子離れできない村八分社会……高畑淳子謝罪会見にみる「親の責任」どこまで?

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強姦致傷の疑いで俳優の高畑裕太容疑者が逮捕され、母親で女優の高畑淳子さんが謝罪会見を行った。

憔悴しきった様子で報道陣の質問に答えた高畑さんに同情が集まる一方、被害者の気持ちを考えていないとの批判も出た。そんな中、海外事情に詳しい識者からは「成人した子供が不祥事を起こすたびに謝罪会見を開かれることに違和感を覚える」との意見も多かった。思い返せば、みのもんたさんの息子が逮捕されたときにも同じような現象が起きた。なぜなのか。

■欧米では「親子でも別人格」、日本では「村八分」

「子供の犯した罪について、親の責任があるかどうか。そもそも論として、そんな世論が出ること自体、日本の社会は子離れできていない大人が多い社会だからと言えます」

そう話すのは政治、ビジネスからスポーツ、恋愛まで幅広い著作を持つ作家の松井政就氏だ。「根底には宗教的な理由があります」と続けた。

「キリスト教圏では、元来、親子であっても別々の人間と考えるのが当たり前」とし、「成人した子供の責任を親に問うという概念自体がありません」と解説する。

一方、松井氏は「日本の家族は深く依存し合っています。村八分という風習があるように、家族の一人の罪は家族全体に科せられる。欧米とは逆さまの常識となっています」と話す。

「親の育て方が悪いというような論調が出るのが当たり前。『親に責任などない』とでも言おうものなら『不謹慎だ』と袋叩きに遭うでしょう」(松井氏)

高畑さんは女優の立場から息子の芸能活動を支援していたことが批判を招いた側面もあった。

成人したら子供でも別人格として扱う代わりに干渉もしない欧米に対し、子離れできずにいつまでも親が面倒を見続ける日本。文化や慣習の違いが有名人の謝罪会見という形で現れたといえるだろう。

■親子の依存関係がいつまでも続く理由

松井氏は「常識が逆さまなのは、子供に関連する社会の仕組みにも現れています」という。

米国などアングロサクソン社会では、ハイスクールに行けば親から自立した存在となり、大学も自力で通う子が増えるそうだ。

欧米では奨学金が充実しているため、アルバイトをすれば自力で大学に通える一方、「日本の奨学金は学生ローンであり単なる借金」と松井氏。親掛かりの学生が大半を占める日本の現状を憂える。

「本来保護者として責任を負うべき未成年期を過ぎても、親子の依存関係に区切りをつけるきっかけを失ったまま、いつまでも延々とその関係が続きます」(松井氏)

子離れできないのは世界でも日本と韓国が突出しているという指摘がある。松井さんも「韓国では受験会場まで親が送り迎えし、受験がまるで親の人生のやり直しのような感があるのは、事情を知る人の中で否定する人はいません」と同意。

そして「日本でも、大学の入学式に親が揃って付いてくるのは当たり前の風景となっていて、某大学では一回の入学式では親が会場に入りきれず、入学式を二回に分けてやるなどというトンデモナイことまで起きました」と表情を曇らす。

社会人になっても息子や娘の処遇について親が会社にクレームを入れてきたというのはよく聞く話だ。尋常ならざる事態と思ってしまうのは筆者だけではないだろう。筆者が育った1980年代までは、男子学生の入学式にもし親が付いてきたりすれば、過保護だといってからかわれるような時代だった。

■謝罪会見の感想がバロメーターに?

松井氏は「犯罪者は被害者に対して全面的に責任を負うのが当然です」と断ったうえで「そのことと、犯罪者の親にも責任があるかどうかとは別次元の話です」と言い切る。「世の中の事件に際し、その責任が親にあると思う人は自分自身が子離れできていない、または親離れできていない可能性があります」とも。

高畑さんの会見を見た感想が、そのままあなたの子離れ(親離れ)の度合いを示すバロメーターになっているかもしれない。

「教えて!goo」にある「高畑淳子 親の責任ってどこまで?」という投稿にも真剣な意見がたくさん寄せられている。ぜひ読んでみるといいだろう。

●専門家プロフィール:松井政就
作家。主な著作に「神と呼ばれた男たち」「カリスマ店員営業秘術」「チャンスをつかむ人、チャンスをのがす人」「大好きなカレを落とす恋愛テクニック50」「競馬と国家と恋と嘘」「本物のカジノへ行こう!」など。

(武藤章宏)

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)