95光年離れた宇宙からの信号、発信源は地球と結論。史上初の『コンタクト』は幻に

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8月30日に報じられた「95光年先の深宇宙からの信号を受信」したという話は、どうやら誤りだったようです。ロシア科学アカデミーの特別天体物理観測所(SAO RAS)は「RATAN-600電波望遠鏡で受信した信号はほぼ間違いなく地球のどこかで発せられたものだ」と発表しました。ヘラクレス座HD164595の方向から来たとされた信号の分析を進めていたSAO RASは、最も可能性の高い信号の発信源として「地球」が浮上したとしました。その少し変わった11GHzの信号はSETIチームによって再現性の確認作業が実施されたものの、39回繰り返された観測でわずかに1度現れただけでした。

また信号の確認にはカリフォルニアにあるアレン望遠鏡群(マイクロソフトの共同創業者ポール・アレンが設立)も投入したものの、こちらは1度も信号をつかむことはできませんでした。

SAO RASはまだ電波の発信源を特定はできていないものの「探し求めていたような信号はいまだ受信されていないと確信する」と結論づけています。

今回の騒ぎはイタリアの天文チームが2015年に観測した電波についてプレゼンで発表した内容として、深宇宙探査関連の情報を扱うウェブサイトが報じたのが発端。ただ、話の中には疑問点もありArs TechnicaはテキサスA&M大学のニコラス・サンチェフ教授に話を聞き「天体から発せられた信号としては奇妙であり、地球や人工衛星由来のものだったとしても驚くものではない」と指摘していました。

なお、最初にこのニュースを見たときに、1997年の映画「コンタクト」を真っ先に思い出した人もいたかもしれません。この映画ではジョディ・フォスター演じるエリー・アロウェイ博士が遠い宇宙の知的生命からの信号を受信したことでストーリーが急展開しますが、このときにしっかりと航空管制やミサイル、衛星、スペースシャトルからの電波を疑う描写もされていました。(下の動画50秒あたりより)

 

 

ちなみに、地球からの電波を宇宙からの信号と勘違いする例はわりとよく発生しています。電波望遠鏡は非常に微弱な電波を観測する性能を備えているため、たとえばオーストラリアのパークス天文台では天文学者が空腹を紛らわすためにレトルト食品を温めたところ、電子レンジが発するマイクロ波を宇宙からの信号と間違って観測したこともあります。