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米国の宇宙企業スペースXの「ファルコン9」ロケットが9月1日の夜(日本時間)、発射台で試験中に爆発事故を起こした。ロケットにはすでに人工衛星が搭載されており、この爆発によって喪失。また発射台も被害を受けるなど、深刻な事態となった。

<ファルコン9の事故当時の様子を撮影した動画 (C) USLaunchReport>

このファルコン9は、9月3日にイスラエルの通信衛星を載せて打ち上げを予定していた。事故当時、フロリダ州にあるケイプ・カナヴェラル空軍ステーションの第40発射台で、「スタティック・ファイア・テスト」と呼ばれる、打ち上げ前の試験を行っていた。

スタティック・ファイア・テストは、ロケットに推進剤を入れるなどして、実際の打ち上げとほぼ同じ状況をつくりだし、ロケットおよび発射台の試験や、打ち上げまでの手順の確認を行うもので、同社のロケットでは毎回行われているものである。他のロケットでも「ウェット・ドレス・リハーサル」という呼び名で同様の試験が行われることがある。ただ、スペースXのロケットでは、試験の最後に実際にエンジンを数秒間だけ噴射し、第1段機体やエンジンの健全性を確認するという、他にはない特徴がある。

事故が起きたのは、このスタティック・ファイア・テストが行われている最中の日本時間9月1日22時07分ごろ(米東部夏時間9月1日9時07分ごろ)のことで、ロケットへ推進剤のケロシンと液体酸素を充填する作業を行っていた最中に、ロケットの第2段機体の液体酸素タンク付近から突如として火が上がり、そのままロケット全体を包み込むようにして大きく燃え上がった。

スペースXによると、この事故によるけが人などは出ていないという。またケイプ・カナヴェラル空軍ステーションを管轄する米空軍第45宇宙航空団も、負傷者がいないこと、安全確保に努めていることを発表している。また、事故が起きた第40発射台以外の、ケイプ・カナヴェラル空軍ステーションの施設や、隣接する米国航空宇宙局(NASA)のケネディ宇宙センターの施設などへの損傷は、今のところ確認されていないという。

ロケットには積み荷である通信衛星「アモス6」が搭載されており、この事故によって失われることになった。以前は、スタティック・ファイア・テストの際には人工衛星を搭載しないこともあったが、打ち上げの準備期間を短縮するためか、2014年ごろから衛星を載せた状態で行われるようになった。

アモス6はイスラエルの衛星通信企業スペースコムの衛星で、打ち上げ時の質量は5500kgを超える大型の衛星だった。また、衛星の機能の一部を、ユーテルサットとSNS大手のfacebookが借用する予定になっており、今回の事故を受けてfacebookのマーク・ザッカーバーグ氏も声明を発表している。衛星の製造費は日本円で200億円を超えるとされるが、保険がどの程度適用されるかは不明。

日本時間9月2日の朝の時点で、事故の詳しい原因などはわかっておらず、ロケット側に問題があったのか、発射台の設備にあったのかも不明。ファルコン9は今回で29号機目となるが、2015年6月には打ち上げから約2分後に空中分解を起こし失敗しており、今回でロケットや衛星が全損する事故は2件目となった。

またケイプ・カナヴェラルで、打ち上げ前の衛星打ち上げ用ロケットが爆発したのは、1959年の「アトラス・エイブル」ロケット以来となる。

原因の調査と対策には数カ月はかかるとみられ、また破壊された発射台設備の修理にも時間がかかるため、スペースXが計画しているロケットの再使用打ち上げや、国際宇宙ステーションへの物資補給、有人宇宙飛行など、同社の事業に大きな影響が出ることは避けられそうにない。

【参考】
・Anomaly Updates | SpaceX
 
・Explosion occurs at Cape Canaveral Air Force Station > 45th Space Wing > Article Display
 
・SpaceX rocket and Israeli satellite destroyed in launch pad explosion - Spaceflight Now
 
・Falcon 9 Rocket & Israeli Satellite destroyed in On-Pad Explosion - Spaceflight101
 
・AMOS-6 - Amos
 

(鳥嶋真也)