写真撮影/榎並紀行

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若者に人気だというシェアハウス。最近は「アニメ好き向け」「英会話が学べる」など、属性や目的ごとに細分化した“コンセプト型”も増えているようだ。なるほど、生活空間のみならず趣味嗜好までをもシェアすることで、住人同士の関係もより親密になるのだろう。
今回は、そんなコンセプト型の最新物件を訪ねてみた。なんでも「サバゲー(サバイバルゲーム)ができるシェアハウス」なのだという。

リア充感漂うリビングが突如戦場に

今年5月にオープンした「シェアレジデンスたまプラーザ」。屋外に簡易サバゲーフィールドを備えた“毎日サバゲーができるシェアハウス”として話題になった。あれから2カ月、晴れて全65戸が満室となり、運営会社主催の交流パーティーが催されるという。サバゲーマニアたちの宴…。迷彩服の男たちが銃を片手に酒を呑み交わし、戦術について論じ合うのだろうか。おそるおそる、潜入してみることにした。

と、身構えて乗り込んだのだが、会場の共用リビングにとりわけコンバットな感じはない。アメリカンなテイストにまとめられた空間に、おしゃれな音楽、おしゃれな食事、おしゃれな男女。(サバゲーがおしゃれじゃないとは言わないが)想定していた空気感とはだいぶ異なる。素敵系男女の共同生活を描いた某リアリティショーを彷彿とさせる雰囲気である。

【画像1】音楽が鳴れば自然と体がダンシング。パーティー慣れした人たちの集まりだった(写真撮影/榎並紀行)

【画像1】音楽が鳴れば自然と体がダンシング。パーティー慣れした人たちの集まりだった(写真撮影/榎並紀行)

【画像2】カメラを向けるとポーズをくれる。みなさんノリが良くていらっしゃる(写真撮影/榎並紀行)

【画像2】カメラを向けるとポーズをくれる。みなさんノリが良くていらっしゃる(写真撮影/榎並紀行)

だが、よくよく目を凝らすと、パーティーピーポーたちの宴に異彩を放つ人影が…。

【画像3】なんかいるね(写真撮影/榎並紀行)

【画像3】なんかいるね(写真撮影/榎並紀行)

【画像4】こっちにもいたよね(写真撮影/榎並紀行)

【画像4】こっちにもいたよね(写真撮影/榎並紀行)

…それは唐突に始まった。パーティーの浮かれた空気を打ち破るように、バトルが開戦したのである。

先ほどまで脳内にプレイバックしていたテイラー・スウィフト(※『テラスハウス』の主題歌を歌っている人)に、いきなり地獄の黙示録がカットインしてきた。イケてるパーティーをよそに、激しく銃撃し合うプレイヤー。初見だと異様に映るが、周囲はそれを微笑ましく眺めている。「おっ、はじまったな!」ってなもんである。聞けば、普段の飲み会でも、興が乗ると誰からともなく誘い合わせてサバゲーが始まるらしい。住人にとっては、もはや日常風景なのだろう。

【画像5】なお、弾の出ない光線銃を使用しているのでギャラリーが流れ弾に被弾することはない。おお、安全!(写真撮影/榎並紀行)

【画像5】なお、弾の出ない光線銃を使用しているのでギャラリーが流れ弾に被弾することはない。おお、安全!(写真撮影/榎並紀行)

【画像6】そのまま屋外サバゲ―フィールドへ移動し二回戦。暑いのに元気だなー(写真撮影/榎並紀行)

【画像6】そのまま屋外サバゲ―フィールドへ移動し二回戦。暑いのに元気だなー(写真撮影/榎並紀行)

自宅にいながらバケーション気分が味わえる

なるほど、確かにこれは「サバゲ―ができるシェアハウス」である。ただ、住人の方々の趣味嗜好はそこまでサバゲー寄りではないようだ。“サバゲーができる”と銘打っているからにはサバゲー道を究めんとするゴリゴリのマニアやコアなプレイヤーばかりが集まっているのかと思いきや、入居者の多くはビギナーなのだという。

