【育児相談】人見知りでママべったりの子ども。克服するにはどうしたら…?

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育児に悩みは尽きないもの。ママたちの悩みに、子どもの「発達心理」の研究をされている菅原ますみ先生(お茶の水女子大学教授)がアドバイスします。

【相談】

2才の息子は、人見知りや場所見知りが激しくて、私からなかなか離れられません。児童館やお教室などに連れていっても、初めての場所ではだいたい泣いてしまうのです。すんなり集団に入っていくほかの子をよそに、息子だけは私のそばにべったりです。何度も辛抱強く同じ場所につれていくとようやく慣れてくれるという感じなので、「どうしてこの子だけ?」と心配になります。

実は、来月第2子を出産予定なのですが、下の子が生まれたらますます不安定になりそう。知り合いからも「赤ちゃん返りがひどくなりそう」と言われました。また、これから幼稚園に入ってうまくやっていけるのかも心配です。(2才7カ月男の子のママ)
2才くらいなら人見知りが続いても心配いりません
新しい場所になじめないわが子を見て、「なんでうちの子だけ」と不安に感じていらっしゃるようですが、ちょっぴり「怖がりさん」の個性の持ち主というだけで、大きな心配はいらないと思います。発達心理学では「slow to warm up」タイプ(ゆっくり慣れる子)と言われる子で、けっして特別な個性ではありません。とても慎重で周囲をよく観察する子ですから、状況をよく見て「どんなところだろう」「この子とうまくやれるかな」などと様子を見る時間が長いのです。

このようなお子さんは、新しい環境に慣れるのに時間もエネルギーもかかります。みんなが楽しそうに遊ぶ中で、わが子だけ「ママべったり」の姿を見ると、お母さん自身が不安になるかもしれません。でも、「みんなと遊んでおいで」と無理強いするとますます不安がつよくなりますから、「ママといっしょに、ここで見ていようか?あのおもちゃ、おもしろそうだね。あとで借りてやってみようね。」などと声をかけ、無理に背中を押さないほうがいいと思います。

かといって、新しい環境に出かけないほうがいいのか、といったらそうではありません。知らない世界にふれるチャンスをつくること自体はとてもいいことです。ただ、毎回毎回違う場所に行くのはつらいかもしれませんね。

たとえば公園一つ、児童館や育児支援センターの遊び場を一つ、合計二つくらい選んであげて、そこに通って、おなじみの居場所をつくってあげてみてはいかがでしょう。2才ですから、一つでも十分かもしれません。
幼稚園は「案ずるより産むが易し」かもしれません
入園することにも不安に感じていらっしゃるようですね。でも、心配はしすぎないことです。最初は泣くかもしれませんが、毎日通う場所ですから、慣れてくると「楽しい居場所」になるものです。ただ、ママが不安いっぱいだと、お子さんも幼稚園を「怖い場所」と感じてしまうことがあります。

子どもって不思議なもので、親の気持ちを通して世界を見る、という側面があるのです。ママがわが子の入園を楽しみにしていると、子どもも幼稚園に楽しいイメージを持ちやすくなります。次の春からの入園を考えているのであれば、幼稚園生活の絵本をいっしょに読んでみたり、園で使うお道具をいっしょに買ったりして、「幼稚園楽しみだね」と子どもの気持ちを盛り上げてください。通園予定の幼稚園が近所なら、お散歩がてらに見に行って、行き方や場所になじむのもよいですね。

一方でママは、「泣くだろうな」「なじむのに時間がかかるだろうな」という覚悟はしていたほうがいいと思います。覚悟していると、仮に子どもが登園をしぶったとしても「予想通り!」と、大きく構えていられるものです。すんなり入園できたら、それはそれでうれしいですからね。実際、「案ずるより産むが易し、だった!」という声も、よく耳にします。
下の子の誕生もいっしょに楽しもう
下の子の誕生も、同じです。お子さんといっしょに、下の子の誕生を楽しみに待つのがいちばんです。「楽しみだね!」と語りかけながら、出産の準備を上の子といっしょにしたり、赤ちゃんを迎える絵本を読みながら、親子でワクワクできるといいですね。

例えばこんな本がおすすめです。

「わたしようちえんにいくの」(ローレンスアンホールト著 文化出版局)

お子さんには、「赤ちゃんが生まれても、○○ちゃんはママの大事な○○ちゃんなんだよ」「赤ちゃんが生まれても仲よくしようね」と話してあげてください。家族が増えるのは大変なことでもありますが、それ以上に楽しくワクワクすることなのだと、伝えられたらいいですね。

それでもママは「赤ちゃん返りはやっぱりするだろうな」という覚悟はしておいて、実際にそうなったときにも動じない心の準備をしておきましょう。

慎重で時間をかけて観察するタイプの子は、小さい頃は少し不安のほうが目立つかもしれません。でも、成長にともなって自分に合う友人をしっかり選べたり、空気を読んでその場に応じた行動をとれたり、素敵な個性を見せてくれると思います。

Profile

お茶の水女子大学人間発達教育科学研究所所長、基幹研究院人間科学系教授。子どものパーソナリティー発達と精神病理を専門とし、0才〜30才までの発達を追う、日本では数少ない長期にわたる縦断研究をおこなう。働きながら子どもを育ててきた先輩ママでもある。

取材・文/神 素子

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