曜日の午後1時から3時までの間、困った時でもすぐに従業員が対応するサービスを提供している。

買い物を手伝い、ヘルプデスクも設置

具体的にはまず従業員が高齢者を入口でお出迎え。さらに要望があれば直接、買い物を手伝ってくれるという。

また立ち続けるのが困難で、広い店舗を長時間歩けない人々のために、時折休めるよう通路の奥に椅子も配置。

さらに店内には2つのヘルプデスクを用意し、フルーツやお好みのお菓子などのサンプルを提供したり、さまざまな相談にも応えたりできるようになっているそうだ。

トレーニングを積んだ従業員

しかしGosforth店の副マネージャーScott McMahonさんは「椅子やヘルプデスクを配置していますが、本当に大きな役割を果たしているのは従業員なのです」と語っている。

実際にSainsbury’s全体ではこれまでにも数年間に渡り、障害のある顧客をアシストするトレーニングを従業員に対し合計約5万時間も実施。

認知症を患っている人や病気で体の不自由な方、さらに表面上はわかりにくい自閉症の人を手助けする方法を多くの従業員が学び、普段から目には見えない心遣いを提供しているという。

slow shopping

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また今回のスローショッピングでも高齢者だけでなく、不安症で苦しんでいる人や言語障害でコミュニケーションが苦手な方、視覚障害がある人など多くの顧客が利用できるようになっているそうだ。

母親の体験からアイディアを思いつく

この制度を思いついたのはSainsbury’sのKatherine Veroさん。彼女はきっかけについてプレスリリースで次のように語っている。

「私の母は買い物が大好きでした。でも認知症が進んでからは、ますます買い物が困難になり、お互いつらい状態に置かれていきました。

でも私は母に外出を諦め、孤独になって欲しくはなかった。だから買い物を楽しんでもらうため援助できる方法はないかと考えていたんです。

そして母親が亡くなった後、このスローショッピングを思いついたのです」

またMcMahonさんも「父ががんに冒された時、買い物をするのがどれだけ困難なのかを私は見てきました。しかし父は自立した生活の維持を望んでいたんです。その時、Katherineがスローショッピングを提案し、会社も後押ししてくれたのです」と語っている。

本当は買い物を楽しみたい高齢者

イギリスでは認知症を患っている85万人のうち、10人中8人が好きな活動として「買い物」を挙げているという。

にもかかわらず認知症と診断された人のうち4人に1人が「買い物」を諦めてしまう、という深刻な現状があるそうだ。

Veroさんは「会社がスローショッピングを試験的に導入することに同意してくれた時は、とても嬉しかったです。今後は、このサービスが他の小売業にも広まっていくことを望んでいます」と語っている。

高齢化が進んだ日本でも、買い物がしたくても行けない、と諦めているお年寄りは多いのではないか。

このような多様なニーズをすくいあげて提供されるサービスが、日本でも広まっていくことを願う。