「青玉」「蒼玉」の別名でも知られるサファイア。鉱物としてはルビーと同じコランダム(鋼玉)に分類されます。
古くから知恵を表す宝石とされ、礼儀正しさ、誠実さ、穏やかな愛情、それに忠誠心の象徴としても考えられてきました。
そんなサファイアの魅力は、なんといっても「青色」の輝き。海や湖の美しさを表す「サファイア・ブルー」などが有名ですね。
ハムスターなどの動物の毛色にも「サファイア色」があるのだとか。
9月生まれ以外の方々にもファンの多い、サファイアの魅力を紐解きます。

古くから装身具として、あるいは護符や治療目的で身につけられたサファイア


「宝石の中の宝石」として、王族や聖職者に愛された石

澄んだ空のような、あるいは深い湖のような輝きを見せるサファイア。
「宝石の中の宝石」と呼ばれ、古くから王族たちに愛されたほか、純潔の象徴として聖職者が好んで身につけたことでも知られています。
この「誕生石」シリーズを毎月お読みいただいている方は、昔の人びとが宝石を薬として利用していていたことをご存知でしょう。
サファイアも例外ではなく、「強壮剤」「解毒剤」として用いられた時代もあったのだとか。
「旧約聖書」の中にも、数多く登場するサファイア。
神の国の基礎はサファイアで築かれ、その玉座の下にはサファイアの敷石が敷き詰められていました。
有名なモーセの「十戒」も、サファイアの石板に刻まれていた……こんな伝説もあるのだとか。
ヒンドゥー教の世界でも、サファイアは大切な宝石。
神さまに奉納する「偉大な宝石」として、ダイヤモンドやルビーとともにサファイアが挙げられています。
宝石としての価値はもちろんですが、コランダム類はその硬度も魅力です。
古代バビロニアやアッシリアでは、サファイア製の刃先を使って彫刻が行われていたのだそうですよ。


ブルー以外のサファイアもあるってホント?

一般的に「サファイア」として知られているのは、チタンを含んで青色を呈したもの。
コーンフラワー(ヤグルマソウ)のような、深く透明感のあるブルーをしたものが最高級品です。
インドのカシミール地方が名産地として有名でしたが、近年は枯渇してほとんどとれなくなってしまったのだとか。
宝石の世界では、コランダムのうち赤いもの(ルビー)以外はどんな色でもサファイアと呼ぶのが慣例。
黄色や緑、ピンクなどのサファイアも存在します。
中でも人気があるのが、別名「パパラチア」と呼ばれる、ピンクがかったオレンジ色のサファイア。
パパラチアとは、インドの古い言葉で「蓮の花のつぼみ」を意味するそうですよ。

ブルーの濃淡のほか、さまざまな色合いの「サファイア」が存在する

ブルーの濃淡のほか、さまざまな色合いの「サファイア」が存在する


「スター」サファイアは、どんな原理によってできる?

ドーム型にカット(カボション・カット)された石の表面に、光のラインが交差するように浮かび上がり、まるで星が浮かんでいるように見える……
これは「スター効果」と呼ばれるもの。
「スターサファイア」「スタールビー」などが有名ですね。
スターが現れる石の結晶の中には、細い針状のルチル(酸化チタン)が、交差して並んでいます。
この「ルチルの針」が、石を透過する光を散乱させることで、スターと呼ばれる光を放つのです。
たとえ原理がわかっても、スターサファイアの持つ神秘的な魅力は色あせないですよね。
昔から「持ち主を導く石」と考えられ、護符として用いられてきたスターサファイア。
たとえば、スリランカに暮らすシンハラ族の人びとは、スターサファイアには「魔法から身を守る力がある」と考えていたそうですよ。
現代に生きる私たちも、たとえば難しい試験や会議の日にスターサファイアを身につけたら、パワーをもらえるかもしれませんね!
参考:ジョージ・フレデリック・クンツ(鏡リュウジ監訳)「図説 宝石と鉱物の文化誌 伝説・迷信・象徴」(原書房)
塚田眞弘(松原聰監修)「天然石と宝石の図鑑」(日本実業出版社)
L.クリス=レッテンベック、L.ハンスマン(津山拓也訳)「図説 西洋護符大全」(八坂書房)

光源の位置や強さで「スター」の見え方も変わり、さまざまな表情を見せる

光源の位置や強さで「スター」の見え方も変わり、さまざまな表情を見せる