ロシアW杯最終予選は、まだ1試合を終えただけである。

 残り試合は9試合もある。

 挽回のチャンスは十分に残っている。

 ただ、勝点3を計算するホームゲームの初戦で、いきなり黒星を喫したのは痛い。自分たちが「0」で終わっただけでなく、UAEに「3」を与えてしまったのは重い。

 カタールからやってきた主審は、日本にハンデを背負わせたかったと映る。副審は日本の得点を認めたくないようだった。後半32分の浅野の左足シュートは、ゴールラインを割っていた。

 最終予選の第1節のゲームを調べると、韓国対中国はUAEの主審が、ウズベキスタン対シリアは日本の主審が笛を吹いている。イラン対カタール戦はスリランカの主審だ。日本対UAE戦も中立的な地域の主審に担当してほしかったが、ヨーロッパや南米ではそんなことも言っていられない。主審の判定に結果のすべてを押し付けるのは無理がある。

 決定機を生かし切れなかったのは事実である。1対1の時間帯に2点目を奪うチャンスはあったし、ビハインドを背負った時間帯にも同点へ持ち込める好機はあった。

 攻撃に工夫が足りなかったのも否定できない。中央からの崩しに偏り、相手守備陣を揺さぶりきれない。ポジションなど関係なしにボールへ集まっていく、子どもたちのサッカーのような場面さえあった。

 サイドからクロスを入れる場面では、ゴール前に長身選手がいない。UAEは長身のセンターバックを2枚揃えるのに、ゴール前に飛び込むのが香川真司、浅野拓磨、宇佐美貴史では、空中戦で勝つのは難しいだろう。

 失点は直接FKとPKだが、きっかけを作ったのは日本だ。自分たちのミスでボールを失い、カウンターを受けてゴール正面でファウルを冒したのが1失点目につながった。2点目は自陣ゴール前でボールを奪われ、その流れのままペナルティエリア内で相手を倒してしまった。

 個人的にはテクニカルエリアが気になった。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、序盤から落ち着きがなかった。

 派手なジェスチャーはヨーロッパなら普通かもしれないし、彼なりのパフォーマンスなのかもしれない。ただ、日本人には焦りや苛立ちの表われと感じ取れる。ベンチがどっしりと構えていなければ、ピッチでの攻防からも冷静さが失われていくものだ。

 後半最初の交代カードとして、ハリルホジッチ監督は宇佐美を投入した。ベンチに退いたのは清武弘嗣である。指揮官は清武にチラリと視線を運んだが、握手はしなかった。

 大意はなかったと思う。1対2とされた直後で、ピッチから眼を離せなかったのかもしれない。

 ただ、チームの一体感を削いでしまう行為でもある。残り時間が30分近くあるのに、ピッチから退いた選手と握手をする精神的余裕さえなかったのか。

 ハリルホジッチ監督のスタッフには、日本人コーチがいない。

 チーム状態が良ければ、それでも問題ない。しかし、外国人監督と選手に普段以上のコミュニケーションが求められる局面で、ブリッジ役となれるのは日本人コーチだ。選手1人ひとりのベクトルを揃えるためにも、通訳なしで本音をぶつけ合える日本人コーチは不可欠である。

 最終予選の開幕戦をホームで落としたいまこそ、日本人コーチが必要なのだが。