運営元のシェア・デザインによれば「もともと社長がサバゲー好きだったことがきっかけでこうしたコンセプトになりましたが、サバゲーをやったことがない方、興味がない方も歓迎しています。じつはサバゲー以外にも、飛行機の運転訓練ができる『フライトシミュレーション』や『ドラムセット』、『エクササイズスタジオ』、『スケボーランプ』、『ミニプール』などがあり、自宅にいながらバケーション気分が味わえます。サバゲーに限らず、幅広い趣味を楽しみたい人にご支持いただいているのではないかと思いますね」とのこと。

どうやら、このシェアハウスの本質は単に「サバゲーができること」ではなさそうだ。サバゲーはあくまで分かりやすい一面であって、「楽しそうなことに敏感な人たちが集まり、遊びながら暮らす場所」ということなのだろう。“遊びながら暮らす”だなんて、楽園かよ。

ちなみに、そんな楽園には人生を楽しむことに長けた、じつに個性豊かな面々が集まっている。

【画像7】例えばカメラを向けるとアイドルっぽく応じてくれた牧田さん。「世界のマキタ」名義で世界初の“シェアハウスアイドル”を志しているとのこと。具体的な活動の方向性はまだ定まっていない(写真撮影/榎並紀行)

【画像7】例えばカメラを向けるとアイドルっぽく応じてくれた牧田さん。「世界のマキタ」名義で世界初の“シェアハウスアイドル”を志しているとのこと。具体的な活動の方向性はまだ定まっていない(写真撮影/榎並紀行)

【画像8】こちらはサバゲーの待ち時間にサラリとピアノを弾きこなす青年。福祉関係の仕事の傍ら、作曲もたしなむそう。たしなみの方向性がおしゃれ(写真撮影/榎並紀行)

【画像8】こちらはサバゲーの待ち時間にサラリとピアノを弾きこなす青年。福祉関係の仕事の傍ら、作曲もたしなむそう。たしなみの方向性がおしゃれ(写真撮影/榎並紀行)

【画像9】即興で披露したボイスパーカッションがプロ並みのお兄さんなど、とにかくただものじゃない人がたくさんいた(写真撮影/榎並紀行)

【画像9】即興で披露したボイスパーカッションがプロ並みのお兄さんなど、とにかくただものじゃない人がたくさんいた(写真撮影/榎並紀行)

サバゲー、アイドル、作曲、ボイパ…。みんな何かしらに達者な人たちばかりだが、一芸のある人しか入居できない掟でもあるのだろうか?

【画像10】「そんなことありません。一芸なんてなくたって入居できますよ」といいつつ、見事なドラムテクニックを見せつけるシェア・デザインの渡辺さん。他ならぬスタッフ自身も、すごい一芸もってるやんけ(写真撮影/榎並紀行)

【画像10】「そんなことありません。一芸なんてなくたって入居できますよ」といいつつ、見事なドラムテクニックを見せつけるシェア・デザインの渡辺さん。他ならぬスタッフ自身も、すごい一芸もってるやんけ(写真撮影/榎並紀行)

まあ、ここに住もうという皆さんはそもそも「楽しむことに貪欲な人たち」なので、趣味を「芸」のレベルまで極めちゃった人が集まっていてもおかしくはない。そんな人たちがそれぞれのスキルをシェアし合う環境って、刺激的なんだろうな。

というわけで、話題のサバゲーシェアハウスはサバゲーのみならずさまざまな遊びをシェアできるユートピアだった。なお、ユートピアに年齢制限はなく筆者のようなアラフォー独身男も歓迎とのこと。人生に遊びが足りない大人にこそ、おすすめの場所かもしれない。

●取材協力
シェアレジデンスたまプラーザ